人生100年時代に突入し、これから多くの人は、70〜80代まで現役として働くようになっていきます。そうなると、60歳以降も長期的に働ける職場を求めて、これからますます転職がスタンダードになっていくでしょう。
ところが、同じように転職へ挑戦しても、うまくいく人とそうでない人がいます。長年ミドルシニア世代の転職に携わってきて、最近あらためて「転職が決まりやすい人の共通点」がみえてきました。
転職が決まりやすい人には、「やりたいことが明確」「覚悟ができている」という大きな特徴があります。しかも、必ずです。今回は、転職の決まりやすい人が必ず押さえている二大特徴について、じっくりと掘り下げていきます。
=目次=
やりたいことがハッキリしている
「やりたいことがハッキリしている」とひと言でいっても、こまかくみるとだいたい3パターンに分類されるようです。
- 自分のスキルと強みを把握している
- 自分のやりたい方向性がしっかりと決まっている
- 転職後のイメージが具体的
それぞれ注意すべきポイントが異なるため、ひとつずつ解説していきます。
自分のスキルと強みを把握している
転職を成功させる人は、自分のスキルと強みをきちんと把握しているものです。そして、そのスキルと強みをいつでも面接官へ説明できるように、事前にしっかりと整理ができています。
もし面接時にきちんとアピールできなければ、「それなら採用する意味がない」と思われてしまい、残念ながら転職は失敗に終わるでしょう。
また、時々「なんでもできる」ことをアピールする人がいます。これは、大企業でさまざまな分野の経験を積んできた人に多いですね。しかし採用側からすると、なんでもできるという表現は、逆に「なにもできない」という意味にしか受け取れません。
同様に、前職の肩書きを前面にアピールする人も、評価は低いです。肩書では、あなたのプロとしての実力は測れません。会社が違えば、同じ肩書でも仕事内容や得られる経験がまったく異なるからです。それなのに、肩書だけをアピールすれば、評価が低くなるのも当然でしょう。
いずれにせよ自分のスキルと強みは、「これまでにどのような経験をして、なにができるのか」を、しっかりと説明できるようにしておく必要があります。その際には、具体的な数字や事例も提示できると、転職エージェントや転職先により理解してもらいやすくなるはずです。
自分のやりたい方向性がしっかりと決まっている
「自分のやりたい方向性がしっかりと決まっている」というのも、転職の成功を左右する重要なポイントのひとつです。方向性が明確だと、自分と転職先のミスマッチが起こりにくくなり、長期的にやりがいをもって働ける可能性がアップします。
やりたい方向性というのは、文字通り、ご自身の希望です。まずは「このような仕事をしたい」「◯◯を実現したい」といった、自分の希望を明確にしてください。
ただし、応募先企業にその希望を認めてもらうには、単なる自分の希望から社会的な意義にまで、昇華させていく必要があります。
自分の経験やスキルでどういった社会的課題を解決できるか、それを転職先企業でどのようにおこなっていくのか、そこまで深く考えておかなければ面接官には認めてもらえません。
商品を販売する場合、商品の需要を徹底的にリサーチしますよね。転職でも同じように考えてみてください。自分のスキルを商品と捉え、購入側(この場合は転先企業)の需要に合っているかどうかを、冷静に見極めるのです。
そうなると、「あなたのやりたいことが、企業(社会)の課題を解決できるかどうか」という視点の重要性が、ご理解いただけると思います。
転職後のイメージが具体的
転職を成功させている人は、漏れなく「転職後の働き方」をしっかりと具体的にイメージしています。
たとえば、働くエリアです。自分が大都市で働きたいのか、それとも働きやすい地方での活躍を目指すのか、うまくいく人は働くエリアについても明確な意思をもっています。
また転職先の規模についても、イメージは明確です。ミドルシニアの転職は、中小企業に転職するケースがほとんどでしょう。
しかしひと言で中小企業といっても、10人未満で働く家族経営的な会社から、1,000人単位の従業員を抱える会社まで、その規模はさまざまです。
同じ中小企業でも、どのくらいの規模であれば自分の能力を最大限に発揮できるか、ぜひそういった視点をもって考えてみてください。
もちろんそのほかにも、仕事内容・肩書・同僚や取引先との関わり方など、あらゆる要素について具体的なイメージ化が重要になってきます。
なお、私たち転職エージェントの立場からいっても、転職後のイメージはとても重要です。というのも、転職エージェントは、相手企業とのマッチングをみて、最適な企業を紹介していきます。「どこでもいいから転職先を探してほしい」といわれると、こちらとしても探しようがないというのが本音です。
その点、転職を成功させる人は、エージェントに自分のイメージをしっかりと伝えてきます。せっかく転職エージェントを利用するのですから、こういった成功のポイントをしっかりとマネしていきましょう。
転職にともなう変化を受け入れる覚悟ができている
