一般的に転職のハードルが高いといわれる40代ですが、本格的な「人生100年時代」の流れを受け、40代以降の転職市場はだいぶ活性化してきています。とはいえ、男性に比べて女性の転職は、まだまだハードルが高いのが現実です。
しかし、諦める必要はまったくありません。女性ならではの成功ポイントを理解したうえで転職活動をすれば、必ず結果は出ます。実際、私どもが運営する学びの場「知命塾」に参加している女性は、次々と転職を決めていますから。
今回の記事では、一般的な女性が転職しにくい理由と、40代女性が転職を成功させるためのポイントを紹介していきます。転職を検討している女性にとって、今回の記事はとても参考になるはずです。
=目次=
40代女性が転職しにくい理由とは
性別を問わず、40代を過ぎれば求人数は大幅に少なくなるのが普通です。しかし冒頭でもお話ししたように、女性の求人減は男性よりも相当厳しい状況になっています。
そんな厳しい状況の中で転職を勝ち取るには、まず転職が厳しい原因を冷静に分析しておかなければなりません。今回は、40代女性が転職しにくい理由を、大きく5つの観点から解説します。
- 40代女性向けの求人が極端に少ない
- 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の課題
- 性自身の「自己肯定感の低さ」と転職への消極性
- 企業から受ける「学習意欲」と「適応力」への偏見
- 最新のデジタルスキルに対するギャップ
それでは、ひとつずつ解説します。
40代女性向けの求人が極端に少ない
40代女性の転職を阻む最大の原因として、そもそも「40代女性向けの求人が極端に少ない」ことが挙げられます。能力面で男女差はなく、むしろ性別よりも個人差のほうが大きいはずなのに、なぜ女性向け求人が少ないのでしょうか。
いくつか理由は考えられますが、以下の3点が大きく影響していると考えられます。
- 根強い男女間格差
- 女性の離職率が高い
- 非正規を選ぶ人が多い
男女同権が叫ばれて久しいですが、男性と女性がまったく同じ条件で働けているかといえば、正直そうとは言えません。実際、政府のデータ(上記参照)をみると、女性正社員の給与額は、男性の約77%にとどまっています(2021年)。男女間の賃金格差は縮小してはいますが、世界と比べると日本はまだまだ格差が大きいのが現状です。
このようなデータをみると、建前はともかく、まだまだ男性が優遇されているのは明らかです。そのため、求人も男性向け案件が多くなるのは容易に想像できます。
少ない案件しかなければ、より過酷な転職競争になるため、当然転職のできない女性が多数出てくるわけです。女性の離職率の高さと非正規については、このあと詳しく解説します。
性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の課題
「女性は仕事よりも家庭の事情を優先する」という根強いイメージが、40代女性の転職を大きく妨げています。
具体的に言うと、多くの企業は、女性が結婚や出産で会社を辞めてしまう可能性を考慮する傾向にあります。40代になれば出産は減るかもしれませんが、今度は親の介護などが現実的になる年代です。
かつての男性社会の中では「それなら、はじめからそういったライフイベントのない男性を雇用しておけばいい」と考える経営者も少なくありませんでした(もちろん、このような考え方は許されるものではありません)。
しかし、現代ではこうした考え方は徐々に変化しつつあります。男女共同参画社会の推進や、男性の育児休業取得促進といった制度導入が進み、性別に関わらず多様な働き方を受け入れる企業が増えてきています。ワークライフバランスを重視する価値観が広がったことで、企業も従業員の家庭事業への理解を深める動きが進んでいるのです。
とはいえ、ライフイベントを終え、いざ仕事に本格的に復帰しようとする際に、正規雇用での再就職が依然として厳しいケースがあるのも事実です。厚生労働省のデータ※によれば、40〜44歳の女性パートタイム労働者の割合は18.2%です。一方、男性のパートタイム労働者の割合は15.6%と、その差は以前に比べて小さくなっています。
このデータから、女性が必ずしも非正規雇用を選択しているわけではないこと、そして、多様な働き方が選択肢として広がっていることが分かるでしょう。正規雇用への門戸が狭いという課題はあるものの、柔軟な働き方を求める女性が増え、企業側もそれに対応しようとする動きがあるのです。
女性自身の「自己肯定感の低さ」と転職への消極性
40代以降の女性の多くは、今よりもっと古い価値観のもとで長い間働いてきた世代です。補助的な仕事を任されることが多く、そのため自分のキャリアに自信がありません。
