転職エージェントを運営している私たちのところには、「これまでの経験を活かしてこれから成長していく企業に貢献したい」という相談が数多く寄せられます。
ところが実際に転職活動をスタートすると、「売上が安定していない」「組織が整っていない」「給与が安い」などと、不満を表す人があとを絶ちません。
しかし結論からいえば、やはり40代を超えたミドルシニアこそ、大いにベンチャー企業(中小企業)を狙っていくべきです。
残念ながら、転職市場の中心はやはり20〜30代です。すべてが整った転職案件では、よほど飛び抜けたスキルと実績がない限り、40代が勝てる要素はほとんどありません。
ベンチャー企業にはまだまだ足りないところがたくさんあるからこそ、経験豊かなミドルシニア世代の活躍するチャンスがあるのです。
ということで今回は、ミドルシニアの転職事情やベンチャー企業への転職について、詳しく解説していきます。転職を検討中のミドルシニア世代の方は、ぜひ最後までお読みください。
=目次=
知っておきたいミドルシニアの転職事情
冒頭でも触れたように、決して市場規模は大きいといえないのが、ミドルシニアの転職市場です。こういった狭い門戸を勝ち抜くには、まずは冷静に、ミドルシニアを取り巻く転職事情を理解しておく必要があります。
この章でお伝えするのは、以下の2点です。
- ミドルシニアの転職市場動向
- ミドルシニアにオススメの転職方法
それではひとつずつみていきましょう。
ミドルシニアの転職市場動向を知っておく
前述のとおり、転職市場の主流は、20〜30代です。これが30代後半から40代・50代のミドルシニア層になると、残念ながら求人数は大幅に減少します。
こういう話を聞くと、40代以降のミドルシニア世代は絶望してしまいそうですね。でもじつは、話はそう単純ではありません。実際の転職者数を調べてみると、どうもミドルシニアだから転職数が少ないわけではないようなのです。
【年齢階級別転職者数】
年度 | 転職者総数 | 15〜24歳 | 25〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜54歳 | 55〜64歳 | 65歳以上 |
2017 | 311 | 57 | 79 | 67 | 50 | 42 | 15 |
2018 | 329 | 63 | 78 | 65 | 55 | 49 | 20 |
2019 | 351 | 71 | 86 | 66 | 57 | 51 | 21 |
単位:万人
参考:総務省2019年「労働力調査」 より抜粋
総務省の「2019年労働力調査」によれば、総転職者数は351万人です。もっとも多いのは25〜34歳の86万人ですが、上図の通り、35歳以上になってもかなりの人数が転職を経験しているのがわかります。
また、一般的に定年を迎える65歳以上でも、21万人もの人が転職しているのは少々驚きですよね。
いずれにせよ実際の転職者数をみる限り、厳しいとされているミドルシニアの転職市場でも、条件さえうまく折り合えば転職のチャンスは十分あるといえそうです。
ミドルシニアにオススメの転職方法
転職の際には、転職エージェントに登録して求人案件を探すのが、一般的な手順でしょう。しかし転職エージェントの選択を誤ると、転職できないどころか、最悪精神的にダメージを受けて立ち直れなくなる可能性があります。
そういう悲しい状況に陥らないためにも、必ず「ミドルシニア専門の転職エージェント」のサポートを受けてください。
一般的な転職エージェントでは、20〜30代を中心とした求人情報が、主に取り扱われています。また担当するコンサルタントも、20〜30代向けのノウハウしかなく、ミドルシニアの転職に必要なポイントをあまり理解していません。
こういった転職エージェントの案件にいくら応募しても、おそらく1件も反応はないでしょう。40代以降のキャリア豊富な人材が、10件も20件も断られる。これでは、自信をなくして落ち込むのも当然です。
であれば、方法はひとつ。ベンチャー企業や中小企業に絞って、転職活動をすればいいのです。
とはいえ、ミドルシニア向け転職エージェントは、「ハイクラス向け」もしくは「パート・アルバイト向け」が圧倒的に多く、ベンチャー企業を扱うところはほとんどありません。
