将来のキャリアを考えるのは今「定年後を見据えてシミュレーションしよう」

人生100年時代がスタンダードになりつつある現在、「定年まで働いてあとは年金暮らし」という過去のキャリアプランが通用しなくなりました。しかも、これまでの常識では考えられないスピードで、世の中が変化し続けています。

そういった先の見えない時代だからこそ、私たちは今、真剣にキャリアを考える必要があるのです。とくに50歳以上の人は、定年後を見据えてできるだけ早くキャリア形成を積み重ねていかないと、10年後に大変なことになります。

そこで今回は、キャリアを考える必要性や知っておくべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。今回の内容を軸に、揺るぎないキャリアプランを考えていきましょう。

できるだけ早い時期にキャリアを考える必要性とは

できるだけ早い時期にキャリアを考える必要性とは

冒頭でも触れたように、今は驚くような速さで世の中が移り変わっています。そうなると、いくらキャリアプランを立てても、ムダになるような気がしますよね。しかし、早い時期からキャリアを考えているからこそ、そういった変化にも対応できるのです。

そこでまずは、なるべく早くキャリアを考える必要性について、その理由を3点紹介しておきます。

終身雇用制度の崩壊

キャリアプランを真剣に考えるべき最大の理由は、なんといっても終身雇用制度の実質的な崩壊でしょう。新卒で採用した社員を教育して、自社に適した人材を長期間雇用する。いわゆる終身雇用制度は、日本経済が堅調を維持していたからこそ、成立していました。

ところがご存知のとおり、日本経済は鈍化傾向が長期間続いています。そのため、多くの企業では、今までのように社員を雇用し続けるのが困難になってきているのです。

実際、厚生労働省の調査結果※をみると、1995年から2017年の間に、約10%以上も生え抜き社員(新卒から一貫して同じ会社に在籍)が減少しています。

こうなると、「定年まで真面目に働き、退職金と年金で老後を暮らす」という従来のキャリアプランが通用しません。年金も今後どうなるかわかりませんしね。したがって、これからは老後も一定期間働き続けるという前提のもと、より長期的なキャリア形成を考える必要があります。

※参考:平成30年 厚生労働省職業安定局 我が国の構造問題・雇用慣行等について

人生100年時代となり活躍できる時期が伸びている

厚生労働省が公表している「簡易生命表(令和3年)※」によると、60歳の平均余命は男性で約24年、女性では29年となっています。つまり多くの日本人には、60歳の定年後に、まだ20年以上の人生が待っているわけです。

もちろん、寿命ギリギリまで健康でいられる保証はありません。実際、平均寿命と健康寿命(生活に支障のない期間)の差は、平均10年といわれています。そうなると単純に計算して、定年後に14年(女性の場合は約20年)ものアクティブな期間が存在することになりますよね。

10年を超える自由な時間を、年金を頼りにただのんびり過ごすだけでは、あまりにももったいないと思いませんか?

今流行りの早期退職(FIRE)を実現した人も、遊んで楽しいのは最初の数年だけ。やりがいや社会との接点を求めて、再び働く人が後をたたないそうです。

人生の後半戦を充実したものにしていくためにも、定年後のアクティブな時期をいかに過ごすべきか、じっくりとキャリアを考える時間が私たちには必要です。

※参考:厚生労働省 令和3年簡易生命表 主な年齢の平均余命

◯長期間現役で活躍し続けるためのキャリアづくりについては、こちらでも確認できます

AIの出現でよりシビアなキャリア形成が求められるようになった

今後私たちのキャリアを考えるうえで、AIの存在は決して無視できないでしょう。AIは非常に便利な反面、人間の仕事を奪うマイナス面を併せ持っているからです。

ネットや書店をみれば、「AIに仕事を奪われる」といった内容の書籍が、大量に販売されています。

もちろん、今すぐすべての仕事がなくなるわけではありません。しかし、私たちが想像するよりもかなり速いペースでAIが普及していくのは間違いなく、業種によってはあと2〜3年で仕事がなくなる可能性も十分に考えられます。

たとえば、最近話題の対話型AI「ChatGPT」に適切な指示を与えると、人間が書くのと遜色のない文章をつくってくれます。

指示の出し方によってばらつきはあるものの、ここまで精度の高い文章を書かれてしまうと、比較的作成の容易な記事は将来すべてAIに代替されてしまうでしょうね。

もちろん、ChatGPTはあくまでも一例にすぎません。しかし、こういった事例は今後さまざまな分野で起こってくるはずです。

キャリアを考える際に知っておくべき5つのポイント

キャリアを考える際に知っておくべき5つのポイント

キャリアを真剣に考える必要性が明確になったところで、次はキャリアを考える際に知っておくべきポイントを5点解説します。この5つのポイントを外してしまえば、いくらキャリアを真剣に考えても、ピントのずれたキャリアプランになってしまいます。

ひとつずつ、じっくりと確認しながら、できるだけ精度の高いキャリアプランを考えていきましょう。

まずは自分の強みを明確にする

今後のキャリアを考える際には、なにをおいても、自分の強みをきちんとアピールできるように準備してください。これなら負けないという自分なりの強みがないと、働く意思があっても、働く場所を確保できない可能性があるからです。

たとえば、定年後を見据えて転職を検討しているとしましょう。採用企業は、転職者に即戦力を求めています。その人を採用しても自社に利益を生み出さないと判断されてしまえば、残念ながら採用はしてもらえません。

転職の成功は、「自分の強みをいかに面接官へアピールできるか」にかかっています。

また、自分で独立をする場合も同様です。独立したら、自分の得意な分野に時間とリソースを投入できなければ事業はうまくいきません。そのためには、当然自分の強みを理解しているのが大前提になります。