「自分はあくまでも男性のサポート役で、大したスキルはない」そう思い込んでいるため、転職先企業へ積極的に売り込みができないのです。
しかし、知命塾で多くの働く女性をみてきましたが、みなさん本当に優秀な方ばかり。私からすると、単純に自分のスキルの価値を知らないだけにみえます。
たとえば、営業アシスタントのキャリアが長いある女性に話を聞くと、顧客向け資料の作成や、問い合わせ・クレーム対応の経験が非常に豊富でした。それだけでなく、営業マンの業務効率化のサポートも長年行っていて、中小企業からしたらまさに喉から手が出るほどの人材だったのです。
これはほんの一例に過ぎませんが、こういった「自分と世間の評価のズレ」が、つまり「自己肯定感の低さ」が、40代女性の転職を邪魔しているのは間違いありません。自分の経験やスキルを正しく評価し、自身を持ってアピールすることが、転職成功への第一歩となるでしょう。
企業から受ける「学習意欲」と「適応力」への偏見
40代以降の転職において、企業側が「年齢が高いほど学習意欲や環境適応力が低い」という誤った認識を持っているケースがあります。これは、求職者側の実際の能力とは異なる、根強い偏見と言えるでしょう。
確かに、これまでのキャリアが長ければ長いほど、新しいやり方や環境に馴染むのに時間がかかる方もいるかもしれません。
しかし、長年の経験から培われた問題解決能力や論理的思考力、そして責任感の強さは、若手にはない大きな強みです。むしろ、これらのスキルは新しい知識や環境に適応する上で強力な土台となります。
本来企業側は、年齢だけで判断せず、個人の潜在的な学習意欲や適応力を見極める必要があるのです。
最新のデジタルスキルに対するギャップ
業界や職種によっては、最新のデジタルツールやテクノロジーへの適応力が求められるケースが増えています。
特に長期間同じ企業や職種にいた場合は、新しいデジタルスキルへの習得が追いついていないことで、転職におけるハンディキャップとなることがあるのです。
しかし、オンライン学習プラットフォームや資格取得支援制度を活用することで、必要なデジタルスキルを効率的に身につけられます。
これまでの業務で培った課題解決能力や業務効率化の視点は、新しいデジタルツールを導入し、最大限に活用する上で役立つはずです。積極的にデジタルスキルを習得し、それをアピールすることでギャップを埋め、自身の市場価値を高めましょう。
40代女性が転職を成功させる7つのポイント
ここまで、40代女性の転職が困難である理由を紹介してきました。実際に今転職活動で苦労している人は、絶望的な気持ちになってしまったかもしれません。
でも、安心してください。たしかに、40代女性の転職は簡単ではありませんが、ポイントさえ外さなければ必ず成功します。この章では、40代女性が転職を成功させるために必要なポイントを7点解説していきます。
自分の強みとポテンシャルを正確に把握
前述の営業アシスタントの例にもあるように、自分のスキルを正確に把握していない人は案外多いものです。しかし転職を成功させるには、「いかに自分が役立つか」を転職先企業へしっかりアピールする必要があります。そのためには、転職前に自分のスキルを、きちんと棚卸ししておかなくてはなりません。
「40代向けの求人が少ない」と感じるかもしれませんが、それはあなたの経験やスキルが、企業にとってどのような「価値」があるか十分に伝わっていないだけかもしれません。
これまでのキャリアで培った専門知識、マネジメント経験、課題解決能力などを具体的に洗い出し、どんな状況で、どのように、どんな成果を出してきたかを言語化しましょう。これは、自己肯定感を高める第一歩にもなります。
具体的には、子ども時代にさかのぼって、以下のような項目を思いつくまますべて書き出してみてください。
- 得意なこと
- 苦手なこと
- 好きなこと
- 嫌いなこと
- 仕事などの実績
- 取得した資格やスキル
- これからやりたいこと
- 自分の長所
- 自分の短所
中でも、社会人以降に身につけた知識・スキル・実績は、転職に直結する重要なポイントです。転職先へアピールできる強みやスキルを中心に、じっくりと自分を振り返ってみましょう。
ただし、キャリアの棚卸しを自分ひとりで行うのは、正直かなり大変です。正確な診断のためにも、キャリアの棚卸しは必ず第三者のサポートを受けてください。
冒頭でお話しした知命塾でも、スキルの棚卸しのサポートを行っています。これから棚卸しを計画している人は、ぜひ活用してください。
「成果」と「貢献意欲」を積極的にアピール
転職の成功には、やはり「積極的なアピール」が欠かせません。
スキルと経験が不足していれば不採用は当然ですが、たとえ能力が高くても、必ず採用されるとは限りません。なぜなら、転職先企業では、あなたが自分の会社に合うかどうかを非常に不安視しているからです。
