転職活動に焦りは禁物!仕事を選ぶ判断基準を明確にしよう

ミドルシニアに特化した転職エージェントを経営する私は、セミナーやカウンセリングなどを通して、これまでにおよそ1,000名ものビジネスパーソンにお会いしてきました。

これだけ人に会うと、いろいろなことが見えてきます。

なかでも気になったのが、早く仕事を決めたくて、求人票の条件に妥協している人の多さでした。正直言って、これは非常に危険です。転職先に潜り込んだはいいが、自分の志向と会社の風土が合わずに、再び転職するはめにもなりかねません。

転職活動に、焦りは禁物です。焦って不満の種を抱えたまま転職するよりも、まずは転職先を選ぶ際の判断基準を明確にするべきでしょう。

今回は、転職がうまくいかない人に共通する4つの理由とその対策について、詳しくお話しをしていくつもりです。ぜひ最後まで読んでいただき、転職活動の焦りを払拭していただければと思います。

あなたが転職できない4つの理由

あなたが転職できない4つの理由

冒頭でもお話ししたとおり、転職活動中の焦りを打ち消すには、転職がうまくいかない理由を明確にして対策をしっかりおこなうしかありません。

転職をはばむ理由はさまざまですが、今回は以下の4点について解説していきます。

  • 転職先企業とのミスマッチ
  • 条件にこだわりすぎる
  • 自分の強みやスキルを整理できていない
  • 自己PRがヘタ

それではひとつずつ解説していきます。

転職先企業とのミスマッチ

自分の能力や適性を無視して、とにかく会社に雇ってもらおうという態度が表面に出ていると、転職活動は失敗しやすいです。

なぜなら転職先企業は、キャリアと経験があり、かつ自社の社風に合いそうな人材を求めているからです。企業の採用担当者は、これまでに何度も転職希望者と話をしていますから、相手が本当に熱意をもって応募してくれたかどうかはすぐにわかります。

条件面で妥協してきた人は不満を抱えながら働くことになり、入社後にトラブルを起こす可能性が高いです。最悪の場合、すぐに辞めてしまうかもしれません。かりに応募者が複数いれば、やはり自社をきっちり調べ、納得して応募してくれた人を優先的に採用するでしょう。

条件にこだわりすぎる

さきほどとは逆に、転職条件にこだわりすぎるのも、転職がうまくいかない大きな原因になります。

ひと昔前までは「転職の限界は35歳まで」などといわれていましたが、きちんとしたスキルやキャリアさえあれば、現在では40代でも50代でも転職は十分に可能です。

とはいえ30歳前半までと比べると、やはり40〜50代の求人数は激減します。そういった状況下であまり条件にこだわると、ただでさえ少ない門戸がさらに狭くなるのは当たり前です。

とくに前職で役職に就いていた場合、同じ役職や待遇を求めると、転職は極端にむずかしくなります。

もちろん待遇面も、転職の重要な要素のひとつです。しかしすべての希望がかなう転職は、そうそうありません。自分の決めた最低限のラインより上ならば、あまり条件面にこだわりすぎないようにしましょう。そうすれば、転職の確率は大きくアップするはずです。

自分の強みやスキルを整理できていない

年齢を問わず、自分の強みやスキルをしっかりと把握していない人は、なかなか思うような転職はできません。なぜなら多くの企業が、中途採用者に専門知識・能力・経験、ようするに「即戦力の人材」※を求めているからです。

したがって、ライバルに負けずに転職を勝ち取るには、自分の強みやスキルをうまく転職先企業にアピールしていかなければなりません。そのためには、自分の強み・弱み・スキル・専門知識などを、いつでも話せるようにまとめておく必要があります。

また自分の強みや能力を評価されての採用となれば、新しい職場で思い切り力を発揮できる環境が与えられるはずです。給与額などの条件面にこだわるのも必要ですが、それよりも自分の強みやスキルをいかにきちんと評価してもらえるかを考えてみましょう。

