かつての40代といえば、「社会人人生の中間点をすぎ、部下を導く側として泰然と構えている」そんなイメージが強かったように思います。
ところが、70歳・80歳になっても働くのが当たり前という人生100年時代が提唱されて以来、40代社会人の立ち位置は大きく変化しました。そう、70歳を過ぎても現役で働くならば、40歳はまだ折り返し地点にすら到達していないのです。
「まだまだ先は長い」そう考えると、40代のうちに、長期間働くためのキャリアプランをしっかりと練り上げておく必要があります。
とはいえ、「もう40歳もすぎたし、いまさらキャリアといわれても……」というのが、多くの40代が感じている本音でしょう。そこで今回は、輝かしい40代のキャリア構築に必要な「キャリアプラン設計」のポイントを、わかりやすく解説していきます。
=目次=
40代でのキャリアチェンジは「遅くない」
「キャリアプラン設計」と言われても、「やっぱり40代からのキャリアチェンジは難しいんじゃないか……」と感じてしまうのが本音でしょう。
でも、ご安心ください。むしろ、40代からキャリアチェンジを考え始めた今のあなたは、とてもラッキーです。なぜなら、40代からのキャリアチェンジが一番ベストタイミングだからです。
もちろん、20代後半〜30代でキャリアチェンジをする人が一番多いのが現状です。ある程度の社会経験をし、さらなるステップへと踏み出すには絶好の年代と言えるでしょう。
しかし、40代からのキャリアチェンジでも、十分間に合います。40歳になったあなたがこれまで経験した知識やスキルは、キャリアチェンジにおいて大きな武器となります。50代〜60代からの転職と比べると、まだまだ選択肢が豊富なうえ、企業が受け入れてくれる可能性も高まるものです。
そう考えると、40代のキャリアチェンジは最適なタイミングと言えるでしょう。
なぜ40代がキャリアチェンジに最適なのか
それでは、なぜ40代がキャリアチェンジに最適なタイミングなのかを詳しく見ていきましょう。これからのキャリアチェンジに不安を感じている方は、ぜひ読んでいってくださいね。
これまでの経験やスキルが活かせる
40代にもなれば、長年の業務で培ってきた高いスキルと豊富な知識を兼ね備えているはずです。これまでの経験から、安定した業務遂行力と専門性は十分に確立されています。
新しい業界や職種に転職することは、マンネリ化した日々に刺激を与え、新たな発見をもたらしてくれるでしょう。これまでのキャリアで培ってきたあなたのポテンシャルは、転職先でも必ず活かされます。
数年の経験しかない30代前半と比べると、長期間にわたって安定した専門業務をこなしてきた40代のあなたは、即戦力としての価値が十分に高いと見なされます。転職先が求める専門性と安心感を兼ね備えているため、40代からの転職を歓迎してくれる企業は少なくないのです。
自分の得意分野を活かしつつ、これまでのキャリアと異なる分野に挑戦することは、人生をさらに豊かにするチャンスです。「40代から一生出来る仕事に就きたい」と感じているのなら、まさに今が絶好のタイミングと言えるでしょう。
あなたのキャリアは、これまでの努力の積み重ねで築かれたものであり、その強みを活かしたキャリアチェンジは、あなたのこれからの人生をより充実させてくれます。
これまでの人脈が役立つ
キャリアチェンジを成功させる上で、「人脈」は非常に重要なポイントです。これまでの仕事やプライベートで築かれた人脈は、転職活動をする上で大きな力となるでしょう。上司、同僚、取引先、友人など、さまざまな人とのつながりが、想定しなかった転職の機会を与えてくれることも少なくありません。
紹介からの転職は、書類選考や面接がスムーズに進むでしょう。また、転職先のリアルな情報を事前に得ることができるのもメリットです。信頼できる人からの紹介は、ミスマッチのリスクを減らせます。
特に40代は、これまで関わってきた人の人数が多いため、その人脈が大きな財産となります。キャリアチェンジを検討し始めたら、定期的に連絡を取り合っている人たちに相談してみるのも良いでしょう。
もしかしたら、あなたの次のキャリアにつながるヒントやチャンスが隠れているかもしれません。人とのつながりを大切にすることが、新しい人生を切り開くカギとなるのです。
これまでの人生経験を踏まえた客観的な分析ができる
キャリアチェンジにおいて、自己分析は欠かせません。これは、業務上のスキルや経験とは別軸の話になってきますが、40代にもなれば、これまでの豊富な人生経験から、相手の気持ちになって物事を考える力が自然と身についているはずです。
自己分析では、自分の強みを過大評価してしまったり、悲観的に考えすぎてしまったりなどがよくあるものです。ネガティブな思考に陥ってしまうと、客観的な自己評価ができず、その後の転職活動に悪影響を及ぼします。
