「セカンドキャリア転職に有利な資格7選」と資格を実際に役立てるコツを紹介

自分のキャリアを証明するのに有効とされる「資格」ですが、50代以降のキャリア転職において、資格はどのくらい重要なのでしょうか。

結論からいえば、セカンドキャリアに直結する資格を取得できれば、資格は大いにあなたを助けてくれるはずです。今回は、セカンドキャリア転職に有利なおすすめの資格や、資格を実際に役立てるポイントについて詳しくお話ししていきます。

キャリア転職全般に役立つ資格4選

キャリア転職全般に役立つ資格4選

まずはキャリア転職全般に役立つ資格を、4つピックアップしてご紹介します。もちろん今回ご紹介する資格以外にも有用な資格はたくさんありますが、この4つの資格は、職種を問わずキャリア転職に役立つものばかりです。ぜひ詳しく調べてみてくださいね。

1.簿記

簿記

簿記といえば、これまでに延べ2,700万人以上が受験している人気の資格です。難易度別に1級〜初級と分かれており、キャリア転職に活用するのであれば、2級以上を目指したいところ。

じつは簿記試験を開催している団体は4つあるのですが、知名度からいって日本商工会議所が主催する「日商簿記」を選んでおけば間違いないでしょう。

簿記2級を取得すれば財務諸表も読めるため、経理以外の仕事でも、ある程度経営分析ができる人材として重宝されます。

【2級日商簿記試験概要】

受験資格

・特になし
1級や3級との併願も可

試験日

年3回:2、6,11月の日曜日

受験料

4,720円

試験形式

5題×20点
120分

合格基準

70%以上正解で全員合格

※詳細はこちら:商工会議所の検定試験

2.社会保険労務士

社会保険労務士

社会保険労務士とは、労働や保険関連の法令に基づき、社会保険・年金の手続きや相談業務をおこなう専門家のことです。中小企業では社労関連に精通した人材が少ないため、社会保険労務士の資格があれば、関連業務を一手に任される可能性もあります。

経験次第では将来独立も可能ですので、30代以上でも狙って損のない資格です。

【社会保険労務士試験概要】

受験資格

・大学、短大卒
・実務経験3年以上など

試験日

年1回:8月第4日曜日

受験料

9,000円

試験形式

78問
290分

合格基準

総得点、科目ごとの合格基準点に達すること

※詳細はこちら:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

3.中小企業診断士

中小企業診断士

中小企業診断士は、文字通り、経営を診断するための国家資格です。経済・財務・経営理論・法務など幅広く知識を問われる試験ですので、合格すれば社内外どちらにも高い評価を受けるでしょう。

独占業務がないので、実力がより問われる資格ですが、取得後の実績によっては、コンサルタントとして独立も視野に入ってきます。

【中小企業診断士試験概要】

受験資格

特になし

試験日

・第1次試験:8月上旬の土曜日・日曜日の2日間
・第2次試験:筆記試験が10月、口述試験が12月

受験料

13,000円

試験形式

6科目
各60〜90分

合格基準

1次試験:総点数の 60% 以上、1科目でも満点の 40% 未満のないこと

※詳細はこちら:J-SMECA 中小企業診断協会

4.TOEIC

TOEIC

いわずとしれたビジネス英語の有名資格「TOEIC」。スピーキングとライティングがないことで批判を浴びることもありますが、日本ではTOEICスコアを昇進の判断基準にしている企業が、非常に多く見受けられます。

2007年にはスピーキングとライティングの試験がスタート。しかしまだまだ受験者数は少なく、受けるなら従来の「TOEIC  Listening & Reading  Test 」一択でしょう。高得点(できれば800点以上)を取れば、海外との仕事に就ける可能性がアップします。

