これまで40代といえば、「社会人人生の中間点をすぎ、これから60歳の定年に向かって下り坂を進んでいく」そんなイメージが強かったように思います。
ところが、70歳・80歳になっても働くのが当たり前という人生100年時代が提唱されて以来、40代社会人の立ち位置は大きく変化しました。そう、70歳を過ぎても現役で働くならば、40歳はまだ折り返し地点にすら到達していないのです。
「まだまだ先は長い」そう考えると、40代のうちに、長期間働くためのキャリアプランをしっかりと練り上げておく必要があります。
とはいえ、「もう40歳もすぎたし、いまさらキャリアといわれても……」というのが、多くの40代が感じている本音でしょう。そこで今回は、輝かしい40代のキャリア構築に必要な「キャリアプラン設計」のポイントを、わかりやすく解説していきます。
=目次=
まずはキャリアについてしっかりと理解しよう
40代のキャリア設計を考えていくなら、まずはキャリアそのものについてしっかりと理解しておかなければなりません。この章では、キャリア構築に必要なポイントを3点紹介していきます。
理想のキャリアは「Will-Can-Must」の交差点にある
以前別記事でも紹介しましたが、40代のキャリア設計には、「Will-Can-Must」という3つの視点が欠かせません。「3つの視点をバランスよく意識する」どうかこの意識を、強くもっていただきたいと思います。
転職時には、せっかく新しい仕事をするのだからと、「Will(やりたいこと)」にばかり目を向けがちです。
でも40代がスムーズに転職を成功させるには、なによりも「Can(できること)」を優先して考えなくてはなりません。採用企業は40代の転職者に、「即戦力」すなわち「できること」を一番に求めているからです。
とはいえいつもCanばかり考えていたら、せっかく転職したのに、仕事に対してやりがいや楽しさを見いだせなくなる危険性があります。
また、転職を成功させるには、「Must(やらなければならないこと)」の意識も重要です。採用担当者に、「やるべき仕事はきっちりと結果を出します」という姿勢を感じてもらえれば、採用の確率は間違いなくアップするでしょう。
上記3つの要素は、どれかひとつ欠けても成立しないとても重要なものばかりです。どれかひとつに偏重することなく、「Will-Can-Must」をバランスよく意識するようにしてください。
最善を目指すからこそ、納得のいくキャリアが積み上げられる
40代のキャリア設計には、常に最善を目指す高い意識が欠かせません。最善を目指すからこそ、なにかしらのトラブルがあっても、結果として満足のいくキャリアを構築できるのです。
しかし実際には、最善よりも安全を選ぶ人のほうが圧倒的に多いでしょう。私自身を振り返ってみても、転職の際には、できるだけ待遇のよい大きい会社を選んできたように思います。そうすれば、会社が倒産する心配もなく、安全だと思ったからです。
今あらためて考えると、新卒時に内定をもらった企業のほとんどが、現在では以前のような業績を出せていないことに気づきます。そのときは安全で確実だと思ったキャリアが、実際にはまったく安全じゃなかったわけです。
さいわいなことに、私は途中でこういった流れに気づき、方向転換をしました。安全ではなく、リスクを冒して最善を目指すことにしたのです。
正直なところ、「その決断が正しいかどうか」いまだ結論は出ていません。しかし、少なくとも社会人材学舎を志とともに経営できているのは、とても幸運なことだと心の底から感じています。
もちろん安全も大事な要素ですが、せっかく40代からキャリアを再構築するなら、安全を言い訳に最善なキャリアをあきらめてほしくありません。もっともっと貪欲に、最善なキャリアを目指していきましょう。
迷ったらリスクのあるほうを選ぶ
前述のとおり、40代のキャリア設計には、最善のキャリアを選ぶ意識が不可欠です。ただ、どうしても失敗が怖いという人も、現実にはたくさんいるでしょう。私は、その気持を否定しません。私自身も、失敗が怖くて、何度も安全な選択肢を選んできましたから。
それでも、今の私なら、迷わず安全よりもリスクのある選択肢を選びます。というのも、その時点で安全にみえても、その安全が長期間続くとは限らないからです。
今や技術革新とグローバル化により、トレンドはすぐに変化していきます。今主流なものが、5年後には陳腐化してしまう。そういう目まぐるしく変動する社会で、私たちは働いていかなくてはなりません。