しかし、40代のあなたは、落ち着いて冷静に自分自身を見つめ直すポテンシャルを十分に持っています。自分の得意なこと、苦手なこと、これまでの経験から得た価値観や強みを冷静に分析できるのは、40代になった今だからこその強みです。
とは言え、やはり第三者から見た評価や意見を聞くことも大切です。自分自身が感じている自己評価と、他人がしてくれる評価とのギャップを確認し、それを素直に受け入れることで、より最適なキャリアを見つけられます。
客観的な視点を持った自己分析は、当たり前のようでいて実は難しいものです。40代のあなたには、それができる能力が備わっています。
ワークライフバランスを重視する企業が増えた
令和7年となった現代では、従来の働き方とは大きく異なる「多様な働き方」が受け入れられるようになりました。例えば、新型コロナウイルスの流行によりリモートワークが普及したり、共働き世帯が増えたことでフレックスタイム制も主流となったりしています。長時間労働やハラスメントなどの問題が完全になくなったわけではありませんが、社員の働きやすさを重視した「ホワイト企業」は増えています。40代からでも、仕事とプライベートのメリハリを付けられる、充実したキャリアに出会える可能性が非常に高いのです。
仕事だけでなく、家族や趣味の時間も大切にしたいと考える方にとって、ワークライフバランスを重視する企業が増えた今は、まさにキャリアチェンジに最適なタイミングと言えるでしょう。
これまでのキャリアで築き上げてきたものを活かしつつ、新しい働き方を実現できるチャンスです。
まずはキャリアについてしっかりと理解しよう
40代のキャリア設計を考えていくなら、まずはキャリアそのものについてしっかりと理解しておかなければなりません。この章では、キャリア構築に必要なポイントを3点紹介していきます。
理想のキャリアは「Will-Can-Must」の交差点にある
40代のキャリア設計には、「Will-Can-Must」という3つの視点が欠かせません。「3つの視点をバランスよく意識する」どうかこの意識を、強くもっていただきたいと思います。
転職時には、せっかく新しい仕事をするのだからと、「Will(やりたいこと)」にばかり目を向けがちです。
でも40代がスムーズに転職を成功させるには、なによりも「Can(できること)」を優先して考えなくてはなりません。採用企業は40代の転職者に、「即戦力」すなわち「できること」を一番に求めているからです。
とはいえいつもCanばかり考えていたら、せっかく転職したのに、仕事に対してやりがいや楽しさを見いだせなくなる危険性があります。
また、転職を成功させるには、「Must(やらなければならないこと)」の意識も重要です。採用担当者に、「やるべき仕事はきっちりと結果を出します」という姿勢を感じてもらえれば、採用の確率は間違いなくアップするでしょう。
上記3つの要素は、どれかひとつ欠けても成立しないとても重要なものばかりです。どれかひとつに偏重することなく、「Will-Can-Must」をバランスよく意識するようにしてください。
最善を目指すからこそ、納得のいくキャリアが積み上げられる
40代のキャリア設計には、常に最善を目指す高い意識が欠かせません。最善を目指すからこそ、なにかしらのトラブルがあっても、結果として満足のいくキャリアを構築できるのです。
しかし実際には、最善よりも安全を選ぶ人のほうが圧倒的に多いでしょう。私自身を振り返ってみても、転職の際には、できるだけ待遇のよい大きい会社を選んできたように思います。そうすれば、会社が倒産する心配もなく、安全だと思ったからです。
今あらためて考えると、新卒時に内定をもらった企業のほとんどが、現在では以前のような業績を出せていないことに気づきます。そのときは安全で確実だと思ったキャリアが、実際にはまったく安全じゃなかったわけです。
さいわいなことに、私は途中でこういった流れに気づき、方向転換をしました。安全ではなく、リスクを冒して最善を目指すことにしたのです。
正直なところ、「その決断が正しいかどうか」いまだ結論は出ていません。しかし、少なくとも社会人材学舎を志とともに経営できているのは、とても幸運なことだと心の底から感じています。
もちろん安全も大事な要素ですが、せっかく40代からキャリアを再構築するなら、安全を言い訳に最善なキャリアを諦めてほしくありません。もっともっと貪欲に、最善なキャリアを目指していきましょう。
迷ったらリスクのあるほうを選ぶ
