「今のままで、この先大丈夫なのだろうか……」
そんな風に自分の将来に不安をもつビジネスマンは多いのではないでしょうか。
たしかに会社に在籍して今まで通りに仕事をこなせばいいという時代は過ぎ去りつつあります。
同じ会社で働き続ける、または転職するにしても、これからは常にキャリアアップを心がけて、自分の価値を第三者に認めてもらうということを意識する必要があります。
そのためには、ビジネスマンとして自分の強みをみつけることが、大変重要になってきます。
とはいえ、ほとんどの人が、自分の強みを第三者に認めてもらえるレベルまでまとめあげるに至っていないと感じます。
今回は、自分の強みをみつける方法と、みつけた強みをどうやって活かせばいいのかについて、詳しくお話していきます。
=目次=
自己分析で見つける「強み」とは
自己分析において、自分の「強み」を見つけることは、今後のキャリアを築き上げる上で非常に重要になってきます。特にミドルシニア層にとっては、これまで培ってきたスキルや経験をいかに「武器」としてアピールできるかが勝負の分かれ目です。
自分の「強み」と「長所」の違い
「強み」と似たような意味を持つ「長所」という言葉があります。さて、あなたは「強み」と「長所」の違いを明確に理解しているでしょうか?
「強み」と「長所」の違いをしっかりと理解することで、自分の「魅力」を的確にアピールできるようになるため、今後の転職活動やセカンドキャリアを築く上で役立ちます。
「長所」とは、あなたの性格や人柄に対する特徴のことを指します。例えば、「真面目である」「協調性がある」「負けず嫌いである」などが挙げられますね。これはあなた個人の特徴を形成するパズルのピースのようなものです。日々の業務や人間関係において根本にある重要な要素となります。
一方「強み」とは、あなたの知識や経験が「ビジネスにおいてどのような価値があるか」という視点で言い表すものです。これは、あなた個人の特徴ではなく、仕事をする際に発揮される能力や行動特性を指します。
例えば、「真面目である」という長所を持っている場合、ビジネスにおいては「必ず納期を守り、高品質な成果を提出できる」という行動特性が「強み」となります。
強みを発揮することで、企業におけるプロジェクトの成功に貢献できたり、顧客満足度の向上に繋がったりなど、ビジネスにおける「価値」となるのです。
自分の「強み」と「自己PR」の違い
ここで注意しておきたいことは、「強み」と「自己PR」もまた、意味が異なるという点です。
自己PRとは、あなたの強みを活かして、相手の「価値」を生み出すために「どのような行動やスキルを発揮できるか」をアピールすることです。それは、企業に対してあなた自身を必要だと思ってもらうためのオーディションだとイメージしてください。
先ほどの例に挙げた「真面目である」という長所を持つケースを考えてみましょう。強みは「必ず納期を守り、高品質な成果を提出できる」ことでしたね。この場合の自己PRは、例えば次のように表現できます。
「社内システムのイレギュラーが発生し、準備が思うように進まなかったものの、なんとかして納期を守るため、関係各所と密に連携をとりながら業務フローの見直しと優先順位の再設定を迅速に実行。その結果、納期を厳守し期待を上回る成果を上げることができた。」
このように、「強み」はあなたの能力や特性そのものを指し、「自己PR」はその強みが「どのような場面で」「どのように発揮され」「どのような成果につながったのか」を具体的に説明することです。
つまり、ミドルシニア層の方はこれまでの知識やスキルが豊富ですから、具体的なエピソードと絡めてアピールするコツを掴めば、新たなキャリアを築く上で強力な「武器」となるでしょう。
自分の強みが分からない時の「3つのアプローチ」
自分の強みを見つける方法は人それぞれです。しかし、やはり見つけやすいパターンというものがあります。この章では、これまで自分の強みについてあまり考えたことがなかった人に向けて、オススメの方法を3ステップに分けてご紹介します。
1.徹底的な自己分析「自分史づくり」
自分の強みを探すためには、まず「自分史」をつくってみるのがオススメです。「自分史ってなに?」と思われるかもしれませんが、自分史づくりは文字通り、これまで生きてきた自分の歴史をまとめていきます。
でもどうして、わざわざ自分史をつくる必要があるのでしょうか。
理由は大きく3つあります。
- 自分の考え方を客観視できる
- 自分がこれまでに身につけたものがわかる
- やりたいこと・やるべきことが明確になる
これまでの人生を振り返るうちに、自分がどんなときに楽しかったか、またはイヤだったか、ものごとに対する自分の判断基準が明確になるでしょう。
また自分史づくりでは、これまでの人生だけでなく未来についても考えていくので、過去の自分と未来のなりたい自分のギャップがわかります。
すると今自分がどういうことをやりたいか・なにができるのか・これからなにをすればいいかが、必然的にハッキリしてくるはずです。
具体的な自分史のつくり方ですが、特別むずかしいものではありません。これまでの人生を小学生〜中学生〜高校生〜大学生〜社会人のように区切り、それぞれの時代ごとに印象的な出来事を書き出していきます。
