ブラック求人、悪質エージェントとは?ミドルシニアが転職の落とし穴に落ちない為の転職術

昨今、ブラック企業についての話題が多く出てきています。某社の新入社員過労死問題が大きな話題になり、「ブラックバイト」「ワンオペ」なる言葉も世の中に浸透してきました。ですが、今回のブラックは「企業」ではなく「求人」。そして、悪質エージェント。これについてあれこれ話ししてみたいと思います。

転職者をトラブルに引き込む『ブラックな求人』とは?

転職者をトラブルに引き込む『ブラックな求人』とは?

「ブラック求人」、実は巷で話題になっていて、ツイッターのハッシュタグにも「#ブラック求人あるある」というのがあります。そして、「『ブラック求人』問題を考える座談会」によると、以下のような事例があがってきています。

◆採用決定後に労働条件通知書を受け取ったところ、求人票にあった「月給19万円」ではなく、「時給767円・22日勤務/月給13万5000円」となっていた。求人票と違うことを指摘すると、「求人票が間違っている」と言われ、労働契約書に捺印するように迫られた(30代男性)

◆「丁寧な研修あり」と書いてあったのに、「仕事はパートの人に聞いて」と言うだけ。残業代含まず25万円固定給のはずが、実際は月19万円にしかならない。(30代男性)

◆求人票には「水・土曜日休み」となっていたが、実際の休みは火曜日のみ。(20代女性)

つまり、「ブラック求人」とは、募集時の条件と実際の労働契約の条件に大きな違いがあるものを言います。

ブラックな求人に違法性はないの?

このような募集の仕方に違法性はないのでしょうか。職業安定法では、虚偽の広告、虚偽の条件の提示によって労働者を募集した場合に罰則を設けています(第65条第8号)。しかし、企業が求人広告を載せること自体は、法的には「労働契約の申込みの誘引」という扱いとなり、そこで掲げられた労働条件はあくまでも「見込み」という位置づけです。

そのため、求人広告を見て求職者が応募したからといって、必ずしもその条件で労働契約が成立するわけではなく、契約の当事者たる会社と労働者との間で「合意」があれば、求人内容とは異なる労働条件で雇入れることは可能です。つまり、この双方の「合意」の有無が、ブラックorホワイトの分かれ目です。先にあげた「ブラック求人」のケースの場合、内定時に「雇用条件通知書」を書面でもらっていない場合が多くあります。口頭ベースでの通知しかないというところもあります。

なので、いざ入社するという段になって労働契約をみたら「あれ?」ということになり、しかし「もう前の会社も辞めちゃっているから、もう今更後戻りできないよな」と退路を断って転職した人は、しぶしぶ企業側の条件をのまざるを得なくなってしまうのです。これでは本当の意味での「合意」ではないですよね。企業側が優位に立ち、求職者に「合意」せざるを得ない状況をつくっているわけですから。

トラブルに巻き込まれない為の予防策

トラブルに巻き込まれない為の予防策

ここまでくると「これって企業側の故意じゃないの?」と思いますが、故意であるかどうかを示せない限りは、残念ながらこうした状況を受け入れざるを得ません。なので、このようなトラブルに巻き込まれないようにするため、内定後に「雇用条件通知書」をもらえなかったら、企業側に書面で出してもらうことをお願いしましょう。入社前に条件面での齟齬がわかれば、トラブルも未然に防げます。

また、書面をお願いしたにもかかわらず、もし企業側に「出せない」と言われてしまったら、それはそれでその企業の信頼性に疑問符が生じるでしょう。そのための判断材料にもなります。ちなみに、エージェントが間に入る転職活動は、雇用条件についての細かな調整もエージェントが行うので、こうしたトラブルに巻き込まれるリスクを小さくできますね。

 

悪質なエージェントを見抜くには?

悪質なエージェントを見抜くには?

続いて悪質なエージェントを見抜くポイントのご紹介です。「おいおい、そういうあなたもエージェントでしょ?」と突っ込みが入りそうですが(笑)、自責の意味も込めて、この内容でお届けします。エージェントに寄せられるクレームは、以下の類のものが多いと言われています。

  • ブラック企業ばかり紹介される
  • 登録したのに、全然案件を紹介してくれない
  • 案件に応募したのに、返事がない
  • 以前勤めていた会社や、自分で応募してNGだった企業を紹介される
  • 案件に応募したら「その求人への応募は難しいですが、こちらがお勧めです」といって、全然違う条件の案件を紹介される
  • 応募案件の時に示されていた雇用条件と、実際に入社してからの条件が違う

私自身も過去にエージェントを使って転職したことがあるのですが、実は何とその時の担当者に直接会ったことがありません。電話でほんの15分程度話しただけです。私は自分自身が採用の仕事もしており、エージェントから求職者の紹介も受けていた立場だったので、求職者となった自分がエージェントの担当者と一度も顔を合わせることなく、話がどんどん進んでしまうことに少し違和感を覚えたものでした。

最終的にはそこで紹介された企業で働くこととなったのですが、一度も会ったことのないエージェントの懐には私の紹介料としてそれなりのフィーが入ったわけで、正直「こんなボロい商売が成り立つのか?」と、半ばあきれたものでした。その後、紹介先企業の採用担当責任者となった私は、自分を紹介してくれたそのエージェントとは距離を置いた、というオチがあります。

悪質なエージェントの共通点

エージェントが悪質なのか、担当者のレベルに問題があるのか、いずれにしても自分の人生を左右する求職活動において、そこに寄り添ってくれる担当者の質で結果が左右されるならば、求職者にとっては不運と言わざるを得ません。これはあくまでも私の経験則からの見解ですが、悪質なエージェントとのトラブルを未然に防ぐポイントとして、次のようなことが見受けられる場合、担当者を代えてもらうか、そのエージェントとの距離を置くかというアクションをとることにしています。

  • こちらの話をよく聞かない(特に、今後の希望やこれまでの経緯について)
  • 明らかにマニュアルに沿った通り一辺倒の対応しかしない
  • こちらの都合を聞かず、面談の日程設定を一方的にしてくる
  • 魅力的な「釣り求人」を出してきて、実際には違うものをやたら勧めてくる
  • 履歴書や職務経歴書などの個人情報を送ったにもかかわらず、「受け取りました」の連絡がない
  • 紹介された案件を立て続けに辞退すると、ぱったり連絡が来なくなる
  • 案件に応募した後に、「実はこの雇用条件は変更になっておりまして・・・」などと、肝心な点についての訂正を入れてくる

(※クライアント側の事情もあるかもしれませんが、多くの場合は、エージェント側の不手際などが原因のことが多い)

なお、ちなみに大手の転職サイトなどに、エージェントやコンサルタントの評価付けをしている情報がよく載っています。よい情報はともかく、トラブル情報などもあると思いますが、あくまでも「参考情報」として受け止め、実際には自分との相性で付き合っていくのがいいと思います。