【TOEIC試験概要】

受験資格

特になし

試験日

年10回

受験料

6,490円

試験形式

・リスニング:100問45分
・リーディング:100問75分

合格基準

10〜990点のスコア制

※参考:【公式】TOEIC Program|IIBC

定年後にも役立つおすすめ資格3選

ネットでは定年後に使える資格として、「電気主任技術者」「建築物環境衛生管理技術者」「調理師」などをよく勧めています。しかし、ビル管理や飲食店に限定される資格なため、今回はビジネスマン向けの資格をご紹介します。

5.不動産業界「宅地建物取引士」

宅地建物取引士

毎年20万人以上の人が受験をする人気資格。不動産契約時の「重要事項説明」や「契約書への記名・捺印」は、必ず宅建士がおこなうものとされているため、資格保持者は重宝されます。

基本的には不動産業界での資格ですが、金融業界や店舗展開をするような企業であれば、大きな力を発揮できるでしょう。

【宅地建物取引士試験概要】

受験資格

特になし

試験日

年1回:10月第3日曜日

受験料

7,000円

試験形式

50問120分

合格基準

受験者数によって、合格点数は変わる

※参考:宅建試験

6.建築業界「建築士」

建築士

建築業界で働くならば、建築士の資格は必須。一般の住宅であれば二級でも問題ありませんが、キャリア転職ということであれば、やはり「一級建築士」を取得しておきたいところですね。

一級があれば、基本的に設計できる建物の制限がありません。また対外的にも、建築のエキスパートとしてみてもらいやすくなります。もちろん将来独立することも可能です。会社員のうちに経験を積み、いつでも独立できる心構えを持っておきましょう。

【一級建築士試験概要】

受験資格

・指定学科の大学卒業
・二級建築士

試験日

年1回:7月上旬、製図:10月

受験料

17,000円

試験形式

・学科:125問6時間半
・設計製図:6時間半

合格基準

総得点、科目ごとの合格基準点に達すること

※参考:建築技術教育普及センターページ:建築技術教育普及センター

7.保険業界「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」(CFP)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

金融関連の資格の中で、最近注目を集めているのが、この「ファイナンシャル・プランニング技能士」(以下FP技能士)です。FP技能士は相談者の家族構成・資産・負債・保険・ライフスタイルなどを考慮しながら、相談者に最適な生活設計を作成し、サポートします。

なかでも企業の経営もサポートできる1級FP技能士は、取得しておけば「金融・保険のプロ」として、一目置かれるのは間違いありません。

ただし、FPの資格には1級FP技能士(2級)とCFP(AFP)があり、それぞれ主催する団体が違います。試験内容、取得方式(CFPを先に取得すると、1級FP技能士の学科試験が免除)など、相違点も少なくありません。どちらが自分に向いているか、よくリサーチしてみてください。

【1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP試験概要】

 

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP

受験資格

2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者など

AFP認定者であること

試験日

1・5・9月

6月・11月

受験料

8,900円

1課目5,500円~6課目27,500円

試験形式

【学科】
・基礎:2時間半
・応用:2時間半

2日間(各120分)で6科目実施、課目合格制度あり

合格基準

200点満点中120点以上

課目ごとに発表された合格ラインを上回ること。通常おおよそ30%~40%が合格ライン

その他主な相違点

・一度取得すれば永久に有効
・日本独自の資格

・2年ごとに更新

・国際資格
・入会金10,000円+年会費12,000円+継続教育講座費用(2年ごと)9,900円※が必要

※継続教育講座は、FPジャーナル継続教育テストを利用した場合

※参考:FP技能検定

※参考:CFP®資格審査試験

セカンドキャリアの構築に必要な資格選びのポイント

セカンドキャリアの構築に必要な資格選びのポイント

ここまでおすすめの資格を7つ紹介してきました。しかし、今回紹介した資格以外の方向性に進もうと検討中のかたは、どのような資格を選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。そこで、自分に合う資格をみつけるためのポイントを4つほど紹介していきます。

