定年後を見据えてキャリアを考える~まずはシミュレーションから~

キャリア=ライフスタイルを形作るもの

前回は「定年後の資金不安を軽減するには、今からキャリアを考え創っておくこと(若い人も例外ではなく)」ということをお伝えしました。

私たちの考えるキャリアとは、過去の仕事の積み重ねという意味だけでなく、キャリア=ライフスタイルを形作るもの、としても捉えています。ですのでキャリアを考えるはじめの一歩として、ゴールから逆算する方法を試してみましょう。
具体的には、日常生活という視点からゴールのありようをシミュレーションしてみます。

まずはキャリアのゴールを設定してみる

少し遠い未来かも知れませんが、まずは61歳になったご自分の生活を想像してください。(もしくは定年退職の翌年)。
その時あなたは日々どう過ごしているでしょうか。1日、1週間、1ヶ月、1年とそれぞれ具体的に考えていきます。

わかりやすく1日24時間を円グラフで表現してみましょう。月曜~日曜まで7枚並べれば1週間です。それを1ヶ月、1年と引き伸ばした場合、何にどのくらい時間を割いているでしょうか。
定年退職後ですから、今の会社に今の立場のままで所属していることは少ないでしょう。海外旅行や趣味のゴルフ、読書に音楽、家庭菜園など、今まで時間の制約でできなかったことをやりたいと思う方も多いでしょう。
仕事を続けているのであれば週何日勤務が理想だとか、地域活動に参加することも考えられます。

  • 例えば海外旅行の場合、それは1年のうちどの程度の時間を必要とするものでしょうか。
  • また資金的にはどのくらい必要で、また実際に用意できるか試算できるでしょうか。

    ゴルフであれば1回何時間で週何日通うとか、家庭菜園は土地の確保にはじまり雨風・寒暖など天候にも左右されます。
    様々な条件を加味してなるべく具体的に考えてみましょう。

    人生100年時代、活躍できる時間は年々伸びている

    さて、厚生労働省が公表している「平成 30 年簡易生命表」によると、現在45歳の人をモデルとした平均余命は男性で37.42年、女性では43.13年あるとされています。15年後の60歳時点では男性23年以上、女性29年以上あり、まだまだ活躍できる時間がありそうです。

    20年以上の時間を上のシミュレーションと重ねたとき、毎日趣味だけで過ごせるでしょうか?
    例えば先日のゴールデンウィーク10連休はいかがでしたか。
    いつもは休日を心待ちにしていたはずが、10日も休んでいると何をしたらいいか分からないと感じた方も居たのではないでしょうか。中には仕事をしたいと思った方もいたかもしれません。

    (参考)
    平成30年簡易生命表の概況
    1 主な年齢の平均余命
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-02.pdf

    退職後も社会に参加する方法を探している

    私たち社会人材学舎へ相談にいらっしゃる退職後の方々の多くは、時間がたくさんある環境に飽きて何かしないではいられなくなったと仰られます。

    実際、リクルートワークス社の調査(全国就業実態パネル調査2018「どうすれば人は学ぶのか」)によると、63歳を過ぎた頃から自己投資額が増えています。
    これは42歳頃を上回る額になっており、趣味だけでは気持ち的にも経済的にも時間を過ごしきれず、仕事に代表される社会というフィールドで再び活躍したくなるということを示していると考えられます。

    (参考)
    全国就業実態パネル調査2018「どうすれば人は学ぶのか」
    p4 [図表1-4] 3つの学びの推移:雇用者(計)…赤い線「自己学習」
    https://www.works-i.com/research/others/item/180807_jpsedmanabi.pdf

    キャリア創りに「早すぎる」はない

    周囲を見渡せば、60代の方は思いのほか体力は衰えず、気力も能力も現役と変わりないことに気づきます。
    そして、実は60代以降も社会で活躍するチャンスはたくさんあります。
    けれどチャンスを掴むには早いうちから準備していた人の方が有利です。その時になってからだと準備に大事な時間をとられ、しかも今始めるよりも大変になる場合が多いのです。

    キャリアを創るには、年単位で必要になる場合も多く見受けられます。
    しかもある年齢になって急にこうしたい、ああなりたいと思っても、それまでのキャリアの蓄積がなければ難しいことも多いです。

    退職した後で、働きたいと思う可能性が少しでも想定されるなら、ゴールから逆算して今できることから始めることをおすすめします。
    その際に、冒頭のシミュレーションを活用していただければ幸いです。

    次回はこのシミュレーションを見返して、よりゴールとして今に活かせるように精度を高めるための考え方をお伝えします。

    参考資料

    退職後の方の実態調査を反映した、経産省の「不安な個人・立ちすくむ国家」という資料があります。刺激的な内容ではありますが、未来の可能性の一つとしてシミュレーションする際の参考にされてもいいかと思います。

    (参考)
    「不安な個人・立ちすくむ国家」
    https://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
     p16「65歳以上でも働く意欲のある人は6割以上」
     p18「定年退職を堺に、日がなテレビを見て過ごしている。」(趣味等に割いている時間は意外と少ない)