であれば、多少リスクがあっても、最善の結果が見込める選択肢を選ぶべきです(リスク対策については後述)。そのほうが、納得できるキャリアを構築できる確率が、格段にアップします。
もしあなたの考える最善の方法が、世間一般の常識から外れていても、全然気にしないでください。自分がこれだと思ったら、迷わず進んでいけばいいのです。
40代のキャリアを成功に導くためにやるべき3つのステップ
最善のキャリアを実現するには、なんといっても綿密なキャリア設計が欠かせません。そこでこの章では、40代のキャリア設計をスムーズに進めるための流れを、3つのステップにわけて紹介していきます。
- STEP1:自分の棚卸し
- STEP2:ゴールを明確に決める
- STEP3:具体的に作戦を立てて実行する
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
STEP1:自分の棚卸し
冒頭でも触れたように、70歳をすぎても充実した社会人人生を送るためには、どこかでキャリアチェンジ(転職)をしなければなりません。
40代の転職にとってもっとも重要なのが、「Can(できること)」です。採用担当者に対して「自分を採用するメリット」をアピールできなければ、おそらく転職は叶わないでしょう。
だから、キャリア設計のファーストステップで、「自分の棚卸し」を徹底的におこないます。これまでの人生を振り返り、転職先にアピールできる強みを思いつく限り洗い出してください。
実際の棚卸しでは、子ども時代にまでさかのぼり、得意なこと・好きなこと・実績・資格などをすべて書き出します。
なかなか面倒な作業ですが、自分の人生を書き出すうちに、今まで曖昧だった「自分の強み」をきちんと言語化できるはずです。同時に、「自分はこれからこういう仕事がしたい」という志向性も、明確になるでしょう。
ただし、自分ひとりで棚卸しをすると、どうしてもマイナスな面から目をそむけがちです。それでは正確な棚卸しができないので、必ず第三者のサポートを受けながら棚卸しをおこなってください。
■ 自分の棚卸しについては、こちらの記事でも読めます
■ 自分の棚卸しを第三者にサポートしてもらいたいなら
STEP2:ゴールを明確に決める
自分の棚卸しをして、判断材料が揃ったら、今度はゴールを明確に決めましょう。当たり前の話ですが、自分のキャリアゴールが決まらなければ、あなたにとっての最善の選択はいつまでたってもわからないままです。
ゴールが明確になると、転職活動にもムダがなくなります。自分の進みたい方向がはっきりしているので、会社選びや仕事の選択についても、迷いがありません。
ただし、いちどゴールを設定したからといって、必ずしもそのゴールに固執しなくたって大丈夫です。前述のとおり、時代はものすごい速さで動いています。もちろん、自分の志向が変化することだってあるでしょう。
だから、状況に応じて、ゴールはどんどん変えてしまっていいんです。あくまでも、今どこを目指すべきか、その1点に集中してください。
STEP3:具体的に作戦を立てて実行する
ゴールが決まれば、あとは具体的に作戦を立てて、実行するだけです。作戦の立て方は人それぞれですが、1例をあげておきます。
- 自分のキャリアゴールを設定
- 再度自己分析をおこなう
- ゴール到達に不足しているものを洗い出す
- 現実とゴールのギャップを埋める計画を立てる
- 実際に行動しながら計画を修正し、行動の精度をあげていく
なんといっても、ゴール到達に足りないものを明確にすることから、すべてははじまります。それはなんらかの知識かもしれないし、あるいは経験値が足りていないのかもしれません。
とにかく、ゴール到達に足りない要素をピックアップして、現実とゴールのギャップを少しずつ埋めていきます。
また、最善と思った計画も、実際にやってみたらまったく通用しないなんてこともあるでしょう。そのときは計画を修正して、また別の方法を試してみたらいいんです。とにかく、「計画をして実際にやってみる」ことで、いろいろなものがみえてきます。
もし、どうしてもこの段階でつまずいてしまうのなら、私どものような40代以降の世代をサポートしている転職エージェントに相談してみてください。
40代のキャリアプランはリスク対策が命
新たなキャリアを踏み出す際には、多少なりともリスクが生じるものです。いくら40代はまだ先が長いといっても、やはり20代とは違います。大きなミスを犯すと時間的にリカバーしきれない可能性もありますから、リスク対策は入念におこなっておきたいところです。