※参考:厚生労働省 7 2 転職者の採用状況 (1)転職者の採用に当たり重視した事項 転職者がいる事業所が転職者

自己PRがヘタ

転職がうまくいかない人は、まず間違いなく自己PRがヘタです。前述のとおり、企業は即戦力を求めていますから、「自分を雇うと転職先企業にどれくらいメリットがあるか」をうまくアピールできなければいけません。

そもそも面接で聞かれることは、ほぼ決まっています。いくらでも準備ができるはずなのに、そういった質問にうまく対応できない人は、準備もできない能力不足の人材と判断されても仕方がないでしょう。(準備しすぎと思われても、それはそれで問題なのですが……)

といっても、とくに面白くてすごい話は必要ありません。事前にしっかりと分析した「自分はどういう人間か」という事実を、相手にしっかり伝えればいい。「この人は自分をしっかりともっているな」と担当者が判断してくれれば、それで十分です。

焦りを抑えて転職活動を成功させるには

焦りを抑えて転職活動を成功させるには

転職がうまくいかない理由を知ってもらったところで、今度は転職活動を成功させるためのポイントを5つご紹介していきます。

  • 焦りの原因を知り、適切に対応する
  • 仕事選びの判断基準を明確に
  • 自分の年代に特化した転職エージェントを選ぶ
  • 人的ネットワークを徹底的に活用する
  • 転職は打率じゃない「諦めずに応募数を増やそう」

それではひとつずつ見ていきましょう。

焦りの原因を知り、適切に対応する

冒頭でも触れたとおり、転職に焦りは禁物です。焦りをなくすには、下記のように、前半であげた4つの原因に対してひとつずつ対策していくしかありません。

  1. 転職先企業とのミスマッチ → 仕事選びの判断基準を明確にする
  2. 条件にこだわりすぎる → 転職条件に優先順位を設定する
  3. 自分の強みやスキルを整理できていない → 自己分析を徹底的におこなう
  4. 自己PRがヘタ → 自己PRの準備をしておく

上記4点をじっくり考えてみると、じつはすべて「自己分析の不足」が、根本的な原因になっているのに気づきます。

しかし自己分析は、己の悪い面にも目を向けなくてはならない辛い作業です。またひとりでおこなうと、どうしても偏った分析になる可能性があります。正しい自己分析を導き出すためにも、自己分析は必ずキャリア研修の専門家と一緒におこなってください。

仕事選びの判断基準を明確に

40代以降の転職となれば、自分の希望する条件が揃った転職案件は、まずないと考えておくべきです。となると転職活動の前には、絶対に譲れない条件と諦めてもいい条件を明確にわけておく必要があります。

自分なりの優先順位が決まっていれば、応募書類や面接時でもミスマッチが起きづらく、あとから不満が出るような事態は避けられるはずです。また転職先から「こういう条件でも大丈夫ですか?」とオファーを受けたときにも、即答ができます。

とにかく仕事選びの基準を明確にしておくと、転職の決まる確率が確実にアップします。ぜひ最優先で取り組んでください。

自分の年代に特化した転職エージェントを選ぶ

40代以降の転職希望者は、必ずミドルシニア層に特化した転職エージェントを選んでください。20代・30代をメインターゲットとする転職エージェントを選んでしまうと、おそらくどんなに応募しても、ほとんど反応はないでしょう。

こうなると時間がムダになるだけでなく、あまりの反応のなさに、これまで培ったプライドややる気が粉々にされてしまうかもしれません。そうなってしまえば、もはや転職どころではないですよね。

その点、ミドルシニアに特化した転職エージェントなら、あなたのスキルと経験は非常に大きな武器となります。

私ども社会人材学舎でも、ミドルシニアに強い転職サービスを運営しています。実力があるのに知名度のない「隠れた優良中小企業」との太いパイプがあるので、自分の実力を思い切り発揮したい人にはとくにオススメです。

人的ネットワークを徹底的に活用する

経験もキャリアもある40代以降になれば、社内外にある程度の人脈をもつ人も多いでしょう。できるだけ転職の成功率をアップさせたいのなら、こういった人脈を利用しない手はありません。

