転職情報をリサーチしていると、「これまでのキャリアを棚卸ししましょう」という話をよく目にするでしょう。しかし、ほとんどの人は、今までに自分のキャリアをじっくりと振り返ったことなどないはずです。
そして、キャリアを棚卸しする方法もよく分からないため、ついおろそかにしてしまう。これが現実ではないでしょうか。
このような事態を回避するには、キャリアの棚卸しが必要な理由を明確にし、さらに棚卸しの具体的な方法を知ることしかありません。
ここでは、「キャリアの棚卸しが必要な理由」「キャリアの棚卸しと自己分析の違い」「棚卸しの具体的な7つのステップ」「棚卸しのポイントとコツ」を、それぞれ分かりやすくご紹介していきます。
キャリアの棚卸しで何もないとお悩みの方も、具体的な考え方をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
=目次=
キャリアの棚卸しが必要な理由とメリット
キャリアの棚卸しは「これまでの人生で自分がなにをしてきたのか」を振り返る作業です。昔の自分を見つめ直すのは、過去の反省点とも真摯に向き合う必要があり、人によっては苦痛を伴う作業かもしれません。
キャリアの棚卸しを途中で辞めてしまわないように、キャリアの棚卸しが必要な理由とメリットをしっかりと理解しておきましょう。
自分のやりたいことや志向性が分かる
キャリアの棚卸しをすると、まず自分のやりたいことや志向性が明確になります。やりたいことや志向性がハッキリすれば、今後のキャリア形成がブレることなく綿密なキャリアプランを立てられるのです。
さらに、自分のやりたいことや志向性が分かると、自分自身の価値観が明確になります。どんな仕事にやりがいを感じるのか、どんな業務に没頭するのかなど、仕事において重視するポイントが見えてくるのです。
多くの人は、キャリアの棚卸しにあまり積極的ではありません。なぜなら、やり方がよく分からないし、前述のとおり面倒で嫌な思いをすることが多いからです。だからこそ、転職前にしっかりとキャリアの棚卸しをしておけば、他の求職者よりも断然有利になります。
何と言っても、自分のやりたいことを明確にした上で面接に臨めますから、面接官への応対にも迷いがありません。その自信と確信は、必ず転職先に伝わります。
自分ができることと今後の課題が明確になる
キャリアの棚卸しを行うと、前述の「自分のやりたいことや志向性」以外にも「自分のできること」が明確になります。
ミドルシニア層の求人ともなれば、応募者は、それなりのキャリアとスキルを持つ人ばかりです。よほど特殊なスキルでもない限り、応募者のスキルや知識に大きな差はないと考えておくべきでしょう。
となると、そのようなライバルに勝つには、「自分は転職先のためになにができるのか」をいかに面接官に伝えられるかが勝負です。まずは現在の自分ができることをしっかりと把握しておく必要があります。
できることが分かると、これから進みたい方向性に対して「今の自分になにが不足しているか」が浮き彫りになってくるでしょう。つまり、今後のキャリアに対する課題が明確になるのです。
もし、あまりにも不足している要素が多いようであれば、焦って転職を急ぐよりも、まず不足しているスキルアップに注力するべきかもしれません。いずれにせよ、キャリアを深堀りすれば、これからの自分の動き方が自然と見えてくるはずです。
転職先の選択肢が広がる
キャリアの棚卸しを行うことで、転職先の選択肢が広がります。自分のやりたいことと自分のできることを深掘りしていく中で、「こんな仕事もできるかもしれない」といった新たな発見に出会えるかもしれないからです。
あなたが持つキャリアやスキルを、全く違った仕事や視点で活かせる可能性があります。例えば、よくある話が「営業しか経験してこなかったから転職先も営業職しか考えていない」というパターンです。
しかし、顧客対応で培ってきたコミュニケーション能力や課題解決能力が高く評価され、コンサルタント業務や企画提案職での転職が決まるかもしれません。
プロジェクトリーダーの経験を持つ方であれば、培ってきたマネジメント能力を活かして人材育成分野で活躍できる可能性があります。
この発見は、しっかりとキャリアの棚卸しをしなければ気付けません。「自分は○○の経験しかないから、同じ仕事しかできない」と感じている方は、しっかりとキャリアの棚卸しをして自分自身を客観的に見つめ直す必要があります。