ということで、キャリア設計で必ず抑えておきたい3つのリスク対策について、解説していきます。
収入減に対するリスク対策
40代がまず検討すべきは、なんといっても「収入減」についてのリスク対策でしょう。なぜならば、40代の転職先は、ほぼ中小企業だからです。規模の小さい企業へ転職すれば、当然報酬も下がります。
中小企業の場合、転職後に結果を出せば、報酬が一気に跳ね上がる可能性もあります。しかし、必ず報酬がアップする保証はどこにもありません。そうなると、収入が下がっても生活をしていけるかどうかが、転職のカギを握ってきますよね。
具体的には、まず最低限いくらあれば生活できるのかを、計算してみてください。その結果、なんとか生活を維持できるなら、転職も現実味を帯びてきます。あとは、転職後に報酬アップの可能性があるかどうかですね。
また転職が失敗した場合に備えて、さまざまなセーフティネットを調べておくと安心です。日本は、「失業保険」「住宅確保給付金」など、意外に公的な補助制度が充実しています。かりに転職がうまくいかなくても、すぐに生活が破綻することはありません。
また個人的には、補助金をもらい地方に移住する方法もオススメです。なんといっても地方には、優秀な人材を渇望している優良な中小企業がたくさんあります。地方に目を向ければ、転職失敗のリスクは大幅に軽減されるでしょう。
働き方の変化に対するリスク対策
AIの進化やグローバル化により、私たちの働き方は大きな変化を迎えつつあります。こうした変化については、事前にある程度予測して対策を立てておかないと、ある日いきなり働く場を失ってしまうかもしれません。
これまで人間がおこなってきた仕事の多くは、おそらくそう遠くない将来、機械やAIに取って代わられていくでしょう。つまり40代以降の豊富なキャリアをもつ人も、自分のスキルや経験がいつ陳腐化してしまうかわからないということです。
さらに、会社に集まって働くというスタイルも、今後はどんどん少なくなっていくと思います。実際、コロナウイルスの影響により、リモートワークが当たり前になりつつありますからね。
そうなると、成果さえ出せれば、勤務時間は今ほど重視されなくなるでしょう。これからは、フルタイム勤務の意味が実質なくなり、空いた時間での副業や起業が当たり前になっていくはずです。
現時点ではあくまでも予測でしかありませんが、これから働き方が大きく変化するのは間違いありません。情報を収集し、考えうる働き方の変化に対して、さまざまな対応策を考えておくべきだと思います。
人間関係に対するリスク対策
転職をすると、人間関係の多くはいったんリセットされます。そのため、これから転職先で新たに人間関係を構築していくのですが、40代をすぎるとなかなか新卒のようにはいきません。
40代の主な転職先となる中小企業は、いうなれば小さなムラ社会です。そのため、もし社風にうまくハマらなければ、働き心地は非常に悪いものになってしまうでしょう。
また転職をすれば、いったんゼロからのスタートになります。もちろん、ある程度会社に慣れてくれば、スキルや経験に応じて役職もみえてくるはずです。しかし当面の間は、自分より年下が上司になる可能性だって十分にあり得ます。
自分は年齢など気にしないと思っていても、いざ年下から指示を受ければ、どうしても心中穏やかではいられないものです。
こういった転職にともなう人間関係の変化は、基本的に受け入れるしか対応策はありません。しかし「この人は人脈も豊富だし、なによりも仕事ができる」と評価されれば、転職先でも一目置かれ、円滑な人間関係を構築しやすくなります。
そのためにも、常日頃から、職場を越えた良好な人間関係構築の努力をしておくべきです。
まとめ
冒頭でもお話ししたように、40代のキャリア設計は、転職の成否によって大きく結果が変わってきます。
もしキャリアをよりよいものにしていきたいなら、まずは自分の棚卸しを徹底的におこなってください。そうすれば、自分の強みと志向性が明確になり、転職先にしっかりとアピールができます。
また普段はどうしても軽視しがちですが、うまくいかなかったときのリスク対策も決しておろそかにはできません。今回の内容を参考に、ぜひ成功に直結するキャリアを設計していただければと思います。
なお社会人材学舎では、随時Webセミナーを無料で開催しています。キャリア設計について詳しく知りたいかたは、どうぞお気軽にご参加ください。