介護や子育てによるライフステージの変化に左右されないキャリアのつくり方

以前は新卒から60歳まで、というのが、一般的な就労期間でした。父ちゃんが外で働き、母ちゃんが育児と家事を一手に引き受ける、というのがひと頃の典型的なパターン。国民的長寿アニメのサザエさん一家は、その代表例ですね。しかし、時代は変わりました。

平均寿命の延伸と共働きの増加

平均寿命の延伸と共働きの増加

女性の社会進出で共働きが増え、また60歳で定年を迎えても、もっと働きたいというシニア人材は確実に増えています。日本人の平均寿命が80歳超ですから、60歳で引退しても、健康上に問題がなければ、あと少なくとも10~15年は働けるはずです。現に、オーナー経営者には70~80代の方は多くいらっしゃいますし、中堅中小企業でも70代でもバリバリ現役という方はたくさん!政治家も地方自治体を含めれば、60~70代の方がとても多くいますよね。

ただ、どうしても日本は若年層を優先して採用する傾向がまだまだ高いですから、企業で働くとなると、60歳を過ぎてもなお安定的に就業の機会が提供されるには、企業・求職者とも今よりもう少し柔軟にならないと難しいでしょう。

ライフステージの変化によるキャリアへの影響

新卒から70歳まで働くとなると、当然のことながら、その中でライフステージの変化の影響を受ける確率が高くなる、というか、ほぼ全員そのような時期がやってきます。ライフステージ変化の影響を受けるイメージは、女性の結婚や出産が最も多そうに思えますが、実はそれ以上に今深刻なのは親の介護です。

こちらは性別問わず、誰しもが直面する課題です。昔のようにお嫁さんが舅や姑の面倒を見ていた時代ではありませんし、妻も仕事を持っていますから、誰がどちらの親の面倒を見るのか、親が遠方に住んでいるならばどうするのか、必ずそうしたことに対処せねばならない時期がやってまいります。私自身、育児のため、一旦フルタイムのキャリアから遠ざかった経験があります。

子育て、退職の決断

自分が子供を持たなかった時期には、「ベビーシッターを使えばいいや」とか「行政などのサービスで何とかやっていける」と考えていましたが、いざ実際に自分が子供を育ててみると、想定外のことがたくさん待っていました。が、それ以上に葛藤があったのは、子供に対する思い。「0歳から2歳くらいの一番親に甘えたい盛りの時期に、親の都合で子供にかまってやれないこの生活ペースを、いつか後悔するのではないか」かなり悩んだ末、私自身は「一旦今の仕事を辞め、育児をしながらできる仕事に変わろう」と決断し、退職しました。

より深刻な親の介護

より深刻な親の介護

介護においては、現在「育児・介護休業法」というものがありますが、こちらの内容をご覧いただくと、介護休業を申請できるのは、「常時介護を必要とする状態が2週間以上で、対象家族1名について最長93日、3回まで」です。これに対し、公益財団法人生命保険センターの調査によると、介護に要する期間の平均は4年11ヶ月と、「育児・介護休業法」で定めている93日にはとうてい収まらないものであり、正直なところ現時点の制度は「焼け石に水」です。

実はこの制度は「93日で介護が終わる」という想定ではなく、「93日のうちに施設に入れるなり、ケアサポートを受ける体制を築くなりして、仕事に復帰できるようにする」ことを想定しているからです。しかし現実的には、特養などの施設への入居を1年以上も待っている、などといった声が多く聞かれ、93日で決着できる保証はどこにもありません。

ライフステージの変化を想定した事前準備が大切

ライフステージの変化を想定した事前準備が大切

「自分がどんなキャリアを実現させたいか」を考えるとともに、「この先の人生において、どんなことが起こりうるか」を想定することは、とても重要なことです。例えば、東京商工リサーチのアンケートでは、有効回答企業の7割が「今後自社内で介護離職のケースが増える」と想定しており、親の介護でキャリア上の決断を迫られるケースが確実に増えると見込まれています。

企業にとっても、貴重な人材がライフステージの変化を理由に戦線離脱していくのは大きな損失です。ですから、そのような人材が介護や出産などを理由に会社を辞めなくてもよいよう、これから企業努力していくことは必須です。しかし、人材側である私たちも、そのような時期が来た時に「引き留めてもらえる」くらいのバリューを普段から発揮している必要があります。ライフステージの変化は大体において、「ある日突然に」やってきます。ですから、そうなる前にあらかじめシミュレーションしておくことが、大変重要です。

例えば、家計上の資金計画もそうですし、万が一離職せざるを得なくなった時、その間のブランクをどうするか、事情が解消し再び仕事を始めようとなった時、自分のどんな強みを活かして仕事を探すのか、などなど・・・。それらがあらかじめ整理されていたり、計画立てて自分に磨きをかけていたりしていないと、いざというときに人生の勝負ができないでしょう。

皆さんはこれらのことを普段から想定していますか。
そうなったときも慌てずにキャリアの選択ができますか。