転職で後悔しないために必ずやっておく4つのこと

じつは転職した人の3人に1人が、転職を後悔し、前の会社に戻りたいと思っている事実をご存知でしょうか。

転職には、とてつもないエネルギーが必要です。よい求人情報を探して、応募書類の作成や面接対策をおこない、緊張しながら実際に面接を受ける。かりに不採用が続けば、こういったストレスのかかる作業を何回も繰り返さなければなりません。

それなのに、大変な思いをして手に入れた転職先へ不満を抱き、すぐに前の職場が恋しくなる人がこれほど多いのはいったいなぜなのでしょうか。

今回は、転職で後悔する原因を明確にし、転職で後悔しないために必ずやっておくことを4点紹介します。これから転職を考えている人は、ぜひこの話を読んでから動き出すようにしてください。そうすれば、転職による後悔は必ず防げるはずです。

転職で後悔する3つの原因

転職で後悔する3つの原因

転職で後悔する人が多いのは、自分が思い描いていた状態と現実に、大きなギャップがあるからです。もし転職前に、転職後の働き方がしっかりと予測できていれば、転職後に後悔することもなかったでしょう。

せっかく手にした新しい仕事を後悔することのないように、まずは転職で後悔する3つの原因をきちんと理解しておいてください。

仕事選びの優先順位が曖昧

転職で後悔する人は、ほぼ全員仕事選びの優先順位が曖昧です。優先順位が曖昧なまま転職を決めると、働き出してから「あれっ、こんなはずじゃなかったのに……」と、自分の希望とのギャップに苦しみます。

残念なことに、100%あなたの希望する条件が揃っている会社は、世界中のどこにもありません。だから転職前に、「なにをどこまで妥協できるか」を明確にしておかなければならないのです。

たとえば年収は少し低いけどミッションに共感できる仕事と、それほど興味の沸かない年収の高い仕事があったら、あなたはどちらを選びますか?

もし今即答できるなら、あなたの転職はきっとうまくいきます。反対になかなか決断できないようなら、転職後に後悔する可能性が高いです。少しでもいやなことがあれば、そう遠くないうちに、また転職を検討することになるでしょう。

強すぎる安定志向

強すぎる安定志向も、転職後に後悔を抱く大きな原因です。私は30代後半に、はじめての転職をしました。ところがその転職した会社を、わずか1か月半で退職してしまったのです。

経営者への失望・人間関係の悪さ・それにともなう多量の離職者など原因は数多くあれど、結局は強すぎる安定志向がこういった結果をもたらしたと、今ならよく理解できます。

ただ当時は失敗の原因がわからずに、再び転職した会社でも、また同じような状況に陥ってしまいました。まさに、絵に描いたような負のスパイラルです。

安定志向が強い人は、できれば今働いている会社を終の棲家にしたいと考えます。そうすると、「経営者の姿勢」「同僚との人間関係」「労働条件」などが、気になってしかたがないんですね。

とくに中小企業で働いている場合は、部署異動や転勤のような逃げ場がありません。だから、少しでもいやなことがあると、「早く会社を辞めてもっといい会社で働きたい」と考えてしまいます

しかし、この考え方は非常に危険です。前述のとおり、すべての面で満足できる転職先など、まずみつかりませんので。

◎50代の転職を成功させるポイントについては、こちらの記事でお読みいただけます

転職先や業界のリサーチ不足

転職先や業界のリサーチ不足が原因で、転職を後悔する人も多いです。しかし多少の不満を抱きながらも、転職先で長期間働き続けている人は数多くいます。そういった人は、転職前に転職先や業界のリサーチをしっかりとおこなっているので、決定的な不満にまで進展することがないのでしょう。

株式会社ビズヒッツがおこなった職場への不満に関するアンケート※によると、「人間関係・雰囲気が悪い」「収入が少ない」「労働時間・休日への不満」が、不満トップ3でした。

正直な感想をいえば、収入や労働時間が自分の希望と合わないことは、転職前に調べればある程度予測できたと思うのです。人間関係や社風にしても、口コミサイトや知り合いに聞くなど、方法はいくらでもあったでしょう。

このように、面倒くさがって事前リサーチを怠ると、転職後にそのしわ寄せがくるんです。せっかくの転職なのに、非常にもったいない話だと思います。

※参考:【職場の不満ランキング】男女500人アンケート調査

◎転職先のリサーチについては、こちらの記事でお読みいただけます

転職しないほうがいいのはこんな人

転職しないほうがいいのはこんな人

転職の相談にきた求職者の話を聞くと、「この人は、まだ転職しないほうがよさそうだ」と感じるケースが少なくありません。その場合はできるだけ正直に、転職を思いとどまるよう、お伝えしています。