前述のとおり、40代のキャリア設計には、最善のキャリアを選ぶ意識が不可欠です。ただ、どうしても失敗が怖いという人も、現実にはたくさんいるでしょう。私は、その気持を否定しません。私自身も、失敗が怖くて、何度も安全な選択肢を選んできましたから。
それでも、今の私なら、迷わず安全よりもリスクのある選択肢を選びます。というのも、その時点で安全にみえても、その安全が長期間続くとは限らないからです。
今や技術革新とグローバル化により、トレンドはすぐに変化していきます。今主流なものが、5年後には陳腐化してしまう。そういう目まぐるしく変動する社会で、私たちは働いていかなくてはなりません。
であれば、多少リスクがあっても、最善の結果が見込める選択肢を選ぶべきです(リスク対策については後述)。そのほうが、納得できるキャリアを構築できる確率が、格段にアップします。
もしあなたの考える最善の方法が、世間一般の常識から外れていても、全然気にしないでください。自分がこれだと思ったら、迷わず進んでいけばいいのです。
40代のキャリアを成功に導くためにやるべき3つのステップ
最善のキャリアを実現するには、なんといっても綿密なキャリア設計が欠かせません。そこでこの章では、40代のキャリア設計をスムーズに進めるための流れを、3つのステップにわけて紹介していきます。
- STEP1:自分の棚卸し
- STEP2:ゴールを明確に決める
- STEP3:具体的に作戦を立てて実行する
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
STEP1:自分の棚卸し
冒頭でも触れたように、70歳を過ぎても充実した社会人人生を送るためには、どこかでキャリアチェンジ(転職)をしなければなりません。
40代の転職にとって最も重要なのが、「Can(できること)」です。採用担当者に対して「自分を採用するメリット」をしっかりとアピールできなければ、恐らく転職は叶わないでしょう。
そのため、キャリア設計のファーストステップで、「自分の棚卸し」を徹底的に行います。これまでの人生を振り返り、転職先にアピールできる強みを思いつく限り洗い出してください。
実際の棚卸しでは、子ども時代にまで遡り、得意なこと・好きなこと・実績・資格などをすべて書き出します。
なかなか面倒な作業ですが、自分の人生を書き出すうちに、今まで曖昧だった「自分の強み」をしっかりと言語化できるはずです。同時に、「自分はこれからこういう仕事がしたい」という志向性も明確になります。
ここからは、実際に棚卸しを行う際の3つのポイントを解説します。
役立つ自己分析ツール
「では、自分の経験やキャリアを棚卸ししてください」と言われても、漠然としていて何から手をつければいいか分からない方もいるでしょう。
そんな時は、自己分析ツールを活用するのがおすすめです。いくつかの質問に答えるだけで、自分の強みや適正などを客観的に把握できる便利なツールがたくさんあります。
自己分析ツールは、無料のものから有料のものまでさまざまな種類がありますが、その中から、一体どの自己分析ツールを選べば良いのでしょうか。
それは、自己分析の目的に合わせて選ぶことがポイントです。例えば、自分に合った働き方を知りたいなら「働き方診断」、自分の性格や強み・弱みを知りたいなら「適職診断」を選ぶと良いでしょう。
自己分析ツールを活用することで、効率的に自己理解を深められ、その後のキャリアプランを具体的に立てられます。自信を持って次のステップへ進むためにも、ぜひ気軽に試してみてくださいね。
ポータブルスキルの洗い出し
自分の棚卸しをする中で、必ずやってほしいことはポータブルスキルの洗い出しです。ポータブルスキルとは、業界や職種が変わっても通用する「持ち運びできるスキル」のことです。例えば、課題解決能力、コミュニケーション能力、論理的思考力などを指します。
これまでの業務内容を詳細に振り返ってみましょう。自分がどのようなプロセスで仕事をしてきたか、どんな工夫をしてきたかを言語化してみてください。
多くのタスクをこなす中でどのように計画を立てたか、課題に直面したときにどうやって解決したかなど、具体的なエピソードを踏まえて考えていくと、自分の強みが見えてきます。
これらのスキルは、あなたがどんな人柄で、どんな仕事の姿勢を持っているかを転職先にアピールする重要な材料となるでしょう。
「この人なら新しい環境でも活躍してくれそう」「この人の仕事スタイルはうちの社風に合っている」と感じてもらえれば、採用決定のきっかけとなります。
他己分析の必要性
キャリアの棚卸しは、自分一人で行うものではありません。他己分析も必ず取り入れましょう。
自分で認識している自分と、第三者から見えている自分は、少なくともギャップがあるものです。このギャップを埋めることで、より客観的で正確な自己理解につながり、棚卸しの精度を高められます。