さらに言えば、自分が持っているスキルをしっかりと明確にしておくことで、自分の武器が分かってくるため、転職先の選択肢が広がるのです。
転職するタイミングが分かる
キャリアの棚卸しをすることで、転職するタイミングが明確になります。転職を決意したとしても、現職の業務状況、経験やスキル、自分のライフプランなどを振り返ると「本当に今が転職に適したタイミングなのか」と立ち止まってしまうこともあるでしょう。
キャリアの棚卸しを行い、この先の人生におけるキャリアプランを検討していくことで、転職のタイミングが適切かどうか判断できます。「転職は早いうちにしておくべき」と言われてはいますが、そのタイミングではないのに無理に転職してしまうのは、あまりおすすめしません。
反対に言えば、転職するタイミングが合致していれば、堂々と前を向いて転職活動フェーズに進めるのです。過去を振り返ることも必要ですが、未来を見据えて戦略的な人生のライフプラン・キャリアプランを立てることが大切です。
転職に対して少しでも迷いが残っている方は、キャリアの棚卸しを行うべきでしょう。
転職のミスマッチを防げる
キャリアの棚卸しを行うことで、転職先のミスマッチを防ぐことができます。前述したように、自分のやりたいことや志向性が分かれば、転職のミスマッチが起こる確率が格段に下がるのです。
具体的に言うと「自分が興味のない分野の仕事を選んでしまう」「方向性の違う企業へ転職」「実力を発揮できずに結果を出せない」といった、ミスマッチによる失敗が起きにくくなります。
つまり、自分の目指せる転職先がはっきりと分かるのです。「転職に失敗しないか不安」と感じている方は、キャリアの棚卸しをしておくことで不安要素を取り除くことができるでしょう。
キャリアの棚卸しは、転職活動の成功率を高めるだけでなく、転職後の満足度を高める上でも重要な取り組みになります。
面接でアピールすべき内容が整理できる
前述のとおり、転職を成功させるには、転職先への適切なアピールが非常に重要です。もちろん、面接でいきなりアピールする内容を考えるのはムリがありますから、事前にしっかりと内容をまとめておかなければなりません。
そのためには、自分の正確な現状把握が必要不可欠です。キャリアの棚卸しをしっかりと行い、アピールする内容を簡潔な文章にまとめておいてください。
- 実績:これまでにどのような実績があるのか
- 専門分野のスキル:どういった分野のノウハウをもっているか
- 方向性:これまでのキャリアを入社後にどのように活かしていくか
- 長所・短所:転職先できちんとした人間関係を構築できるか
- マネジメントスキルの有無:年齢に応じたマネジメントスキルはあるか
アピール内容をまとめる際には、少なくとも上記の項目くらいは、なにを聞かれても即答できるようにしておきましょう。
このように、キャリアの棚卸しによって、自分の経験やスキルを整理できます。つまり、自分の強みが明確にできるわけですから、面接だけに限らず、どんな方針で転職先へアピールするか戦略を立てられるのです。
履歴書や職務経歴書など応募書類作成に役立つ
キャリアの棚卸しを行うことで、履歴書や職務経歴書などの応募書類作成に役立ちます。キャリアの棚卸しを行わず、いきなり応募書類と向き合っても、なかなかペンは進まないでしょう。
自分自身でパッと思いつく限りの長所やスキルを書いただけでは、採用されません。なぜなら、全ての書類を照らし合わせて読んでいくと、辻褄が合わない箇所が出てくるからです。
キャリアの棚卸しでしっかりと自己分析を行うと、自分の長所、これまで培ってきたスキル、やりたい仕事、これらを全て読んでいく中で、矛盾が発生することを防げます。さらに、全ての応募書類にストーリー性と一貫性を持たせることで、採用担当者に転職の熱意を伝えられるのです。
ありのままの自分を受け入れられる
キャリアの棚卸しをすることで、ありのままの自分を受け入れて今後のキャリアをより充実させることができるでしょう。
「なぜ、あの時こうしなかったんだろう」「どうしてこの選択をしてしまったんだろう」振り返ると、後悔したことなんかも出てくるはずです。しかし、そんな過去もすべて今の自分を作っています。これまでの経験やスキルを整理していく中で、しっかりとキャリア形成をすることによって、これまでの自分自身を納得させられるのです。
