定年後のキャリアと仕事を見据えて~シミュレーションの振り返り

社会人材学舎では、ことあるごとに、「定年後を見据えてキャリアを形成していく重要性」をお話しています。人生100年時代となった今、定年を迎えるまでの生き方で、人生の後半戦が実りあるものになるかどうかが決まってしまうからです。

したがってこれからの人生でどんなキャリアを積み重ねていきたいのか、今からしっかりとシミュレーションをしておく必要があります。

今回は、定年後を充実した人生にするための考え方を、具体的なシミュレーション例を挙げながら解説していきます。併せて定年後の仕事の見つけ方についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

人生100年を見越してゴールから考えるシミュレーション

人生100年を見越してゴールから考えるシミュレーション

前回のコラムで、まずは定年後(61歳)を軸として、どのような時間の使い方をしていきたいのか、シミュレーションをしてみてくださいと提案しました。

あなたは1日のうちにどんなことをしていますか?
1週間、1か月、1年では、何にもっとも時間を使っているでしょうか?

まだ試していない方は、ぜひ一度じっくりと考えてみてください。自分が何を大事に思っているか、新たな気づきがあるかもしれません。

【実例】58歳で早期退職したAさんの場合

今回は、自分のシミュレーションをより客観視してもらうために、58歳で早期退職をした、知命塾の相談者Aさんの例をご紹介します。

多趣味なAさんは、やってみたいことがたくさんあったので、退職したら悠々自適、趣味や興味のあることをして過ごそうとずっと考えていました。

Aさんが考えた具体的なプランは、次のようなものです。

  • 入選実績もある趣味の絵画を更に突き詰めたい
  • 市民農園を借りて農業をやりたい
  • 健康のため、何か身体を動かすことに挑戦したい
  • ペットとの時間を作りたい

※旅行や特別な施設を利用するスポーツなど、日常的にできないことは、ここでは省きました。

シミュレーションを終えたAさんは、やることがたくさんあってワクワクしています。そして実際に、退職後の予定はすべて実現できました。

ところが、想定外の現実が、順風満帆なはずのAさんを襲います。

Aさんの誤算とは?「定年後の時間の使い方」

Aさんの毎日の大まかなスケジュールは、次の通りでした。

  • 午前6時に起床
  • 犬の散歩
  • 気が向けば、公園まで足を伸ばして体を動かす
  • 軽く一服してから朝食をとる
  • 農園に出かけて野菜の世話
  • 帰宅して絵の続きを描く

私たちから見れば、とても忙しくて充実した毎日を送っているように見えます。

しかし、予定を全部終えたAさんが、ふと時計を見ると、なんとまだ午前10時だったというのです。自分のやりたかったことは、毎日おこなえば、わずか3〜4時間で終わってしまう内容だったことに気づいたAさん。ましてや雨が降れば、絵画以外にやることがありません。午前10時から就寝までの時間をどう過ごせばいいのか、ここに来てAさんは途方に暮れてしまいました。

そこでAさんは、さまざまな講習会に参加し、空いた時間を埋めていこうと考えます。そうしていくつかの講習会に参加し、たくさんの人と触れ合ううちに、Aさんはようやく「もっとさまざまな年齢の人と交流したい。趣味以外の人間関係がほしい」という自分の希望に気づきました。

特に、仕事という同じ目的をもった仲間同士の付き合いが、自分のかけがえのない居場所になっていたのだと気づいたのです。

Aさんの転機「働くことで人生がうまく回りだした」

Aさんの転機「働くことで人生がうまく回りだした」

Aさんは復職を決意しました。とはいえ退職後の年齢ですから、若い人がライバルとなるような仕事は難しい。

また、できれば、前職の経験を活かして復職したい。

そう考えたAさんは、もう一度キャリアの整理と活用方法を練り直します。新たな戦略が功を奏し、しばらく経ってAさんは、見事これまでの経験を活かせる仕事を手に入れました。「趣味だけの悠々自適な日々よりも、今の方が何倍も楽しいです」と、笑いながら語ってくれたのは、今でも忘れられません。

ということで、今回の成功のポイントは2点あります。

  1. 一番大きいポイントは、自分のキャリアとその活用法を徹底的に見直したことでしょう。実際、Aさんの就いた仕事は、経験がとても重要視されるものでした。そのため年齢が、むしろ有利に働いたのです。
  2. 70歳過ぎまで働ける仕事を見つけたこと。定年後の収入は年金だけの人が多い中で、年金以外に安定した収入源を手にしたことは非常に大きいです。