内容に決まりはありませんが、「好きだったこと」「イヤだったこと」「ハマったこと」「うまくいったこと」「失敗したこと」などを書き出せば間違いないでしょう。
2.他者から見た自分を知る
自分の強みを自分だけで探そうと思っても、案外自分のことはわからないものです。したがって、必ず「他者から見た自分」を確認する時間が必要になります。
先日取引のある不動産会社にうかがったときのことです。お客様に提出する検査報告書へのクレームで困っている、という話を相談されました。しかしそのクレームは内容についてではなく、報告書のこまかい書式について何度もダメ出しをされるそうです。
この話を聞いて、昔の自分を思い出しました。
当時営業から管理部門に異動したばかりの私は、全社員に向けて発信する書類づくりでダメ出しばかりされていました。まさに相談を受けた会社の状態そのものです。
もちろん最初はまったくできませんでしたが、なんどもやり直すうちに、次第に問題なくこなせるようになっていきました。(今でも得意だとは思っていません……)
その後の部署では、責任者としてダメ出しをする立場になるのですから、おもしろいものです。
その話を不動産会社の担当者とお話したときに、自分では苦手意識をもっていることも、他人からみると案外立派な強みになっていると気がつきました。
少々極端な例をお話しましたが、人から言われてはじめて気づくことがあるというのは、ぜひ知っておいてください。どうやって第三者のフィードバックをもらうかについては、最後にご紹介します。
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3.弱みを強みに変換してみる
自分を振り返り、他者からみた自分を知ったとき、強みだけでなく同時に弱みにも向き合う必要があります。誰でも自分の弱みを受け入れるのは怖いもの。もしかするとイヤな自分を知り、しばらく落ち込んでしまう人もいるかもしれませんね。
そういうときは、弱みを強みに言い換えてみるのもひとつの方法です。たとえば、以下のような弱みは、考え方ひとつで強みにもなります。
- 優柔不断でなかなか決断を下せない→ものごとを慎重に進める
- 神経質でこまかいことが気になる→リスクマネジメントに長けている
- 人見知りで人と打ち解けるのが苦手→身の回りの人間を大切にする
- 理屈っぽい→論理的な考え方ができる
- 計画性がない→行動力がある
- 自己主張が強い→主体性がある
こうしてみると、強みと弱みは常に表裏一体。その人の捉え方次第だということがよくわかりますね。本当になおすべき点には真摯に向き合う必要はありますが、弱みは強みに変えて、ぜひ前に進んでいきましょう。
自分の強みを見つける具体的な方法
この章では、自分の強みを確実に見つけられる具体的な方法をご紹介します。5つの方法をすべて実践するべきとは言いません。あなたが取り組みやすい方法で、チャレンジしてみてくださいね。
自己分析における「強み」と「弱み」一覧
「強み」と「弱み」は表裏一体です。例えば、「計画性がない」という弱みは、「臨機応変に対応できる」という強みに捉えられます。「プライドが高い」という弱みは、「高いレベルで業務に取り組める」という大きな武器となるのです。
強みが見つからないと感じている方は、まずは自身の「弱み」を見つけることから始めましょう。自分の弱みだと思っていることは、視点を変えると強みになるのです。
自分の強みを「自己分析ツール」で診断する
Webサイトや書籍などで提供されている自己分析ツールを活用すれば、質問に答えるだけで客観的に自分の強みを診断できます。
自己分析ツールは、心理的なアプローチに基づいた質問によって、自分の性格特性や行動パターン、潜在的な能力などを分析し言語化できる便利なツールです。手軽に始められるため、取り組みやすいでしょう。
これまで自分自身でも気づかなかった意外な一面や、潜在的な強みを発見するきっかけとなるはずです。それだけでなく、どのような状況でその強みが発揮されるのかを把握するヒントになるでしょう。
自分の強みを「ワークシート」で探す
自己分析ワークシートには、さまざまな質問や項目が用意されています。これらを1つずつ埋めていくことで、自分のスキルや経験、価値観、興味、達成したことなどが整理できるため、体系的に自分の強みを見つけられるのです。
例えば、「これまでにやりがいを感じた活動や仕事は何か?」「どんな場面で達成感を感じるのか?」などを具体的に書き出すことで、自分の思考が整理されてスッキリするものです。
具体的なエピソードを書き出すと、のちに自己PRに直結する説得力のあるエピソードとなるかもしれません。時間をかけて、じっくりと自分を見つめ直しましょう。
自分の人生を「モチベーショングラフ」で振り返る
モチベーショングラフとは、これまでの人生におけるモチベーションの浮き沈みをグラフで示したものです。モチベーショングラフの最大の特徴は、自分がどんな時に喜びを感じ、どんな困難を乗り越えてきたのかを視覚的に把握できる点です。
例えば、「グラフが急上昇した時期はどんな強みが活かされたのか?」「モチベーションが低い時期はどのように乗り越えたのか?」人生におけるあなたのこれまでの出来事を振り返ってみてください。
モチベーショングラフを活用することで、自分の「価値観」や「特性」に根差した強みを発見できます。あなたの行動につながる本質的な強みを導き出す方法です。