自分のキャリアと資格の整合性は取れているか

セカンドキャリアを見据えて資格を取得するなら、今までの経験や知識を深堀りしてくれる、関連資格を狙うのが基本です。たとえば、2級建築士の資格をもつ人が、1級建築士の資格を目標にするのは、とても理にかなっていますよね。

ところが、建築関係で働く人がいきなり税理士の資格を目指せば、それはかなりのミスマッチと言わざるを得ません。

たしかに税理士には独占業務がありますし、もし合格すれば、思い切ったキャリアチェンジも可能でしょう。本気で税理士になりたいという熱意があるなら、税理士を狙う価値は十分にあります。

とはいえ、これまでのキャリアを捨て、難関資格に挑むのは正直かなりリスキーです。税理士の場合、合格までには少なくとも3,000時間程度の勉強時間が必要だといわれており、これから4〜5年は勉強漬けの毎日になるでしょう。

そこまでしても合格する保証はまったくないし、3,000時間を建築関係のキャリアアップに向ければ、もっと効率のよいキャリアアップができたかもしれないのです。

資格選びの際には、「自分のやりたいこと」と「キャリアの一貫性」をしっかりと比較して、後悔のないように意思決定をおこなってください。

資格の信頼性は十分か

資格を選ぶ際には、その資格の信頼性をしっかりと確認しておきましょう。資格商法という言葉があるくらい、世の中には資格が溢れています。正直いって、認知度や権威性が期待できない、取得してもほとんど役に立たない資格も多数存在します。

そういった資格を取得しても、転職に役立たないどころか、へたすると変な資格しか取れないレベルの低い人材と評価されてしまいかねません。せっかくの資格取得です、時間やお金をムダにすることのないように、信頼性の高い資格を選んでください。

具体的な選び方としては、まず国家資格が基本になります。今回紹介した資格のうち、「社会保険労務士」「中小企業診断士」「宅地建物取引士」「建築士」は、国家資格です。

では民間資格である「簿記」や「ファイナンシャル・プランニング技能士」は、勉強しても意味がないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。簿記のように、民間資格でも認知度や権威性の高い資格は、たくさんあります。そういった資格は、ほぼ国家資格と同レベルであると考えて間違いないでしょう。

資格の信頼性を確認するためには、資格の種類だけでなく、試験内容や合格率、資格の関連団体についても調べておきたいですね。資格比較サイトや口コミサイトで、過去の受験者の口コミや評価をみておくのも、大いに参考になります。

その資格の市場ニーズは?

資格を選ぶ際には、その資格が転職市場でどのくらい求められているかを、考慮しておく必要があります。なぜなら市場ニーズが低い資格を取得しても、その分野での就職やキャリアアップにはつながらず、使ったお金と時間がムダになってしまうからです。

資格の市場ニーズを探るのは、それほど難しくありません。基本的に狙うべきは、独占業務のある資格、もしくは企業から要望の多い資格です。独占業務というのは、文字通り、その資格がないと従事できない仕事のこと。

医者や弁護士をイメージすると、すぐにピンとくるでしょう。医師免許がなければ患者の診察はできないし、弁護士資格がないと弁護や損害賠償請求はできません。こういった独占業務があると参入障壁に守られて、一般的に高収入が期待できます。

また、企業が欲しがる資格は、転職者ならぜひ最優先に狙うべきです。たとえば「簿記」などは、その典型ですね。簿記1級の資格があれば、経理のエキスパートとして一生食べていけるという人もたくさんいます。

また、「宅地建物取引士」のように、取得すると手当がつく資格も狙い目です。宅地建物取引業者は、事業所に一定数の宅地建物取引士を在籍させなければならないので、多ければ月額3万円程度の手当がもらえます。

上記はあくまでも一例にすぎず、ニーズの高い資格はほかにもまだまだたくさんあります。どういった資格が人気なのか、転職サイトや資格取得サイトなど、いろいろな媒体をチェックしてみてください。