信頼できる上司や同僚、友人などに尋ねてみましょう。自分では当たり前だと思っていたことが、第三者から見れば素晴らしい強みであったり、逆に自分では強みだと思っていたことが、実はそうでもなかったりなど、新たな発見があるはずです。
第三者からのフィードバックは、自分の盲点に気づかせてくれる貴重な情報源となります。
■ 自分の棚卸しについては、こちらの記事でも読めます
■ 自分の棚卸しを第三者にサポートしてもらいたいなら
STEP2:ゴールを明確に決める
自分の棚卸しをして、判断材料が揃ったら、今度はゴールを明確に決めましょう。当たり前の話ですが、自分のキャリアゴールが決まらなければ、あなたにとっての最善の選択はいつまでたっても分からないままです。
ゴールが明確になると、転職活動にもムダがなくなります。自分の進みたい方向がはっきりしていれば、会社選びや仕事の選択についても、迷いがありません。
ただし、一度ゴールを設定したからといって、必ずしもそのゴールに固執しなくても大丈夫です。前述のとおり、時代はものすごい速さで動いています。もちろん、自分の志向が変化することだってあるでしょう。
だから、状況に応じて、ゴールは変えてしまっても良いのです。あくまでも、今どこを目指すべきか、その1点に集中してください。
短期・中長期の目標設定
キュアリアゴールを明確にするためには、短期・中長期の目標設定をしましょう。まずは短期目標として、転職後1年以内に達成したいことを考えてみてください。例えば、「資格を取得する」「新しい職種の基本業務をマスターする」など、より具体的であるほど良いです。
さらに、中長期目標として、3年後、5年後にどうなっていたいかを描いてみましょう。これは、自分の将来理想のキャリアをイメージする作業になります。「リーダーになる」「地方に住みながら働く」など、キャリアの方向性やライフスタイルにも焦点を当てて考えてみてください。
こういった段階的な目標設定をすることで、今やるべきことが明確になり、理想のキャリアへと近づいていけるのです。
複数の選択肢を検討
前述しましたが、ゴールは途中で変えて構いません。実際にやってみたら、理想が変わることもあります。もしも、現時点で思い描くキャリアプランが定まらない場合は、複数の選択肢を検討することをおすすめします。
それぞれの選択肢を検討していく中で、メリットとデメリットを洗い出してみましょう。どんなスキルが求められるのか、どんな働き方になるのか、どんな課題が予測できるかなどを具体的に書き出すことで、最適な選択をするための判断材料となります。
一つの道にこだわりすぎず、さまざまな可能性を比較し検討することで、あなたの可能性を最大限に引き出すキャリアに出会えるでしょう。
STEP3:具体的に作戦を立てて実行する
ゴールが決まれば、あとは具体的に作戦を立てて、実行するだけです。作戦の立て方は人それぞれですが、1例を挙げておきます。
- 自分のキャリアゴールを設定
- 再度自己分析をおこなう
- ゴール到達に不足しているものを洗い出す
- 現実とゴールのギャップを埋める計画を立てる
- 実際に行動しながら計画を修正し、行動の精度をあげていく
なんと言っても、ゴール到達に足りないものを明確にすることから、すべては始まります。それはなんらかの知識かもしれないし、あるいは経験値が足りていないのかもしれません。
とにかく、ゴール到達に足りない要素をピックアップして、現実とゴールのギャップを少しずつ埋めていきましょう。
また、最善だと思った計画も、実際にやってみたら全く通用しないこともあるでしょう。そのときは計画を修正して、また別の方法を試してみれば良いのです。とにかく、「計画をして実際にやってみる」ことで、いろいろなものが見えてきます。
転職エージェントの活用法
もし、どうしてもこの段階でつまずいてしまうのなら、私どものような40代以降の世代をサポートしている転職エージェントに相談してみてください。
知命塾では、キャリアチェンジを目指すミドルシニアへ向けて、アルムナイ交流会や転職紹介サービスを行っています。同じ目標を持った人たちとの交流を経て、悩みや不安の解消につながったり、キャリアチェンジへの新たな発見があったりなど、参加した人にしか得られない貴重な機会となるでしょう。
転職活動を実行していく上でも、講師や仲間とともに新しいキャリアを目指すことで、自分自身が気付けなかった「人となり」や「強み」を的確に把握できます。そのため、よりおすすめな求人案件を紹介してもらえたり、採用企業へ的確なリコメンドを伝えてもらえることもあるのです。
知命塾での学びは、今後のキャリアプランを歩んでいく上で大きな力となるはずです。