これから先も、後悔しないキャリアプランを描くためには、これまで歩んできた自分自身をしっかりと受け入れる気持ちが大切です。
そして、棚卸しで「できること」が明確になると、将来なりたい自分に不足している要素が、自然と分かってきます。
仮に海外でのキャリア志向の強い人が、現在TOEICが400点しかなければ、優先的に英語力を鍛えていく必要があるとすぐに分かりますよね。でも、こういったスキル的な要素は、これからの努力次第で、しっかりと身につけられる可能性が高いです。
ところが長所や短所といった、持って生まれた性格的な面については、正直そう簡単に修正できるものではありません。もちろん、悪い面を改善しようとする姿勢は大切でしょう。ただし、それと同時に、今の自分をそのまま受け入れるマインドも、必要になります。
転職の成功という面からみれば、ムリに自分を変えようとするよりも、長所を受け入れてもらう努力のほうがよほど重要です。さらにいうと、短所をいかにマイナスなイメージを与えずに伝えられるかが、実はかなり大切なポイントになってきます。
【短所の言い換え表現例】
- 短気 → 感情表現が豊か
- 優柔不断 → 慎重
- 計画性がない → 臨機応変
- 繊細 → こまやかな心配りができる
上記のように、言葉の使い方ひとつで、短所も長所として伝えることが可能です。ぜひ、上手な表現方法を、事前に準備しておいてください。
キャリアの棚卸しと自己分析の違い
キャリアの棚卸しと自己分析は異なります。
キャリアの棚卸しは、自己分析の一種だと考えてください。手順としては、キャリアの棚卸しを行った後に自己分析に取り組むことが一般的です。
キャリアの棚卸しとは、自身のキャリアを時系列で振り返り整理する作業になります。ただ経歴を書き出すわけではありません。自分がこれまで経験してきた業務を一つずつ洗い出します。その業務や経験の中で得た知識・習得したスキルなど、細かく具体的に言語化することがポイントです。
自己分析とは、キャリアのみならず「自分はどんな人間か」「自分のやりたいことは何か」を明確にするための作業のことです。自分の強みや価値観を明確にすることで、向いている仕事を分析したり、志望動機や自己PRを考える際のヒントとなるでしょう。
自分の長所と短所、得意・不得意、強み・弱みなどを客観的に振り返り理解しておくことで、転職活動を有利に進めることが可能です。
キャリアの棚卸しにおける7つのステップ
ここでは、具体的な棚卸しの流れについて解説していきます。
- これまでの経験を洗い出す
- 業務に取り組む姿勢を振り返る
- 実績をリストアップする
- リストをもとに自分の強みと弱みを分析する
- キャリアゴールを明確に設定
- 応募先をリサーチする
- 転職エージェントと相談
それでは、順番に解説します。
これまでの経験を洗い出す
まずは、これまでの経験を洗い出す必要があります。しかし、いきなりこれまでの経験を箇条書きにしなさいと言われても、なかなか手に付かないでしょう。
そこでおすすめなのは、普段の1日の業務や行動を書き出すことです。できれば、1日を振り返るだけでなく、1週間の業務の流れ、1か月間後の行動の変化についても、見直してみると良いでしょう。
時系列に整理して自分の行動を振り返ることで、普段の自分の行動パターンが見えてきます。毎日の業務に対する目的や、それを達成するためのプロセス、業務が完了した際の結果や、新たな次の業務ステップが分かるはずです。
普段の業務に対する目標、それを達成するためのプロセス、その結果出た成果を可視化することで、これまでの経験を洗い出していきます。
業務に取り組む姿勢を振り返る
その中で、自分が仕事をしている際に感じていることも同時に書き出してみましょう。目的は、業務に取り組む姿勢を振り返ることです。
自分の日常を時系列で書き出していくと、ある特定の業務に多くの時間を費やしていることに気付くかもしれません。また、短い期間で想像以上のタスクをこなしていると気付くこともあるでしょう。それぞれの業務に対して、自分がどれほどのパフォーマンスで業務に取り組んでいたのか、振り返ってみてください。
業務に取り組む姿勢を振り返ってみると、自分があまり好きではない業務に多く時間をかけているかもしれないし、苦手な作業はすぐに終わらせて自分が好きな業務に多く時間を使っているのかもしれません。