こういった収入があれば、飲み会や食事などにも躊躇なくお金を使えるので、「さまざまな人と交流する」機会も自然と増えていきます。それまで漠然としていた「キャリア」について深く考えた結果、Aさんの人生は、完全にプラスのスパイラル(好循環)に突入しました。

Aさんの例からわかること「やりがいや仕事があってこその余暇」

Aさんの行動は、前回のコラムでお伝えした「63歳頃になると自身への教育投資額が上昇する」というパターンにピッタリ当てはまっています。趣味を楽しむのも、ゆっくりと時間を過ごすことも大事でしょう。

しかし結局のところ、やりがいや仕事といった気持ちの張りがあるからこそ、休日のゆったりとした時間を気兼ねなく楽しめるのではないでしょうか。もちろん好きなことを楽しめるだけの収入が伴うことも、充実した人生を過ごすためには欠かせないポイントです。

さてあなたは、ご自分とAさんのケースを比べてどう感じたでしょうか。


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知命塾のシミュレーションを活用して、定年後の生き方を検証

知命塾のシミュレーションを活用して、定年後の生き方を検証

社会人材学舎のパーソナル塾「知命塾」では、参加者に定年後を見据えたシュレーションをしてもらっています。自分が大事に思っていることを一度絞り出してもらい、それを他の参加者からの意見を交えて客観的な観点から、よりよいものにどんどん修正していきます。

次のセクションでは、再びAさんのケースを踏まえながら、ご自身のシミュレーション結果の捉え方とその後の行動への繋げ方についてお伝えします。


「知命塾」は、2013年より社会人材学舎が実施している個人向け研修を中心としたキャリアのワンストップサービスです。


定年後の「自由時間」は12年以上。あなたは何がしたいですか?

厚生労働省のデータ※によれば、2018年時点の男性の健康寿命は72歳、女性は75歳となっています。健康寿命というのは、大きな病気もなく自力で日常生活を送れる年齢のことです。

今回のシミュレーションは61歳が基準ですので、少なくともその後12~15年間は自由に時間を設計できるという前提で、シミュレーションをしています。

今はまだ、ほとんどの人が仕事中心の生活を送っているはずですので、退職したらしばらくはのんびりと好きなことをして過ごしたいと考えるのも、当然のことだと思います。またAさんのように、シミュレーションが、趣味のスケジュールで一杯だった方もいらっしゃるかもしれません。

とはいえ、12年間という時間を冷静に考えた時に、

これからずっと、ただのんびり暮らしていくのか?
趣味や旅行だけで、果たして12年間も毎日過ごしていけるのだろうか?
75歳以降にお金がいくら掛かるか分からない中で、稼ぐことなくお金を使ってしまっていいのだろうか?

と不安に思った方も少なくないはずです。

参考:厚生労働省 第11回健康日本21推進専門委員会資料

今の生活を基に定年後をシミュレーションすると失敗する

ここで改めてAさんのシミュレーションを振り返ってみると、予定していた行動に必要な時間数を想定していなかったのが、失敗のもっとも大きな原因だったと思います。実際には、Aさんが「やることがたくさんあるな」と楽しみにしていたことをすべておこなっても、1日4時間弱しか、かかりませんでした。1週間で考えれば、わずか28時間。これは土日の休みと平日のアフター5を上手に使えば問題なくできることだった、とも言い換えられますよね。

つまりAさんは、今現在の自由時間を基準に、老後を考えてしまったわけです。

思い返してみれば、学生時代から現在に至るまで、勉強や仕事から解放されたまったく自由な時間はどれほどあったでしょうか。多くの人は、ゆったりとした自由な時間を長期間続けることに、まったく慣れていませんし、社会的なやりがいのない生活では満足できないものです。

したがって、好きなことをする時間とは別に、仕事を通じて社会に接する時間をしっかりとシミュレーションに組み込んであげなくてはいけません。

コミュニティとしての職場の重要性

どんな人でも、多かれ少なかれ、何らかの形で社会と関わって生きています。会社も、家庭や地域・趣味のサークルなどと同じ「人が集まるコミュニティ」です。コミュニティへの参加は、楽しさとともに「所属している安心感」も与えてくれます。

仕事をするということは、お金を得るだけではなく、「社会にコミットするための機会」という意味もあると思うのです。職場・仕事はご自身で思っている以上に、重要な「居場所」になっているのではないでしょうか。

しかし、退職すると、この大切なコミュニティがなくなってしまいます。
「いや後輩や同僚が居るし」と思ったあなた。退職された先輩や元同僚と、あなた自身はどれほど会う機会を持っているでしょうか?
そう考えると、好きなことをやるだけでなく、定年後も働くことで、簡単に居場所や仲間を得られると思いませんか。