ということで、私どものようなベンチャー企業に強い転職エージェントのサポートを、ぜひ活用していただければと思います。
ミドルシニアにベンチャー企業をオススメする3つの理由
ここまでなんどもお話ししてきたように、ミドルシニアの転職は決して楽な道ではありません。転職を成功させるには、大企業のポジションを20〜30代と争うよりも、経験豊富な人材が少ない中小企業をターゲットにして、「求められて働くこと」を目標にするべきでしょう。
なかでも社歴の浅い新しい企業(ベンチャー企業)は、ミドルシニアにとって非常に狙い目です。この章では、ミドルシニアにベンチャー企業がオススメな3つの理由をご紹介していきます。
- 経験豊富な人材を欲しがっているから
- マネジメント能力をもつ人材が少ないから
- 専門スキルが重宝されるから
それではひとつずつ解説していきます。
経験豊富な人材を欲しがっているから
企業規模に限らず、企業が転職者に求めるのは、なんといっても「即戦力」です。新卒ならともかく、転職者に新しく研修をしてじっくりと育てる企業は残念ながらありません。
しかもベンチャー企業には、育成するしくみが整っていないケースも多いため、経験豊富な40代以降のミドルシニアを重宝してくれる可能性が高いです。
ちなみに請われて働くという面でいえば、大都市圏ではなく地方の優良企業に目を向けるのも、非常に賢い方法だと思います。
なぜなら、地方発のベンチャー企業は、深刻な人材不足に悩んでいるケースが多いからです。なかでも、ベンチャー企業のトップが苦手とする「経理」「労務」「営業」といった分野のスペシャリストなら、大いにチャンスがあります。
もし、報酬が下がることや知らない土地で働くことに折り合いがつくならば、地方勤務は非常にオススメです。なお地方で働くメリットやデメリットについては、以下の記事で詳しくお話ししています。
マネジメント能力をもつ人材が少ないから
正直なところ、ベンチャー企業には、マネジメント能力をもった人材が不足しています。これは、そもそも会社の人員が少なく、経営陣のトップダウンが多いことも大いに関係しているでしょう。
したがって経営陣と一般社員の中間に立ち、適正な業務管理ができる人材は、ベンチャー企業にすればのどから手が出るほど欲しい人材なのです。
大手企業では、入社後に時間をかけて社員教育をおこないます。その後配属先の先輩や上司に指導を受けながら、じっくりと成長するようにしくみ化されているわけです。
一方、ベンチャー企業をみると、教育システムが充実しているケースはほぼないといっていいでしょう。だからこそ、今いる社員を上手にマネジメントできる人材は、年齢に関係なく優遇されます。
専門スキルが重宝されるから
前述のマネジメント能力同様に、専門スキルがあると、やはり即戦力として採用してもらいやすいです。イチから教育するよりも、すでに十分な専門知識のある人材を雇うほうが、ベンチャー企業にとって明らかに効率がいいですからね。
またさきほど、ベンチャー企業では、「経理」「労務」「営業」といった分野のスペシャリストが有利という話をしました。しかし逆のパターンとして、トップが営業のスペシャリストだけど、専門スキルが不足しているケースもあり得ます。
こういった場合は、確かな専門スキルをもつミドルシニアが、熱烈歓迎されるでしょう。とくに地方企業の場合、自社だけではどうしても習得できない高度なノウハウが存在します。
もしあなたに大手企業でないと得られない知識と技術力があれば、まさに「望まれて働ける」充実した労働環境が手に入るはずです。
ミドルシニアがベンチャー企業への転職で失敗しないコツとは
ここまでの話で、ベンチャー企業への転職に希望を見出したかたも、たくさんいらっしゃると思います。ただ、いくらミドルシニアが採用されやすいといっても、以下のような転職のコツを知っておかないと、おそらく転職は失敗するでしょう。
- 会社の規模と収入にこだわりすぎない
- 大手企業との違いを理解しておく
- トップダウン型の人間関係を上手に受け入れる
せっかくのチャンスを逃さないためにも、ひとつずつじっくりと頭に叩き込んでくださいね。