自分自身が達成できなかった目標ももちろんあると思います。これもしっかりと書き出して、達成できなかったことに対する自分自身の振り返りを行いましょう。
月に一回行う業務に対しても、自分自身の気持ちが前向きなのか、そうではないのか、丁寧に時間をかけて思い返してみてください。
それと同時に、周りからどんな言葉をかけられたのか、どんな評価を得たのかという視点でも振り返ることもポイントです。他者からの評価によって、自分の得意分野や貢献度を再認識できるきっかけとなります。
これらの業務に取り組む姿勢を振り返ることで、自分がどのような業務に力を発揮できるのか、弱みはどこか、どのような業務にやりがいを感じているかなどが整理できるため、自己理解に繋がるでしょう。自己理解は、キャリアの棚卸しにおいて非常に重要なステップです。
実績をリストアップする
最初からキャリアゴールが決まっている人など、実はそうそういるものではありません。そこで、これまでの経験と業務に取り組む姿勢を洗い出したところで、次は「これまでの経験と実績のリストアップ」に取り掛かりましょう。
振り返る内容は、基本的にすべての出来事が対象です。今書き出したような過去の仕事やプロジェクトの成果はもとより、学生生活やアルバイト、ボランティア活動など、過去のすべての取り組みが対象です。これは、どんな小さなことでも構いません。まずは、自分がこれまでに何をしてきたのか、自分の人生の整理をするのが重要なのです。
過去の自分と向き合う過程で、恐らく多くの気づきがあるでしょう。「スキルや実績」「強みと弱み」「好きなこと・嫌いなこと」「長所・短所」など、今まで特に意識してこなかった自分に、改めて出会えるかもしれません。
ただし、棚卸しをする際には、どうしても過去の失敗や後悔と向き合うことになります。もしかすると、人によってはつらい作業になるかもしれません。でも、そうやって棚卸しをした過去のリストは、これからの転職活動の大きな武器になってくれます。
ぜひ、焦らずじっくりと取り組んでいきましょう。
リストをもとに自分の強みと弱みを分析する
リストアップした経験と実績をもとに、今度は自分の強みと弱みを分析していきます。特に強みは、あなたという商品をアピールするための大切な武器です。
「こんなことも強みになるのかな……」というレベルであっても、まずは思いつく限りピックアップしてしまいましょう。実際に面接でアピールする強みは、すべての強みを見比べて選び、じっくりと言語化していきます。
仮に、「コミュニケーション能力が高く、チームの中でうまく人間関係を築ける」というのが強みであれば、もしかするとひとりでコツコツやる作業は苦手かもしれませんね。
これはあくまでも一例に過ぎませんが、得意と不得意は裏表の関係になっていることが多いものです。面接では、長所だけでなく短所も必ず質問されます。前述の長所と短所と同様、不得意なことをうまくプラスのニュアンスで表現できるように、準備をしておいてください。
とはいえ、嘘はいけません。経験豊富な面接官になれば、その場限りの誤魔化しや言い訳を見抜くのは簡単です。そもそも嘘をついて採用されても、一緒に働き出したら、すぐにバレてしまいます。
あくまでも、苦手意識を減らして、前向きな気持になるのが目的です。そのあたりは、どうぞ勘違いしないようにお願いします。
キャリアゴールを明確に設定
続いては、自分のキャリアゴールの設定です。ある程度ゴールが決まっていないと、これから進むべき道が見えてきません。そうなると、まったく反対の方向へ進んでいることに途中で気づき、それまでの努力や時間がすべてムダになってしまうこともあり得ます。
なので、今後の細かいステップを決める前に、ゴール設定を必ず優先的に行うことが大切です。以下、キャリアゴール設定のポイントを3点挙げておきます。
- できるだけ具体的に
- 定期的に見直す
- 第三者のフィードバッグをもらう
ゴールは、「2年後にはマネージャーになって部下をもつ」といった具合に、できるだけ具体的に設定するのがオススメです。(実際には、さらに細かく設定していきます)
また、ゴールおよび途中のステップについては、定期的な見直しが必要です。AIのような技術革新の影響により、時代は驚く速さで変化しています。キャリアゴールも、そのときの状況に応じて、どんどん変更していくほうが自然でしょう。