もちろん働くといっても、必ずしもフルタイムである必要はありません。自分の希望や活かせる能力・体力を考慮して、働く日数(時間)は自由に決めてください。いずれにせよ、仕事を続けて年金以外に安定した収入があれば、心の余裕にもつながります。Aさんの例でも、もし仕事をしていなければ、希望するさまざまな人との交流も、おそらく思うようにできなかったでしょう。

このように自分の能力を活かして社会との接点を創れば、やりがい(精神面)とお金(物質面)の両面を満足させることができるはずです。

定年後にやりがいのある仕事を見つけるには

定年後にやりがいのある仕事を見つけるには

定年後に仕事を続ける重要性は理解できましたが、実際にどのようにしてやりがいのある仕事を探せばいいのでしょうか。

ここでは、定年後にやりがいのある仕事を見つけるためのポイントを、3点ご紹介していきます。

40代以降の転職に強い転職エージェントを利用する

結論からいうと、40代以降の転職に強い「転職エージェント」を通じて探す方法が一番です。転職といえば、ハローワークを思い浮かべる人は多いと思いますが、条件面でかなり厳しい案件が多く、やりがいのある仕事を見つけるのは、正直かなり難しいでしょう。

またいわゆる大手の転職エージェントもおすすめできません。なぜなら、そういったエージェントは、20〜30代といった若手向けの案件ばかりだからです。おそらく登録して応募しても、ほとんど返事すらこないのではないでしょうか。

それよりは50代以上の転職希望者に力を入れている会社を選んでください。社会人材学舎でも、40代以降に向けて職業紹介をおこなっています。

弊社には、「一般的な知名度はないけれども魅力のある中小企業」の引き合いが多く、通常のエージェントにはない案件をご紹介できるかもしれません。

ぜひ活用してみてください。

必要なスキルを身につける

50代以上の転職者に求められるのは、なんといっても「即戦力」です。いうまでもなく、50代の転職者にゼロからしっかりと教育してくれる企業などありません。だからこそ、自分にはどんな経験があり、転職先にどんな貢献ができるのかをはっきりと明示できるようにしておく必要があります。

また、スキルと聞くとどうしても資格や専門的な技術だけをイメージしがちですが、人とのコミュニケーション能力や仕事の進め方、部下の管理能力といった「ポータブルスキル」も非常に高く評価されます。

特に中小企業には、そういったポータブルスキルに長けた人材が少ないので、どんどんアピールしていきましょう。

社内外に人脈を広げておく

転職市場では、若い世代の需要が圧倒的に大きいです。同じ求人に申し込めば、残念ながら20代の方が採用の確率は断然高いでしょう。

しかし、がっかりする必要はありません。20年以上働き続けてきたあなたには、社内外にそれなりの人脈があるはず。そして、そういった豊富な人脈を持つあなたを必要とする会社は絶対にあります。

もし現時点で人に誇れるような人脈がないのであれば、信頼できる人間関係を、これから少しでも多く築けるように努力してみてください。

シミュレーションを考える3つの視点とは

最後に、自分のシミュレーションをチェックするために必要な3つの視点について、解説していきます。

シミュレーションには、「時間・お金・コミュニティ」という3つの視点が盛り込まれていなければなりません。あなたのシミュレーションはどうでしょうか?

  • 【時間】たくさんある時間を、納得のいく使い方で埋められましたか?
  • 【お金】趣味や楽しみをおこなうために必要な金額をきちんと把握していますか?
  • 【コミュニティ】ご家庭以外に、居場所としてのコミュニティはいくつありますか?

もし、シミュレーションを埋められないのであれば、ぜひなんらかの「社会に参加できる行動」を追加してみてください。仕事に限らず、ボランティアでも構いません。

ただし、ボランティアを続けるにも資本が必要です、無理のない範囲で、バランスよく時間とお金を配分してください。

さて、ここまでくれば、あなたはすでにキャリアを創る第一歩を踏み出せたことになります。キャリアを創っていくにはどうしても時間がかかりますから、在職中に一歩一歩進めていくことがとても大事です。まずはもう一度、「時間・お金・コミュニティ」という3つの視点から、ご自身のシミュレーションを見直してみてください。

まとめ

今回は、定年後を見据えたシミュレーションについて、詳しく解説してきましたが、より役に立つシミュレーションをおこなうためには、独力ではなく第三者の力が必要です。

社会人材学舎では、シミュレーションを取り入れたキャリア作りをサポートする「知命塾」と、50代以降の求人に強い転職エージェントサービスをおこなっています。充実した定年後の人生を手に入れるためにも、ぜひ弊社のサービスを活用してみてください。

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