普段から自分の働きたい仕事内容や得意分野を友人や知人に伝えておくと、タイミングよく、まだ表に出ていない求人情報を教えてもらえることがよくあります。

企業側にすれば、まったく面識のない人よりも、自分と面識のある人から紹介された人のほうがやはり安心です。「◯◯さんなら、△△のエキスパートだから間違いないと思うよ」と紹介されれば、面接の前からすでにある程度信頼関係が構築されたようなもの。

もちろんそういった紹介を受けるには、日頃から誠意をもって、周囲の人と信頼関係を築いておく必要があります。人間関係は、「ギブアンドテイク」が基本です。どういった関係でも、自分の利益ばかり考える「テイカー(Taker)」は嫌われ、信用されません。

会社の先輩後輩・取引先の社員・学生時代の友人・趣味や地域活動のメンバーなど、自分の知り合いが困っているときは、ぜひ積極的にサポートしてあげてください。紹介を目的にお付き合いをするわけではありませんが、こういった誠意ある姿勢は、いつかきっとあなたを助けてくれるはずです。

転職は打率じゃない「諦めずに応募数を増やそう」

40代50代からの転職活動において、1社に絞って応募するやり方は非常にリスクが高いです。そもそも、応募した企業すべてに面接してもらえる保証はありません。10社に応募して、面接にまで漕ぎ着けるのは、3社前後だと考えておいたほうがいいです。

それなのにいきなり1社に絞ってしまうと、かりに不採用だった場合、またいちからやり直ししなければなりません。不採用が2〜3回と続けば、あっという間に数か月が経過してしまいます。

転職を決意してから、何か月も不安定な状態が続くと、正直精神的にかなり苦しいです。そういった状況を回避するためにも、打率を求めるのではなく、とにかく応募数を増やしましょう

応募数を増やして、複数企業の求人票を比較すると、自分がどういう会社で働きたいのかが明確になってきます。応募数が増えれば、転職活動の経験値が増え、面接にも自信をもって臨めるはずです。

ただし、欲張って応募数を増やしすぎると、書類作成や面接の準備が中途半端になる危険性があります。面接日が重なってしまった場合の対策なども、考えておく必要があるでしょう。

焦りを生まない転職先選びのポイントと注意点

焦りを生まない転職先選びのポイントと注意点

転職は人生の中で、もっとも重要な決断のひとつです。「満足のいく会社へできるだけ早く転職したい」誰もがそう考えているでしょう。しかし、焦りや不安から転職を急ぐと、あとから後悔することにもなりかねません。

そこで最後に、焦りを生まない転職先選びのポイントと注意点を、4点お伝えしていきます。

自分に合った職種や企業のタイプを選ぶ

世の中にはさまざまな企業が存在しており、業務内容も社風もそれぞれ異なります。自分と転職先の相性を考慮せずに転職を決めてしまい、万が一その会社と合わなかったら、最悪またすぐに転職です。

こういったミスマッチを防ぐには、事前に会社との相性をできるだけこまかく検討しておくしかありません。

そうなればなにをおいても、まず自己分析です。自分のキャリア・経験・やりたいことを明確にしてください。自分の方向性が明確になれば、転職先企業で自分がイキイキと働けるかどうか、判断が容易になります。

もちろんそのためには、業界や職種、企業の研究も必要です。企業の規模も考慮する必要があるでしょう。

たとえば、社歴の浅いベンチャー企業は自由度が高く、自分のアイデアを実現できる可能性がアップします。ただし、会社自体がまだ不安定なので、待遇は一般的に低めです。

一方、大手企業は安定した環境で働けますが、ヒエラルキー(上下関係)が厳しく、人間関係によるストレスが予想されます。いずれにせよ、「できるだけ自分が活躍できる環境で働く」という意識は、必ずもっておきたいものです。

なお、業界や企業研究のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、そちらの記事にも目を通しておいてください。

企業風土や口コミにも注意しておく

募集企業の情報を調べる際には、給与や福利厚生といった待遇面だけでなく、ぜひ企業風土を意識してリサーチしてください。

企業風土とは、その企業の社員が抱く価値観や文化、仕事の進め方などを指す総称です。どれほど雇用条件がよくても、その風土に合わない場合はストレスや不満が溜まってしまい、長期的なキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性があります。