なお、第三者のフィードバッグについては、のちほど「第三者から客観的な評価を受ける」で、詳しく解説します。
応募先をリサーチする
自分の強みと弱みが分かったところで、次は自分の強みを活かせる求人を探していきます。インターネット上の転職サイトにはさまざまな求人情報が載っているので、まずはどういった求人があるのか、ざっくりとリサーチしてみましょう。
ただし、ほかのコラムで繰り返しお伝えしてきたように、メインとなる活動の場はあくまでもミドルシニア層に強い転職エージェントを選んでください。なんといっても、40代以降をターゲットにした案件が豊富だし、手厚いサポートが期待できますので。
転職エージェントについては、のちほど詳しくお話しいたします。
なお、40代以降の転職では、少しだけ発想の転換が必要です。というのも、ミドルシニアの転職先の多くは中小企業であり、良くも悪くも、さまざまな業務を一人でこなさなくてはなりません。
つまり、専門分野以外に強みがあれば、その強みも高く評価してもらいやすいのです。もし営業以外にITの知識もあれば、営業ではなくオンラインのマーケティング担当として採用されるかもしれません。(並行して営業もやるようになるとは思いますが)
よって、あまり専門分野にこだわりすぎず、柔軟な姿勢でリサーチしていただければと思います。
なお、給与や勤務地など、一般的な条件については、以下の記事で解説をしています。ぜひ、ご一読ください。
転職エージェントと相談
先ほどもお話ししたように、40代以降の転職なら、必ずミドルシニアに強い転職エージェントを選んでください。20代をターゲットにした転職エージェントには、20代向けのノウハウしかありません。
年齢に合ったエージェントを選ばないと、当然良質なサポートは期待できないし、そもそも40代向けの求人が少ないです。
手前味噌になりますが、弊社のようなミドルシニア案件が豊富なエージェントの場合、あまり表に出てこないオフレコ案件も多く、地方の優良企業とも太いパイプがあります。
もちろん、ミドルシニアの転職サポート実績も豊富なので、多くの人が苦手とする面接対策や履歴書の書き方についても、的確なアドバイスがもらえます。
転職エージェントとの相談では、しっかりと自分の強みや志向性を伝えてください。そうすれば、あなたの方向性を理解したうえで、ピッタリの求人情報を探してくれるはずです。
また、転職エージェントは企業の内情や業界の動向にも詳しいため、違った視点によるアドバイスで、見落としていたチャンスに遭遇できるかもしれません。
とにかく、転職エージェントは、あなたの味方です。エージェントと協力して転職活動に取り組めば、きっと満足のいく転職先が見つかるでしょう。
キャリア棚卸しを行う際のポイント
キャリアの棚卸しは、転職活動を成功させるための重要な工程です。このキャリアの棚卸しをいかに丁寧に深掘りできるかによって、担当者に与える印象は違います。
ここでは、キャリアの棚卸しを行う際のポイントをご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
ノートや紙に書き出す
キャリアの棚卸しを行う際には、ノートや紙に書き出すことがおすすめです。Wordやデジタル上のメモを使用する方もいると思いますが、実際に自分の手で書き出すことでより多くの情報を絞り出せます。
また、後で色を付けたり囲ったりして情報を整理できるため、キャリアの棚卸しシートを使用しなくても実施できます。
どんなに小さなことや、仕事に関係がないかもしれないと感じることでも、とにかく思いついたことを書き出しましょう。内容に正解はありません。キャリアの棚卸しのヒントとなる可能性があるため、できる限り沢山書き出すことを意識してみてください。
行動や思考を言語化する
自分の行動や思考を言語化することを意識しましょう。自分が日常的にどんな意識を持って仕事をしているのか見えてくるはずです。
無意識な行動やいつも考えている思考を言葉に表してアウトプットすることはなかなか難しいでしょう。しかし、キャリアの棚卸しを行い言語化した言葉は担当者の心に響きます。
人間の熱い想い・信念は伝わりやすいため、自問自答を繰り返しながら一つ一つの行動や思考を言語化しましょう。
難しく考えずに自分の感じていることを文章に書き出すことがキャリアの棚卸しをする上でのポイントです。
ジャンルごとに整理する