転職が決まりやすい人は、やりたいことがハッキリしているだけでなく、転職後の変化を受け入れる覚悟ができています。2つ目のポイントである「覚悟ができている人」に共通しているのが、以下3点です。
- 常に進化していく気構えがある
- 必要な労働条件が明確
- 仕事に対する評価基準をしっかりともっている
ひとつずつ解説します。
常に進化していく気構えがある
変化の激しい社会においては、常に進化していく気構えがないと、生き残るのは困難です。転職先から歓迎される人は、変化をいとわない柔軟性と強い意思力を兼ね備えています。
AIの発展により、今まで人間が携わってきた仕事の一部がなくなってしまうと予測されているのは、ご存知の方も多いでしょう。
うまくいく人は、「自分だけはなんとかなる」という思考停止状態に陥ることがありません。かりにAI化の波からうまく逃れられたとしても、10年後に今の仕事が存在しているかどうか、常にそういった危機感をもって世の中の流れを観察しています。
現状を認識し、まずは受け入れる。そのうえで、どうやったら現状を打破できるのか、次の一手を考えておく。このように問題解決にまできちんと目を向けている人は、いざ予測していた危機が目の前に現れても、慌てずに対処できます。
必要な労働条件が明確
勤務地・年収・家族の事情といった労働条件を考えた場合、どのような人にも、これだけは譲れないという基準があるでしょう。転職が決まりやすい人は、自分に必要な労働条件を明確にイメージしています。
たとえば、年収を例にあげると、誰だって高ければ高いほどいいと思っているはずです。しかし自分に必要な最低金額が明確ならば、金額を減らして、そのぶん仕事の選択肢を増やすこともできます。
またスムーズな転職には、家族の理解が不可欠です。そのためには、「手のかかる小さな子どもがいる」「親の介護に時間を取られる」といった、家族の事情を考慮した転職でなければなりません。
ちなみに転職において、勤務地に対する間口の広さは、転職の成否を左右する大事な要素です。というのも地方に目を向けると、スキルや経験の豊富なミドルシニアを喜んで受け入れてくれる中小企業がたくさんあります。
実力があって魅力も多い優良企業なのに、地方にある知名度の低い企業には、なかなかよい人材が集まらないんです。そこへ優秀な人材が手を挙げれば、採用される確率は通常より何倍も高くなります。
このように、自分に必要な最低限の労働条件が明確ならば、転職はどんどん楽になっていくでしょう。
仕事に対する評価基準をしっかりともっている
転職の決まりやすい人は、例外なく「自分に最適な求人情報を見極めるための評価基準」をしっかりともっています。評価基準が定まっていないと、せっかく候補の会社がたくさんあっても、どの会社を選べばよいのかがわかりません。
もちろん、評価基準になにを置くかは、人それぞれです。他人の基準・社会の一般的な基準ではなく、ぜひご自身にとっての評価基準を探し出してください。他人の幸せと自分の幸せは、まったく違うのですから……
転職エージェントという仕事をしていると、本当はやりたい仕事なんだけれども、ご家族やパートナーの理解が得られずに諦めてしまったといった話をよく耳にします。
また相談をした友人や同僚の意見を聞いているうちに、余計混乱してしまい、正しい決断ができない人の話もよく聞きますね。
一方で転職がうまくいく人は、「本気でこの仕事がしたい」という熱意をきちんと家族や友人に伝えて、最終的には周囲の人から全力で応援してもらっているようです。それもこれも、すべてはご自分の評価軸をきちんともっているかどうかに、かかっています。
転職が決まりやすい人を目指して、もういちど進むべき道を考えてみよう
転職が決まりやすい人の特徴として、ここまで「やりたいことが明確」「覚悟ができている」という2点について説明してきました。
この2点を身につけるためには、自分の本当の価値観と志向性を、じっくりと突き詰める時間が必要になってきます。しかしそれらを自己分析するのは、なかなか大変です。ひとりで考えると、どうしても自分に甘いジャッジをしてしまいますので。
したがって自己分析をする際には、専門家のサポートのもとおこなうようにしましょう。専門家のツテがない場合は、私どもが運営する「知命塾」を活用してください。
知命塾では専門家と他参加者から、第三者による客観的なフィードバックがもらえます。そのうえで、自分の好き嫌い・得手不得手・志向性などをじっくりと分析していくので、本当の自分の強みと気持ちにきっと気づくはずです。
いきなり知命塾に参加するのはハードルが高いというのであれば、随時開催される無料Zoomワークショップに参加してみてはいかがでしょうか。自分の進むべき道が、きっと今よりもクリアになると思いますよ。
まとめ
転職が決まりやすい人は、「やりたいことが明確」「覚悟ができている」という2つの特徴を両方兼ね備えています。
冒頭でもお話ししたように、労働期間がこれまでよりも大幅に長くなることを考えれば、転職は不可欠です。であれば、ぜひ転職が決まりやすい人のマネをしてください。