具体的な強みの見つけ方については、以下の記事で詳しく紹介しています。

「Will-Can-Must」の視点からキャリアを考える

長期的な展望でキャリアを考えるなら、「Will-Can-Must」の視点は欠かせません。

  • Will:やりたいこと
  • Can:できること
  • Must:やるべきこと

理想のキャリアは、Will-Can-Mustが交差した場所にあるというのが、Will-Can-Mustを使ったフレームワークのベースとなる考え方です。この交差部分をいかに大きくできるかで、働く満足度は大きく変わってきます。

とはいえ、この3つの輪をバランスよく維持するのは、想像以上に大変です。

仕事のやりがいを重視すれば、当然Willが優先されます。もし転職をするなら、Can(できること)が優先されるでしょう。仕事ですから、やるべきこともきちんとこなさなくてはなりませんよね。

おそらく20代のころは、WillとMustばかりが大きくて、Canが極端に小さい状態だったはずです。しかし40代・50代になれば、できることやマネジメント能力がアップして、そのぶんやるべきことが減ってくると思います。

ただ極端にMustが小さいと、自分の直接把握しない業務が増えるので、予想外のトラブルが発生する可能性が増えます。そう考えると、やはり3つの輪ができるだけバランスよく配置されている状態を目指すべきです。

◯Will-Can-Mustについては、こちらでも確認できます

将来のキャリアはゴールから逆算せよ

私たちのキャリアは、過去の仕事の積み重ねと、未来の働き方の両面から考える必要があります。これまでの仕事については、強みを明確にする作業過程で、しっかりと振り返ってください。

ここでは、定年後のキャリアをゴールから逆算する方法について、お話ししていきます。といっても、やることは非常にシンプルです。

少し遠い未来かも知れませんが、まずは61歳になったご自分の生活を想像してください。その時あなたは、日々どう過ごしているでしょうか。1日→1週間→1か月→1年と期間を広げて、それぞれ具体的に考えていきます。

定年退職後なので、現在の会社で同じ役職のまま働いているケースは少ないでしょう。働くにしても、転職して別の会社で働いている可能性が高いですよね。しばらくは、旅行やゴルフなど、趣味を中心とした生活になる人も多いと思います。

趣味・仕事・地域活動など、どこに時間とお金を費やすかは、人それぞれです。でも、なにをするにしても、それぞれに必要な時間と金額をきちんと計算してみてください。いくらやりたいことがあっても、時間とお金を捻出できなければ、それは絵に描いた餅にすぎません。

やりたいことが実現可能かどうか、きちんと数字を出して、ゴールから逆算する。キャリアを考えるうえで、非常に重要な考え方です。

定年後の過ごし方を視野に入れた計画を立てる

前述のとおり、定年になっても、まだ20年以上人生が残っています。したがって、定年後の過ごし方を視野に入れてキャリアを考えないと、いざ定年になってから困ってしまうでしょう。

退職後に、私たち社会人材学舎へ相談にいらっしゃる人の多くが、「時間がたくさんある環境に飽きてしまった」といいます。厳しい言い方になりますが、事前に定年後のキャリアプランをしっかりと考えておけば、こういった不満は最小限に抑えられたはずです。

とはいえ、今からでも遅くはありません。これから定年後について、再度プランニングをしていけばいいだけの話ですから。

個人差はありますが、定年後であっても、社会との接点をある程度維持する意識は不可欠です。そうでないと、また自由な時間を持て余してしまい、すぐに飽きてしまうでしょう。

もちろん、趣味やボランティアでも社会的接点をつくることは可能です。でもやはり人は、働いて収入を得るという社会活動にやりがいと喜びを感じるのだと、つくづく感じます。働けば、経済的にも余裕ができますしね。

なお、定年後のキャリアプランについては、以下の記事が参考になるかと思います。ぜひ、ご一読ください。

労働条件にこだわりすぎない

前述のとおり、定年後も働き続けることを前提に、キャリアを考えるべきです。ただし、現在の会社で70歳になっても働くのは、かなりむずかしいと思います。そうなると、長期間働ける会社に転職するのが、もっとも現実的な選択になってくるでしょう。

そのためには、まず採用してもらえないと話になりません。40代以降のミドルシニア層が転職を成功させたいなら、とにかく労働条件にはこだわらないことです。

「現職と同レベルの給料がほしい」「◯◯の仕事しかしたくない」などと、条件をつければつけるほど、採用は遠のきます。

採用する側としても、中途採用者をいきなり好条件で雇用するのは、大きなリスクです。それだけ、転職してすぐに退社してしまう人が多いのでしょう。

しかし、ミドルシニアの主な転職先となる中小企業では、結果を出せば報酬が一気にアップするケースも珍しくありません。だから、まずは条件を気にせずに、とにかく入社するのが最優先です。収入は、実力次第で、あとからなんとでもなりますので。

◯中小企業での働き方については、こちらでも確認できます

まとめ

キャリアを考える際には、ゴールから逆算する思考が不可欠です。ゴールから現在の自分に立ち戻り、そこから達成に必要なキャリアを積み重ねていきます。

しかしそういったプランなしに、いきなりゴールを目指しても、それまでのキャリアの蓄積がなければ実現は不可能です。退職後の仕事を想定して、今できることから、できるだけ早くスタートしていきましょう。

なお、「50歳以降を豊かにするためのキャリアプランの作り方」は、以下のサイトからお申し込みいただけます。無料で、キャリアプランを考えるヒントがもらえるチャンスです。ぜひ、この機会をご活用ください。