可能性を狭めていないか?自分にとってより良いキャリアを築く為の考え方

以前のコラムでは、私の転職失敗談から「キャリア自律の第一歩。転職に前に知っておきたい後悔しない為の転職術」についてお話ししました。今回もそのあたりをもう少し。とある日の帰宅時の電車内での話。ドア際に立つ私のすぐ後ろに会社員らしきほろ酔いの男性が二人。一人はごく普通の30代くらい、もう一人はパリッとしたスーツを着た40代後半~50代くらい。酔っていて声が大きいので聞く気がなくても耳に入ってきてしまいました。

30代「●●さん、ウチの会社はどうですか」
50代「皆さん親切にしてくれるので楽しくやれてますよ」
ああ、転職したばかりなんだ。

30代「1000人を束ねるのとは別の楽しさなんでしょうねぇ」
大企業から中堅中小に転職したのかな。

50代「でも、また機会があればそんな仕事もしたいけどね」
何か怪しくなってきたなぁ。余計なことを言わなきゃいいけど。

30代「●●さんみたいな人が、××さんの下につくってどうなんですかね」
うわぁ、怖いこと聞くなぁ。

50代「××さんはいい人だよ。でもねぇ…」
わぁ!ダメだ!調子に乗るな!そっちへ行ったらダメだ!

50代「イノベーティブじゃないんだよね。ムラの中で生きていくならいいけど、外に打って出るにはなぁ、ウチ(おそらく前在籍していた会社)ではね…」
あ~あ。言わなきゃいいことを。他の人に伝わったらどうなるのかなぁ。

自慢話は危険と隣り合わせ

自慢話は危険と隣り合わせ

私の心の声はもちろん先に起きることを勝手に心配しているだけなのですが、あながち杞憂ではないように思います。目の前の30代の男性はこの方に好意的な感じでしたが、なにかの機会にここでの話が他の社員に伝わったら…。私も中小企業にいたのでよくわかるのですが、大企業から来た転職者の過去の仕事の話は、スケールが大きくダイナミックで恐れ入ったり、憧れたりしながら聴いていました。

しかし、時間がたちその人が目立った成果をあげられないと、「何だったんだ、あの話は?」ということになります。自慢話をすると意図しなくても勝手にどんどんハードルは上がってしまいます。最初は感心して聴いていた「△△(元居た社名)では…」という話も、あまり続くとうんざりされてきます。「じゃ、帰れば」と思われるようになってしまいます。

大企業と中小企業の働き方

大企業と中小企業では働き方が全く違います。大企業にいた方から見ると中小企業の仕事の仕方は不合理の連続だったりします。なくてはいけないものがない、決まっていなくてはいけないことが決まっていない、その代わり妙なものがたくさんあったり…。しかし、ひょっとするとそれは不合理とわかったうえで何らかの思いで選択しているやり方なのかもしれません。

気づいているが事情があって変えたくても変えられないのかも知れません。そのあたりがわからないうちに、断定的な意見を言ってしまうのは非常に危険です。また、たとえ年下でも、少なくともその会社の事業においては、後から入る人間よりは詳しいわけですし、新たな人材を採用できるくらいに成果を上げている方々です。まずは、敬意をもって接し、その会社の仕事の仕方とその背景をよく理解し、実績を上げ信頼関係を築いくことが結果的に居心地がよく、長く働ける環境を作ります。そのうえで、それまでの経験やスキルを大いに発揮して、その会社にイノベーションを起こしていただきたいと思います。

思い込みでキャリアアップのチャンスを逃さないために

思い込みでキャリアアップのチャンスを逃さないために

大企業などである程度キャリアを積んできた方をご紹介する際、当然のことながら即戦力として何ができるのかが重要になります。しかし、大企業の方を中小企業にご紹介する際、どこまで「できる」ことが必要なのかの認識が採用する側とされる側でずれている場合がよく見られます。大企業で長く働いてきた方の中には、専門性は非常に高いが、実務経験がある領域が狭いという方がいらっしゃいます。

そのような方に、案件の職務内容を提示すると「ここはやったことがあるが、この領域は未経験なのでムリ」ということをよく言われます。たとえば、人事部門で採用や教育は経験しているが、労務関係は実務経験なしという方が、中小企業の人事責任者への応募を検討する場合です。そういった場合、その方の頭の中にある「できる」のイメージは、大企業で労務専門の方が行っている業務内容ができるかどうかだったりするので「それはムリ」という結論になります。

雇用主である経営者との職務に対するイメージの相違

しかし、往々にして経営者の方がイメージしているのは、「問題になりそうなことを察知して、あとは社労士に相談して何とかしてくれればいい」ということだったりします。その点を確認すると「ずっと隣で見てきたので、それぐらいだったら…」という話になります。当社の場合、面接に同席させていただくケースもあるので、その場で「ずれてるな」と感じた場合は横から口をはさんだりするのですが、そのような機会がない場合はそのまま認識のずれを埋められず終わってしまうことも考えられます。

特に大企業から中小企業への転職の場合、お互いの頭の中にあるイメージには思った以上の開きがあります。このような転職をお考えの方は、ぜひ、事前に実際の経営者の考え方に触れる機会を持つようにしていただきたいと思います。当社では、経営者の方とディスカッションするイベントを数多く開催しています。直接的に応募対象となる企業でなくても、経営者の考えや思いを理解する機会としてぜひご活用ください。話してみたら気の合う経営者でそれが縁で…というケースもあります。

こだわりすぎてチャンスを逃さないために

こだわりすぎてチャンスを逃さないために

当社では、転職をお考えの方に「自分は最終的にこうなりたい」という方向性や、自分が「できるコト」について掘り下げて考えていただき、どのような仕事に就くのが長期的な視点で幸せを感じられるのかをお聴きしたうえで、ご紹介を行うようにしています。お考えになったことが今までのお仕事の延長線上であれば話は早いのですが、当然のことながら「今までにやってきたことと違うお仕事がしたい」という方もいらっしゃいます。

とはいうものの、ある程度の年代になってくると未経験者の挑戦を受け入れてくれる会社はそう簡単に見つかりません。そういった場合、一足飛びにやりたいことに到達することにこだわると、なかなかチャンスは訪れませんので、ステップを踏んで近づいていく方法を考えていただければと思います。

転職は長期的視点が大切

入口として期待され得られる役割はどうしても経験領域に関連したものになります。会社選びで重要なのは、その会社の中で、そのお仕事以外にご自身が関心を持てる仕事を作れる可能性があるか(もちろん保証されるものではありません)どうかだと思います。また、ある程度の年代になると即戦力として短期間に成果をあげることが求められますので、そういった点でも経験領域のほうが成果も出しやすいかと思います。未経験領域に踏み出していく場合は、最初は頑張って当初の役割で成果を出し、経営者と信頼関係を構築したうえで、自分の関心と合致した領域の仕事を自ら獲得していくような流れを考えたほうが結果的に余裕をもった環境で新たな挑戦ができます。

当社では、企業にヒアリングをする際、入社後のキャリアの可能性についてお話をうかがうようにし、その方向と求職者の方の方向性の相性の意識しながらご紹介するよう心がけています。