40代のキャリアプランはリスク対策が命
新たなキャリアを踏み出す際には、多少なりともリスクが生じるものです。いくら40代はまだ先が長いといっても、やはり20代とは違います。大きなミスを犯すと時間的にリカバーしきれない可能性もありますから、リスク対策は入念におこなっておきたいところです。
ということで、キャリア設計で必ず抑えておきたい3つのリスク対策について、解説していきます。
収入減に対するリスク対策
40代がまず検討すべきは、なんといっても「収入減」についてのリスク対策でしょう。なぜならば、40代の転職先は、ほぼ中小企業だからです。規模の小さい企業へ転職すれば、当然報酬も下がります。
中小企業の場合、転職後に結果を出せば、報酬が一気に跳ね上がる可能性もあります。しかし、必ず報酬がアップする保証はどこにもありません。そうなると、収入が下がっても生活をしていけるかどうかが、転職のカギを握ってきますよね。
具体的には、まず最低限いくらあれば生活できるのかを、計算してみてください。その結果、なんとか生活を維持できるなら、転職も現実味を帯びてきます。あとは、転職後に報酬アップの可能性があるかどうかですね。
また転職が失敗した場合に備えて、さまざまなセーフティネットを調べておくと安心です。日本は、「失業保険」「住宅確保給付金」など、意外に公的な補助制度が充実しています。かりに転職がうまくいかなくても、すぐに生活が破綻することはありません。
また個人的には、補助金をもらい地方に移住する方法もオススメです。なんといっても地方には、優秀な人材を渇望している優良な中小企業がたくさんあります。地方に目を向ければ、転職失敗のリスクは大幅に軽減されるでしょう。
働き方の変化に対するリスク対策
AIの進化やグローバル化により、私たちの働き方は大きな変化を迎えつつあります。こうした変化については、事前にある程度予測して対策を立てておかないと、ある日いきなり働く場を失ってしまうかもしれません。
これまで人間がおこなってきた仕事の多くは、おそらくそう遠くない将来、機械やAIに取って代わられていくでしょう。つまり40代以降の豊富なキャリアをもつ人も、自分のスキルや経験がいつ陳腐化してしまうかわからないということです。
さらに、会社に集まって働くというスタイルも、今後はどんどん少なくなっていくと思います。実際、コロナウイルスの影響により、リモートワークが当たり前になりつつありますからね。
そうなると、成果さえ出せれば、勤務時間は今ほど重視されなくなるでしょう。これからは、フルタイム勤務の意味が実質なくなり、空いた時間での副業や起業が当たり前になっていくはずです。
現時点ではあくまでも予測でしかありませんが、これから働き方が大きく変化するのは間違いありません。情報を収集し、考えうる働き方の変化に対して、さまざまな対応策を考えておくべきだと思います。
人間関係に対するリスク対策
転職をすると、人間関係の多くはいったんリセットされます。そのため、これから転職先で新たに人間関係を構築していくのですが、40代をすぎるとなかなか新卒のようにはいきません。
40代の主な転職先となる中小企業は、いうなれば小さなムラ社会です。そのため、もし社風にうまくハマらなければ、働き心地は非常に悪いものになってしまうでしょう。
また転職をすれば、いったんゼロからのスタートになります。もちろん、ある程度会社に慣れてくれば、スキルや経験に応じて役職もみえてくるはずです。しかし当面の間は、自分より年下が上司になる可能性だって十分にあり得ます。
自分は年齢など気にしないと思っていても、いざ年下から指示を受ければ、どうしても心中穏やかではいられないものです。
こういった転職にともなう人間関係の変化は、基本的に受け入れるしか対応策はありません。しかし「この人は人脈も豊富だし、なによりも仕事ができる」と評価されれば、転職先でも一目置かれ、円滑な人間関係を構築しやすくなります。
そのためにも、常日頃から、職場を越えた良好な人間関係構築の努力をしておくべきです。
まとめ
冒頭でもお話ししたように、40代のキャリア設計は、転職の成否によって大きく結果が変わってきます。
もしキャリアをより良いものにしていきたいなら、まずは自分の棚卸しを徹底的に行いましょう。そうすれば、自分の強みと志向性が明確になり、転職先にしっかりとアピールができます。
また、普段はどうしても軽視しがちですが、うまくいかなかったときのリスク対策も疎かにはできません。今回の内容を参考に、ぜひ成功に直結するキャリアを設計していただければと思います。
なお社会人材学舎では、随時Webセミナーを無料で開催しています。キャリア設計について詳しく知りたい方は、どうぞお気軽にご参加ください。