企業風土を調べるには、まず企業の公式サイトを隅から隅までじっくりと読み込みましょう。公式サイトには、口当たりのよいことしか書いていないという人もいますが、それでも企業のもつ雰囲気はなんとなくわかるものです。

また、口コミも転職先を選ぶ上での重要な情報源となります。現在、多くの転職サイトや口コミサイトがあり、ある程度規模の大きな会社なら、そこで企業の評判や社員の声を確認できます。

公式サイトでは決してわからない生々しい情報や体験談が書かれていることも多く、募集企業の口コミがあれば、必ずチェックしておきたいですね。

ただし、口コミには嘘や偏りも存在するため、100%信じるのは危険です。あくまでもひとつの判断材料として扱い、確証の取れないものは決して鵜呑みにしないでください。

好待遇は転職後に実力で勝ち取るべし

転職の際には、誰だって給与額や福利厚生の内容が気になるもの。できれば、前職よりもよい条件で働きたいと思うのは、至極当たり前の話です。

ただし、入社時の待遇にこだわりすぎると、転職の可能性自体が低くなります。企業は、採用者が会社に貢献してくれるか、非常に不安を感じているものです。せっかく採用してもすぐに辞められてしまえば、またいちからやり直しですからね。

そのため企業は、最初の報酬を低めに抑えて、採用者の短期退職についてリスクヘッジをしています。しかも転職をすれば、転職先の規模は小さくなるのが一般的です。そういう状況のなか、あくまでも好待遇を求めれば、採用の確率が下がって当然でしょう。

幸いなことに、中小企業はトップに権限が集中しています。つまり、あなたが結果を出して経営者に手放したくない人材だと認められれば、一気に待遇が改善される可能性があるわけです。

好待遇は転職後に実力で勝ち取る」そのくらいの熱意で転職をすれば、必ず満足のいく転職になると思います。

地方の優良企業も視野に入れる

地方の優良企業を視野に入れると、転職の確率は大幅にアップします。地方の企業は、大都市圏に比べて知名度が低く、求人数も少ないため、どうしても注目度は低くなりがちです。

しかし知名度がないだけで、実際には財務状況もよく、実力のある会社が数多く存在しています。しかも地方の企業は、人材の確保に苦労している場合が多く、能力のある人材なら間違いなく引く手あまたな状態です。

なんといっても、地方での経営は都市部よりコストがかからないので、職場環境が整っています。通勤時間にしても、都心部なら毎日満員電車に揺られ、1時間近く通勤しなければなりません。一方、地方は車通勤がデフォルトで、渋滞も都心に比べればゼロに等しいくらいです。

住環境もいいし、公園や郊外の海や山にもすぐに遊びにいけます。今はたいてい郊外に大型ショッピングセンターがあるので、日常の買い物にも困りません。

もちろん、どうしても地方勤務が嫌な人もいるでしょう。「都市部に比べて商談先が限られてしまう」「都市部のような刺激的な生活が送れない」など、そういった理由にもたしかに一理あります。

しかし、そういったデメリットを考慮しても、やはり地方での勤務には魅力が満載です。このコラムを読んでいる人は、ぜひいったん思い込みを捨てて、地方勤務を前向きに考えてみてください。きっと、充実した転職ライフが待っていると思いますよ。

まとめ

繰り返しますが、転職活動に焦りは禁物です。焦りは必要以上の妥協を生み、必要以上の妥協はいずれ必ず不満を呼び起こします。

転職を成功させるには、とにかく仕事を選ぶ判断基準を明確にして、納得できる条件で転職を決めることです。

そのためにも、まずは徹底した自己分析が必要になります。また若い人材向けの転職エージェントは絶対に避け、ミドルシニア向け案件が豊富な転職エージェントを選んでください。

私ども社会人材学舎でも、ミドルシニアに特化した転職サービスと、知命塾というキャリアアップ研修を運営しています。これから転職を予定している人は、ぜひ活用してください。一緒に転職を成功させましょう。