上記で言語化した内容について、ジャンルごとに整理をしましょう。まずは自分の中で優先順位が高い事項・大事にしている要点に印をつけてみてください。共通点や類似している内容を整理するのも良いでしょう。
今まで経験してきた業務内容については、分野ごとに仕分けておくと後から見返しやすくなります。そうすることで、後の分析もスムーズに行うことが可能です。
定期的に繰り返す
キャリアの棚卸しは定期的に繰り返しましょう。さまざまな環境の変化に伴い、自身の実績や経験は変化します。
また、目指すべきキャリアも時間と共に変化していくかもしれません。一度きりではなく、定期的に繰り返すことで自分の市場価値を知ることが可能です。
うまくいくキャリア棚卸しのコツとは
うまくいくキャリア棚卸しのコツを3つ紹介します。どれも重要なコツなので、ぜひしっかりと頭に入れておいてください。
自分と会社のキャリアをわけて考えよう
大企業に長く勤めている人や、大きな実績をもつ人に限って、会社の商品名やサービス名を自分のキャリアと考えがちです。
たしかに誰もが知っているような商品に携わった経験は、素晴らしいあなたのキャリアといえます。しかし転職先が知りたいのは、単なる商品名ではありません。あなたがその商品に対してどのように関わり、具体的にどういった成果をあげたのかが知りたいのです。
そういう採用側の心情を考えずに、サービス名や商品名ばかりを前面に打ち出す人は、間違いなく敬遠されます。せっかくの素晴らしいキャリアなのに、これではかえってマイナスにしかなりません。非常にもったいない話です。
繰り返しますが、自分のやってきたことと会社の実績は、きちんとわけて考えましょう。そのうえで、自分がこれまでになにをしてきたか、そのキャリアをもとに転職先でなにができるのかを、しっかりと伝えてください。
第三者から客観的な評価を受ける
キャリアの棚卸しをする際には、必ず第三者から客観的な評価を受けるようにしてください。
キャリアの棚卸しというと、部屋に籠もり、自分ひとりで過去の実績を振り返る。そういうイメージをもつ人が多いと思います。しかし実際には、ひとりで適切な棚卸しを行うのは、非常に大変です。
理由は、大きく二つあります。一つは、多くの人は自分を客観視できていないから。もう一つは、一人だとつい自分のよい側面にばかりフォーカスしてしまうからです。
友人に指摘されて、「えっ、自分はそんなイメージなの?」と思ったことはありませんか?「自分を一番知っているのは自分」とよく言われますが、案外そうでもなく、他人のほうが冷静にジャッジしていることも多いものです。
また前述のとおり、棚卸しは、子どもの頃から現在までをまんべんなく振り返ります。そうなると、どうしても「失敗したこと・嫌だったこと」にも、対面しなければなりません。
もし過去に大きな後悔を抱えていたら……そういうネガティブな側面から目を逸し、都合のよい情報だけをピックアップしてしまう可能性があります。
このような偏りを客観的な立場から修正してもらえるのが、第三者にサポートしてもらう最大のメリットです。弊社の社会人材学舎は、地方企業でありながらも、あなたの目指す転職スタイルに寄り添ったサポートを行い、地域を限定せずとも広い選択肢の中からアドバイスが可能です。
特に、社会人材学舎では「知命塾」というサポートシステムを用意しています。これからキャリアの棚卸しをする人は、きっと最適な選択ができるきっかけとなるため、ぜひ活用してください。
キャリアの棚卸しは、仲間の力を借りるとうまくいく
ここまで何度もお伝えしているように、キャリアの棚卸しには、第三者の客観的意見を取り入れるべきです。ただし第三者といっても、自分の親や友達から適切なフィードバッグをもらうのは、まずムリだと考えてください。
なぜなら普段の関係性から、親しい人の意見は、どうしても偏ったものになりがちだからです。一番親しい家族は、あなたの働く姿を基本的に知りません。これは、友人も一緒です。普段の気のおけないお付き合いをしているあなたのイメージで、アドバイスをしてきます。
そういったバイアス(偏見)を回避するには、キャリア構築の専門家に加えて、同じ条件でキャリアの棚卸しをする仲間のサポートが、非常に役立ちます。
棚卸しをリードしてくれる専門家の意見は非常に的確で役立ちますが、ともすれば「専門家からの絶対的意見」になりがちです。その点、仲間からの意見は、とてもストレートでシンプルです。専門的な知識もなく、また過去のあなたを知らないがゆえに、今のあなたを的確にフィードバッグしてくれるでしょう。