では、どういう人が転職を再検討すべきなのか、その特徴を3点紹介します。もし自分が当てはまるようなら、もういちど転職についてじっくりと見直してみてください。

転職後の明確な目標がない

まず1つめは、「今の職場に不満はあるものの、明確な目標も決まっていない」ケースです。目標がないまま転職すると、多くの場合、転職後にはじめて「元の職場のほうがよかった」と気がつきます。なぜならば、転職によって、前職と比較する対象ができてしまったからです。

転職前はひたすら前の会社が悪いと思っていたのに、じつはほかの会社も同じようなものだった。そう気づいてから後悔しても、もはやどうしようもありません。日本ではいったん転職してしまえば、もとの会社に戻るのはほぼ不可能ですから。

もし今の仕事にマンネリを感じているなら、転職の前に部署の異動を希望するのもひとつの方法です。職場の人間関係が悪ければ、コミュニケーションの勉強をして、お付き合いのしかたを変えてみるのもよいでしょう。

いきなり転職という極端な手段を取らずに、まずは社内でできることに取り組んでみると、転職の必要性がなくなるかもしれませんね。

転職しないほうがメリットが大きい

転職を希望する人のなかには、明らかに転職しないほうが得をする人がいます。ところが、現職に不満のある人は、とにかく転職さえすればなんとかなると思い込んでしまい、冷静に自分のキャリアを検討できなくなっているんですね。

私が相談を受けたある転職希望者は、長らく営業畑で経験を積んできましたが、突然の辞令で経理部門へ異動になりました。経理の知識は多少あるものの、今まで経理の仕事をしたことはなく、仕事に行き詰まり転職の相談にいらしたのです。

経理の仕事も頑張ってはいるのですが、これまで営業としてバリバリ働いていた自分と比較してしまい、気分は落ち込むばかり。ところがじっくり話を聞くと、上司から責められているわけではなく、むしろ「できるだけサポートするから頑張ろう」と励ましてもらっているというではありませんか。

不慣れな仕事を続けていれば、誰だって自信をなくしてしまいます。でもこの状況を、お金をもらって経理のスキルが身につくチャンスだと考えたらどうでしょう。実際、転職市場において、経理のエキスパートは引っ張りだこです。

このように今のまま働き続けることにメリットがあるなら、しばらくは現職に留まり、より大きなチャンスを待つほうが得策だと思います。

◎自分の強みをみつける方法については、こちらの記事でお読みいただけます

自分の強みを把握していない

「自分はこれが得意だ」と断言できる強みがない人も、転職は時期尚早かもしれません。いくら素晴らしい知識やキャリアがあっても、自分の強みをわかっていない人は、応募する企業にアピールができないからです。

転職で採用する人材に対して、企業は「即戦力」を求めています。それなのに、面接官へ採用のメリットをアピールできなければ、採用側も採用の決断に困ってしまうでしょう。

したがって、もし現時点で自分の強みをきちんと把握できていないのであれば、転職はオススメしません。その場合は、まず現職のまま、自分の強みを見出していくことに集中してください。

強みがわかった時点で、かりに今のままではその強みを活用できないと判断したら、そのときはじめて転職を検討すればいいのです。

とはいえ前述のように、転職をせずに部署の異動や転勤で解決するケースも考えられます。もちろん自分の希望通りに異動できるとも限らないので、そのあたりについては、自社の雇用状況をみながら、臨機応変に対応してください。

◎身につけておくべきスキルについては、こちらの記事でお読みいただけます

後悔しない転職のために必ずやっておくこと

後悔しない転職のために必ずやっておくこと

最後に、後悔しない転職のために必ずやっておくことを、4つほど紹介します。どれも重要なポイントばかりですので、ひとつの抜けもないようにしっかりと取り組んでください。

1.転職したい理由をポジティブとネガティブの両面から洗い出す

転職を考えているなら、なによりも転職したい理由を明確にするのが最優先事項です。その際には、必ずポジティブとネガティブ両面から洗い出すようにしてください。以下は、社会人材学舎の相談者から聞いた、代表的な転職の理由です。

