中小企業にキャリアチェンジするということ

大企業にお勤めの方は中小企業で働くということを考えてみたことはあるでしょうか。
中小企業庁の2016年版中小企業白書によりますと、日本には、大企業が1.1万社(0.3%)、中小企業が380.9万社(99.7%)と圧倒的に中小企業の方が多くなっています。また、従業員数でみると大企業が1,433万人(31%)、中小企業が3,361万人(69%)となっており、7割の方が中小企業に勤めているというのが現状です。

深刻な中小企業の人手不足

深刻な中小企業の人手不足

 

昨年リクルートが発表した平成31年春卒業予定の求人動向調査によると、従業員300人未満の中小企業の求人倍率(学生1人に対する求人数)は9.91倍で過去最高を記録。従業員5,000人以上の大企業の求人倍率は0.37倍と極端に差が開いています。平成31年1月の有効求人倍率は1.63倍と相変わらず高い水準で推移していますが、中小企業にとってはかなり厳しい状況であることが推測されます。昨年の帝国データバンクの調査によると2018年上半期の人手不足倒産は半期ベースで最多となっています。中小企業にとって人手不足は深刻な問題になっています。

中小企業の採用の状況

大企業と中小企業の採用状況に大きな差が出ているのはなぜでしょう。大企業には採用の専門部隊がいることが多いですが、中小企業はそうはいきません。採用専門の担当者がいることはほぼありませんし、人事全般さらには総務も担当しているというケースが普通です。
そうするとどうしても採用にかけられる労力が限られ、人手不足の時代にはよりその採用力の差が如実に出てしまいます。当社では中小企業と人材のマッチングイベントを行っていますが、それぞれに魅力ある企業ばかりで、参加者の多くがこの会社と関わりを持ちたいと言ってくれます。多くの中小企業は魅力をうまく伝えることができれば、もっと採用可能ではないかといつも思ってしまいます。

どんな人が足りていないのか

2018年版中小企業白書では、中小企業において不足している人材を中核人材と労働人材に区分して調査を行っています。中核人材とは高い専門性や技能等を有し、事業活動の中枢を担う人材、労働人材とは中核人材の指揮を受けて事業運営に不可欠な労働力を提供する人材を指しています。調査によると労働人材の不足感がある企業は7割程度と高い水準にありますが、中核人材も半数以上の企業で不足感があるという結果になっています。中核人材は、若い人では対応しにくいことは明らかですから、40代50代の経験豊かな人の活躍の場は大いにあると言っていいでしょう。当社で職業紹介を行う中で、企業様から若い人がほしいという要望をいただくことが多いのですが、よくよく聞いてみるとその会社の成長のためには中核人材、すなわちミドルシニア層を採用した方がブレイクスルーできる可能性が広がる案件が非常に多いです。

中小企業に中核人材が転職しないのは

ミドルシニアにとって活躍の場が広がる中小企業に労働力移動がなかなか起きないのはなぜでしょう。これには様々な要因がありますが、何といっても一番の要因は収入でしょう。規模別の平均年収は社員数100~499人の企業が421.9万円なのに対し、5,000人以上の企業は508.6万円、東証一部上場企業は672万円と、規模が大きいほど年収は高くなっています。こうなるとやはり、収入が下がってもそれに見合う得られるものがなければ転職はしないのが普通でしょう。

中小企業に中核人材が転職しないのは

中小企業に転職した人の声

とはいえ、当社の職業紹介サービスを利用して大企業から中小企業に転職している人は数多くいます。そうした方の声には以下のようなものがあります。
◆経営者がすぐそばにいて、自分が共感したビジョンを生で聞き続けられるので、やる気が出る。
◆社員数が少ないので、「自分がやらねば誰がやる」という責任感が増し、自分の存在価値を感じることができる。
◆自分がやると決めたことが実現する可能性が高く、スピードも速い。少し不安になることもあるが、裁量の範囲が広く自由を感じている。
◆前職に比べて給料は下がったが、業績を上げれば給料を上げてもらえる可能性が高いので、前職の給料以上になるようにがんばろうと思う。また、活躍し続ければ定年はあってないようなものなので、老後の心配をあまりしなくて済む。

まとめ

収入を維持することは非常に大事なことと思いますが、あなたの価値基準の優先順位はいかがでしょうか。もちろん大企業に勤め続けることを否定しているわけではありません。その方がいい人は数多くいます。でも、自分の人生の選択肢は広い方が望ましいはずです。あなたの本当の価値基準に照らした時にどんな生き方、働き方が幸せなのか考えてみるのも悪くないのではないでしょうか。その時に中小企業も選択肢に加えていただくのはどうでしょう。あなたを必要としている企業は数多くあります。