将来的な市場ニーズの変化も考慮しておく

今ニーズが高くても、10年後に変わらずニーズが高いとは限りません。あるいはニーズが高くても資格取得者が多すぎて、飽和状態になることも考えられます。

最近話題のAIは、産業構造を根本から変えてしまう発明といわれており、今後AIが関わるすべての市場ニーズは遠からず激変する可能性が高いです。たとえば、自動運転が普及すれば、タクシーやトラックの運転手は必要なくなるかもしれません。

これは、独占業務のある人気資格も同様です。弁護士ですら、簡単な法律相談や弁護は今後AIがおこなうようになると予測されています。

もちろん、将来のことはわからないし、誰も正確な予測などできないでしょう。しかし「取得する資格が将来どうなっていくのか」そういう市場の変化に対するアンテナだけは、常に張り巡らせておきたいですね。

資格をセカンドキャリアに役立てるには

キャリア採用資格をセカンドキャリアに役立てるにはで企業が求める要件って何?

ここまでキャリア採用に有用な資格について解説してきましたが、資格だけでは役に立たないというのは、もうご理解いただけたと思います。

ではキャリア採用で企業が本当に求めるものとは、一体なんでしょうか。それは間違いなく「資格を活かしたこれまでの経験」です。

資格だけでは不十分!経験こそが重要

当たり前ですが、転職を希望する人は基本的に「いいこと」しかいいません。しかしじつはキャリア採用で企業が知りたい情報のひとつに、「失敗や苦労をした経験」があります。

別に失敗談を聞いて笑いたいわけではありません。「これらの経験をどうやって乗り越えたか」「これらの経験からどう学び、どう活かしてきたか」を知りたいのです。

なぜならば、その人の仕事に対する価値観や姿勢、仕事の進め方などが、これらの体験談を通じてみえてくるから。こういった豊富な経験があって、はじめて資格が活きてきます。転職する前に、できるだけ多くの経験を積んでおきたいですね。

未経験の分野へ進出したいなら

経験が大事とはいえ、まったくの異分野で働きたいというケースもあるでしょう。未経験の分野に進むためには、どうしたらいいのでしょうか。

まずはできる限り早いうちから、進みたい分野の勉強をしておくことです。可能であれば、副業などを通して、できるだけ実務に触れておきましょう。その経験はあとから必ず役に立つはずです。

もうひとつは「ポータブルスキル」を身につけ、さらにどういったポータブルスキルを自分が持っているのかを、的確に把握しておくことだと思います。ポータブルスキルとは、仕事のし方や人との関わり方など、「業種や職種が変わっても通用する能力」のことです。

たしかにポータブルスキルがあれば、未経験の分野でも歓迎されやすいのは間違いないでしょうね。しかしそもそも自分がポータブルスキルを持っていなければ、話になりません。

だからこそ、ほかのコラムで何度もお話しているように、「自分のキャリアの棚卸し」が重要なのです。

しっかりと計画を立てて効率良い資格取得を

仕事が忙しい30代以上のビジネスマンにとって、働きながら資格取得を目指すのは、思っているよりも簡単ではありません。

また資格試験は簿記やTOEICのように、年に複数回実施されているものもありますが、多くの試験は年1回だけです。

一度試験を逃してしまえば、1年間待たなくてはいけないのです。転職へ役立てるために資格取得を目指す方は、試験のスケジュールや合格率、難易度など、よく調べて計画的にチャレンジを!

まとめると、資格は選考の際に有利になるものもありますが、「資格」単独での優位性よりも、「資格プラス実務」となってより差別化できるものです。

かりに「中小企業診断士」を取得しても、いきなり中小企業対象のコンサルティングができるわけではありません。資格というのはその実務に取り組むための、いわば「ハシゴ」的なものであると捉えておけばよいと思います。資格と経験をうまく組み合わせて、ぜひキャリア転職を成功させましょう!