弊社が開催する無料セミナーなら、同じ境遇の仲間とともに、キャリアの棚卸しが可能です。ぜひ仲間と一緒に自分を見つめ直してみてください。
キャリアの棚卸しで何もないと思った時は
キャリアの棚卸しを行う上で「自分は経験やキャリアがない」と悩まれている方もいるでしょう。具体的に考えられない、描き出せないという方も少なくありません。
キャリアの棚卸し方法は、経験や実績をただ単に書き出すことではありません。重要なのは、結果ではなく「過程」です。
ここでは、実績がなくてもキャリアの棚卸しをする方法をご紹介します。
一生懸命に取り組んだことを振り返る
自分が今日まで一生懸命に取り組んだ事業やプロジェクトを振り返ってみてください。情熱を注げたことや、業務の中で意識したことを書き出してみましょう。
例えば、「メールはその日中に返信することを徹底した」「取引先や顧客の意見をより多くヒアリングできるような環境づくりを意識した」「より伝わるプレゼン資料の作成を心掛けた」などでも構いません。
このような仕事に取り組む姿勢から、あなたの「強み」が見えてくるでしょう。
上司から評価されたことを振り返る
上司から評価されたことを振り返ってみてください。取引先から評価してもらったことでも構いません。例えば、「仕事が早い」「プレゼン能力が高い」「いつも資料が見やすい」など褒められたことを書き出してみましょう。
その内容から、自分がどのように努力し意識した結果だったのか振り返ることが次のステップです。評価されたことで、さらに取り組んだことや改善したことがあれば合わせて書き出しておきましょう。
一つの業務を行う上での「目的」「過程」「成果」のジャンル分けを意識して、キャリアの棚卸しを行うと情報が整理できます。
転職を決断した理由を振り返る
転職を決断した理由を明確にしておきましょう。何がきっかけで、何を叶えたいと思い転職活動を開始したのか振り返ってみてください。転職を決意した理由から、キャリアの方向性が見えてくる場合もあります。
会社の将来性を感じられない、キャリアアップが望めない、などといったネガティブな理由は、ポジティブ変換することがポイントです。
新たな挑戦ができる機会が欲しい、〇〇歳までにこのポジションに就きたいため転職を決意した、などと言い換えることで、相手に伝わる印象は大きく異なります。
転職先の業界をベースに振り返る
自分の業務を振り返ることが難しい場合は、転職先の業界をベースに振り返ってみてください。転職先で求められているスキルや人材、どのような考え方や仕事への取り組み方を重要視しているかを正確に判断しましょう。
これまでの業務の中から転職先の業務内容を照らし合わせて、対象となる部分を振り返れば、今後のキャリアプランが見えてくる場合もあります。
今できる業務を振り返る
シンプルに自分が今できる業務を振り返るのも一つのキャリア棚卸しになります。仕事で何ができるのか、その業務は好きか嫌いか、将来性はあるのかを追求することが大切です。
すぐに思いつかない方は、自分の1日のタイムスケジュールを書き出してみましょう。その中で「こんな仕事もしていた」「こんな仕事も発生する日もある」などと思いつく内容が増えていくはずです。できるだけ具体的かつ詳細に書き出すことが大切です。
そして、1つずつステップを踏んで考えることで、アピールできる材料をピックアップすることが可能です。
キャリアの棚卸しの中で大切なことは、多くの実績例を挙げることではありません。自分が業務に取り組む姿勢や過程、仕事に対する考え方から得たものや成長できた部分を把握することが目的です。
まとめ
転職を希望しているのは、あなただけではありません。条件の良い企業であれば、恐らく驚くほどたくさんの希望者が応募してくるはずです。そういった状況の中で、あなたが転職を成功させるには、多くの転職希望者の中からあなたを選んでもらう必要があります。
そのためには、まず自分のキャリアを、しっかりと棚卸ししなければなりません。キャリアの棚卸しがしっかりとできれば、自分のアピールポイントや志向性が明確になります。そうすれば、転職の際にも、しっかりと自分をアピールできるでしょう。
今回の記事を参考にして、転職の武器となる強みを、どうぞ見つけ出してください。