自分の強みを「成功体験」から理解する
過去の成功体験を振り返ってみましょう。成功の裏には、必ずあなたの強みが隠れているからです。その成功に貢献した自分の行動や思考を深く掘り下げてみてください。
成功までの自分の行動、思考、工夫など、プロセスを詳細に振り返ることがおすすめです。なぜ成功したのかを言語化することで、自分の強みを明確化できます。
自分の強みを最大限に活かす方法とは
社会人の場合、自分の強みが明確になったら、今度はその強みをどうやって仕事に活かしていくかが重要です。この章では自分がもつ強みの活用法を4点ご紹介します。
- 弱みの強化より強みを伸ばすことにフォーカスする
- 強みの周辺スキルを伸ばす
- 自分ができることを周りに知ってもらう
- 自分の強みが活かせる場所で働く
それではひとつずつ解説します。
弱みの強化より強みを伸ばすことにフォーカスする
自分の強みと弱みがはっきりすると、今度は「強みを伸ばす」か「弱みを強化する」かで、悩んでしまうかもしれません。
結論からいうと、弱みの強化よりも強みを伸ばすことにフォーカスした方がいいです。とくにある程度経験のある40代・50代なら、とにかく強みにフォーカスしましょう。
なぜなら、社会人がこれから生き残るためには、「◯◯ならあの人に頼めば間違いない」と周囲から認知される必要があるからです。
もちろん◯◯に入る内容は、人によって違います。不動産売買・M&A・セールススキルなど「専門知識」の場合もあれば、説得する能力・分析をする能力など「ポータブルスキル」(仕事に必要な基本的な能力)かもしれません。
もちろん、弱み(できないこと・苦手なこと)も、徐々にできるようにする努力は必要です。ただ、本当に弱点だと感じているなら、それを得意にしている人と協力して、苦手なことはやってもらった方がよほど効率はいいでしょう。
その上で自分の強みを最大限に活かし、結果を出していけば、あなたの市場価値はどんどんアップしていきます。
強みの周辺スキルを伸ばす
前述の通り、社会人ならまず、強みを最大限活かす方法について模索するべきです。また強みをさらに活かす方法として、「強みの周辺スキルを伸ばす」ことをオススメしています。
たとえば不動産売買業務に携わっている場合、宅建業務を中心にしながらも、お金に関する知識を勉強するのはどうでしょうか。
具体的には、FPの資格を取得するのも非常に有効です。ライフプランにもとづいた資金繰りのアドバイスができれば、おそらく顧客が途切れることはないでしょう。
投資客向けに、税金や不動産証券などの金融知識を学ぶのもオススメです。オンラインでの取引強化のために、Web関連スキルを身につけるのもよい考えだと思います。
強みの周辺スキルをマスターしていくと、強みがより強く、広範囲に活かせます。またまったく知らない分野を勉強するのと違い、ベースとなる知識があるので、効率的に素早くスキルを習得しやすいです。
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自分ができることを周りに知ってもらう
自分の強みがわかったら、自分ができることをできるだけ周りにアピールしましょう。日本人は謙虚が美徳とされているところがあり、自分の強みを声高に主張することはあまりよしとしない風潮があるようです。
もちろん言い方には気をつけなくてはいけませんが、できることを発信しないと、いつまでもチャンスは巡ってきません。
強みを活かすには、その強みが必要になったときに、周りから最初に思い出してもらえる存在になる必要があります。専門用語では、一番目に頭に浮かぶものを「第一想起」といいますが、ぜひあなたも自分の強み分野での第一想起を目指してください。
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自分の強みが活かせる場所で働く
もし今働いている場所では強みを活かせないと感じたなら、迷わず自分の強みが活かせる場所に移動しましょう。
極端な話ですが、自分を見つめ直して強みと弱みをはっきりと理解したあなたは、以前のあなたとは別人のはずです。今の自分と現在の職種・職場との相性は、おそらくあなたが一番理解できているでしょう。
とはいえ、転職市場のメインターゲットである20〜30代をすぎると、転職になかなか踏み出せないものです。
しかし安心してください。社会人材学舎では、40代・50代の転職者を数多くサポートしています。ミドルシニア層に精通した職業活用サービスをぜひ活用してください。
あなたの強みが発揮できる職場を、一緒に探していきましょう。
まとめ
今回の記事では、自分の強みを見つける方法と、その強みを仕事に活かす方法についてじっくりと解説してきました。
強みを見つける上で重要なのは、自分一人だけでなく、第三者の視点を取り入れることです。私ども社会人材学舎の「知命塾」は、まさにそのための学びの場を提供しています。
知命塾では、他者との交流を通じて自己PRを磨き上げたり、コーチングによって職務経歴書をブラッシュアップしたりすることで、あなたの強力な武器となり、他の求職者との差別化を図ることができます。
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