【ポジティブ】

  • 将来実現したいことがあり、そのステップアップにしたい
  • 自分の実力を高めるために、新たな領域にチャレンジしたい
  • 自分の裁量をもって責任ある仕事をしたい

【ネガティブ】

  • 現在働いている会社の待遇に不満がある
  • このまま働いていても昇進や昇給の可能性が低い
  • 職場の人間関係に不満がある

自分で転職の理由を考えてみて、もしネガティブな理由が多い場合は、転職後悔予備軍になる可能性が高いです。できるだけポジティブな理由をたくさん探してみましょう。

そうすれば、今の職場のよさが再認識できるかもしれないし、転職する場合も転職先を選ぶ基準が大きく変わるかもしれません。

2.仕事選びの優先順位を明確にする

前述のとおり、転職の目的が明確でない人は、転職をするべきではありません。目的が明確でないと、転職後に不満を感じてしまい、またすぐに転職を繰り返すことになりかねないからです。

しかしいくら転職の目的がクリアできても、それ以外の条件が満たされなければ、これまた転職を後悔する可能性があります。そういった事態を回避するためにも、転職に必要な要素をピックアップして、それらの条件に優先順位をつけておくようにしてください。

たとえば、年収の高さを目的に転職を検討しているとしましょう。労働条件は相対的な面があり、報酬アップには、仕事量と責任の増加が不可欠です。年収は上げたいけど、忙しすぎるのも困るというのでは、結局「給料が増えても、これなら前の会社のほうがよかった」となりかねません。

もちろん、報酬アップと引き換えに忙しくなるのは、転職前にある程度想定していたと思います。しかし、想像と現実のギャップが大きいのは、よくある話です。

「なにかを得ればなにかを失う」そういう現実をしっかりと見つめ、どこまでなら条件を受け入れられるのかを、事前に明確にしておきましょう。

3.安定か?変化か?転職へのマインドをつくり変える

「強すぎる安定志向」でお話ししたように、過度の安定志向は転職後の後悔を引き起こす大きな原因になります。安定を転職先に求めても、いずれは別の不満を抱くようになり、またすぐに転職を考えだすのがおちです。

ところが、転職による変化をチャンスと捉えれば、状況は大きく変わります。転職に安定を求めるのではなく、新しい職場で新しいスキルと経験を得ることにフォーカスするのです。そうすればあなたの市場価値は今よりもアップして、自然とよい条件で働けるようになるでしょう。

転職先で満足のいく条件が得られるなら、そのまま働いても構いません。レベルアップしたあなたをより高い条件で採用してくれる企業があれば、そのときは再び転職するのもよい選択だと思います。

とくに地方の優良中小企業から転職オファーがあった場合は、いちど真剣に検討してみてください。最初は待遇が下がったとしても、結果を出せば一気に高待遇が期待できます。

◎中小企業へ転職するメリットについては、こちらの記事でお読みいただけます

4.転職の先にある社会人人生の目的と目標を決める

転職で後悔しないためには、転職の先にある、さらに大きな「社会人人生の目的」まで見据えた計画と行動が重要です。

誰だって転職をしたら、できるだけ長く働きたいと願うもの。しかし転職により自分が成長できて、次のキャリアアップに役立つなら、たとえ短期間で再び転職してもその転職は間違いなく大成功といえます。

かりに条件のよくない転職先でも、「この会社で◯◯のスキルだけは身につけたい」とか、「ここでこういう実績をつくれれば自分のキャリアアップに役立つ」という思いがあれば、後悔なく働けるはずです。人間は、ゴールが明確ならある程度のことは我慢ができますからね。

そのうち成果が出てくれば、あなたの評価が高まり、その会社の居心地もよくなっていくでしょう。そうなれば、ムリに転職をしなくても、楽しく充実した社会人人生が送れると思います。

まとめ

冒頭でもお話ししたように、転職で後悔をする人は非常に多いです。せっかく転職したのに、その転職に不満を抱えずっと後悔するようでは、なんのために転職したのかわかりません。

しかし、今回紹介した4つの「後悔しない転職のために必ずやっておくこと」に取り組めば、転職後に後悔する可能性を大幅に削減できます。なかでも、転職の目的や社会人人生の目標を明確にするのは、非常に重要です。

とはいえ、いきなり自分ひとりで考えても、なかなか思いつくものではありません。そういう場合は、ぜひ私どもの無料オンラインセミナーにご参加ください。40代・50代からのセカンドキャリアに必要な準備が、このセミナーですべてわかります。

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