会社の規模と収入にこだわりすぎない
残酷な話ですが、転職市場は20〜30代が中心です。したがって、ミドルシニアの転職市場には、すべてが揃った極上案件はまずないと考えてください。
となると、なんらかの条件を諦めない限り、40代以降の転職は俄然厳しいわけです。どの条件を優先するかは人それぞれですが、転職の確率をアップさせたいなら、「会社の規模と収入にこだわりすぎない」のが大前提になります。
この記事を読んでいる人は、ベンチャー企業への転職に抵抗がないと思いますので、「会社の規模」については問題ないでしょう。
問題は、「収入の低下」です。ベンチャー企業への転職では、間違いなく収入が下がります。これまで大企業で働いていた人からすれば、もしかすると許容できないレベルの下げ幅になるかもしれません。
ただベンチャー企業の場合は経営者の決裁権が強く、結果を出し経営者に認められれば、報酬は一気にアップする可能性があります。
「初任給は低くてもOK。あとは自分の実力で稼いでやる」このくらいのガッツとハングリー精神で転職に臨めば、ベンチャー企業への転職はきっとうまくいくと思いますよ。
大手企業との違いを理解しておく
大企業とベンチャー企業では、そのしくみや業務内容、社員数に至るまで、なにもかもが違います。当然働き方も異なるわけで、そういった企業規模による違いを理解していないと、いざ転職してからが大変です。
じつをいうと採用担当者の多くは、「上から目線」「理論は達者でも行動が遅い」といったいわゆる「大企業病」を非常に心配しています。入社後も大企業でのクセが抜けずに、トラブルを起こして退職してしまった人を、これまでにたくさんみているからです。
だからもし面接時に、こういった大企業病を感じさせる態度を取ってしまうと、その時点でまず採用はしてもらえません。
ベンチャー企業には、たしかに以下のようなデメリットが存在します。
- 報酬や待遇が大企業よりも劣る
- 扱う仕事の規模が小さい
- 会社のさまざまな制度が整っていない
しかし、「意思決定が速いので仕事がやりやすい」「昇給や昇進が早い」など、メリットもたくさんあるのです。
ベンチャー企業への転職を成功させたいなら、デメリットに縛られず、とにかく前職と比較するのをやめてください。それよりも、まずは新しい職場で実績を積むことです。結果を出せば、周囲から信頼され、その会社になくてはならない人材として重宝されます。
トップダウン型の人間関係を上手に受け入れる
ベンチャー企業の多くは、よくも悪くもワンマン経営者のトップダウン型経営で運営されています。このトップダウン型の経営スタイルを受け入れられるかどうかで、ベンチャー企業での働きやすさは大きく変わってくるでしょう。
とはいえ、ワンマン社長のトップダウンと聞けば、あまりよいイメージはありませんよね。実際のところベンチャー企業では、基本的に経営者の意向には逆らえず、朝令暮改もしょっちゅうです。
大企業で働いてきたミドルシニア世代にとっては、正直イラッとすることも多いかもしれません。
でも、トップダウン型の経営にも、よい面がたくさんあります。なによりも実績や経験の少ない人材を動かしていくには、トップが素早く意思決定をし、情熱で周りを巻き込んでいくしかないのです。
もしあなたが、孤軍奮闘する経営者のために誠心誠意働く意思をきちんと明示できれば、経営者はきっとあなたを採用してくれるでしょう。多くの経営者は、頼りになる右腕を心の底から探しているのですから。
まとめ
冒頭でも述べたように、40代以降のミドルシニアは、ムリして大企業への転職を狙うべきではありません。転職市場のメインターゲットである20〜30代とはできるだけ争わず、経験や人材の少ないベンチャー企業をターゲットにして、「求められて働くこと」を目標にするべきです。
とはいえ一般的な転職エージェントには、ミドルシニア向けベンチャー企業の転職情報がほとんどありません。
しかし私ども社会人材学舎では、ミドルシニアに特化した転職エージェントを運営しています。地方にある優良ベンチャー企業からの相談も多いので、ミドルシニアの転職活動に的確なサポートができると確信しています。
ぜひ一緒に「ミドルシニアが力を発揮できるベンチャー企業」を探していきましょう。