定年後を見据えて~シミュレーションの振り返り(前編)~

人生100年を見越してゴールから考えるシミュレーション

前回は時間の使い方のシミュレーションを提案しましたが、いかがでしたでしょうか。
一日の予定はどのように埋まりましたか? 一週間、一ヶ月、一年ではどのような形で予定が入ったでしょうか。
まだ試していない方は是非一度考えてみてください。新たな気付きがあるかもしれません。

まずは定年退職した先輩のケースを参考に

さて、この前編ではまず、ご自身のシミュレーションと比べて参考にしていただけるような、実際にあったケースをご紹介します。
58歳で早期退職した方の話です。仮にAさんとしましょう。

Aさんは多趣味でやってみたいことがたくさんあったので、退職後は悠々自適、趣味や興味のあることをして過ごそうと考えていました。
Aさんの退職後のプランは次のようなものでした。

  • 趣味の絵画は作品展での入選実績もあり、更に突き詰めたい
  • 市民農園などを借りて農業をやりたい
  • 健康のためにも幅広く運動をしたい(複数種類を想定)
  • ペットとの時間を作りたい

※旅行や特別な施設を利用するスポーツなど、日常的に行えないことはここでは省きました。

Aさんは「やることがたくさんあるな」と楽しみながら想定し、退職した後は見事それらを実現することができました。
ところがスケジュールについて想定外のことが起こります。

先輩の誤算。退職後の時間の使い方、現実

一日の大まかなスケジュールは次のとおりでした。

・午前6時に起床
・犬の散歩
・気が向けば公園まで足を伸ばして体を動かす
・軽く一服してから朝食をとる
・農園にでかけ、野菜の世話
・帰宅して絵の続きを描く

そうして一段落した後、時計を見ると、なんとまだ午前10時だったというのです。

退職前に予定していたこれらの[行事]は、毎日行なうことなので一つ一つにそれほど時間はかからず、まして雨が降った日は絵画以外のイベントが行えない。午前10時から就寝までの時間をどう過ごそうか、ここに来てAさんは途方に暮れました。

そこでAさんは多種多様な講習に参加し、空いた時間を埋めることを考えます。その過程で、退職してからは味わえなかった「様々な年齢の人と交流したい。趣味以外の人間関係がほしい」というご自身の希望に気づきました。特に、仕事という同じ目的をもった人間同士の付き合いが、自分の居場所になっていたのだと気づいたのです。

働くことで希望が好循環で叶うように

Aさんは復職を決意しました。
とはいえ退職後の年齢ですから、採用されるにあたり若い人がライバルとなるような仕事は難しい。更にいえば前職の経験を活かして復職したい。そう考え、ご自身のキャリアの整理と活用方法を模索し、キャリアの戦略を練り直しました。

結果として経験が活きる仕事に就くことができ、趣味だけの悠々自適な日々よりも、今の方が楽しい日々を過ごしています。

1)まずはやりがいがあるということ。Aさんの就いた仕事には年齢はむしろ有利に働きました。

2)しかも70歳過ぎまで働ける仕事を獲得したことで、年金以外の「フロー」としての収入があります。飲みに行くことにも躊躇なくお金を使えるし、そうすると希望であった「色々な人と交流する」機会も容易に得られるようになりました。

漠然としていた「キャリア」について深く考えた結果、好循環な日々を得ることができたのです。

余暇=暇、ではない

Aさんの行動は、前回お伝えした「63歳頃になると自身への教育投資額が上昇する」というパターンに当てはまることが分かるかと思います。
趣味を行なったり、ゆっくりと時間を過ごすことも大事でしょう。
一方で先日のゴールデンウィーク10連休を思い出すと、やりがいや仕事といった気持ちの張りがあってこそ、休日等のんびりとした時間を気兼ねなく楽しめるものではないでしょうか。
もちろん収入が伴うことも、のんびり過ごすための安心材料として大きなポイントです。

ご自身のシミュレーションと比べてどう感じたでしょうか。
次回後編では、Aさんのケースを踏まえ、ご自身のシミュレーション結果の捉え方とその後の行動へどうつなげるかの考え方をお伝えします。