採用担当者の多くは、「40代を超えたベテランは妙にプライドが高く、行動力に欠けるケースが多い」というイメージをもっています。つまり「せっかく雇っても、社風に合わず、結果を出してもらえないと困る」と考えているわけです。
どんなに素晴らしい履歴書と職務経歴書があっても、この不安を打ち消せない限り、転職は厳しいと思ってください。だからこそ、転職者側からの積極的なアピールが必要なのです。
「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」は確かに存在しますが、それを払拭するのは、あなたの具体的な成果と未来への貢献意欲です。面接では、これまでの実績を単に伝えるだけでなく、定量的に示すことを意識しましょう。「〇〇のプロジェクトで、売上を〇〇%向上させた」のように、具体的な数字を交えることで、より明確にあなたの能力が伝わるのです。
さらに、「私は◯◯のスキルを活かして、御社にこういったメリットを与えられます」と、入社後にどのように貢献できるか、どのような価値を提供できるかを明確に伝えましょう。チームワークやコミュニケーション能力、変化への柔軟性なども、具体的なエピソードを交えてアピールすると効果的です。
図々しいと思われない程度に、ぜひ情熱をもってアピールをしていきましょう。
自己肯定感を高めて自信を持つ
転職の成功には、自己肯定感を高めることが不可欠です。なぜなら、特に40代からの転職では、これまでの経験からくる自己肯定感の低さが転職活動のネックとなるからです。
成功体験を具体的に振り返る
これまでの人生における成功体験を具体的に振り返ることで、自分の強みや能力を再認識できます。仕事で達成したこと、困難を乗り越えた経験、人から感謝されたことなどを書き出してみましょう。その際、どのような状況で、どのように行動し、どんな結果が得られたのかを詳細に記述することがポイントです。そうすることで、具体的な根拠に基づいた自信が持てるようになります。
感謝ノートをつける
日々の生活の中で、感謝できることや感謝されたことを記録する「感謝ノート」をつけるのも効果的です。大きな出来事だけでなく、些細なことでも構いません。ポジティブな側面に意識を向けることで、自然と心が満たされ、自己肯定感が高まります。継続することで、日常の中に隠れた幸せや、自身の価値を発見できるようになります。自分の存在価値や周囲とのつながりを再認識できるはずです。
ポジティブ変換する
自分の弱みは、視点を変えれば強みになります。例えば、「優柔不断」は「慎重さ」に、「おせっかい」は「面倒見が良い」に変換できます。ネガティブな要素をポジティブな言葉に言い換える「ポジティブ変換」を習慣にしましょう。自己評価が向上し、自信につながるはずです。自分の短所を客観的に見つめ直し、新たな価値を見出す練習をしてみましょう。
プロのサポートを受ける
自分一人で自己肯定感を高めるのが難しいと感じる場合は、キャリアコンサルタントなどプロのサポートを受けるのが効率的です。客観的な視点からあなたの強みや可能性を引き出し、具体的なアドバイスを提供してくれます。知命塾の「キャリア支援プログラム」では、みなさんが抱えている悩み別に、さまざまな「転職サービス」とサポート体制が整っています。詳しくはサービスページからご確認いただければと思います。
最新のデジタルスキルを習得
現代のビジネス環境では、デジタルツールの活用が不可欠です。特に40代からの転職では、最新のデジタルスキルが不足していることで不利になるケースもあります。しかし、これは努力で克服できる課題であり、少し学ぶだけでも市場価値は大きく高まります。
オンライン学習プラットフォームや専門スクールを活用し、Zoomなどのオンライン会議ツール、クラウドサービスなど、業務で求められるデジタルスキルを積極的に習得しましょう。新しいスキルを習得することで、自身の市場価値を高め、企業のニーズに応えられる人材であることをアピールできます。
「学習意欲」と「適応力」を具体例でアピール
転職成功には、「学習意欲」と「適応力」を具体的なエピソードで示すことがカギです。新しい知識や技術をどのように習得したか、目まぐるしく変化する環境にどのように対応したかを伝え、年齢に関わらず成長できる人材であることをアピールしましょう。
自分に合った企業を選ぶ
40代が転職を成功させるには、待遇を求めすぎず、自分に合った企業を選ぶ選択眼が大事です。そもそも転職をすれば、前職よりも会社の規模は小さくなるのが普通です。それなのに前職と同等以上の報酬を求めれば、おそらく転職そのものが成立しないでしょう。
また、最初から待遇のよすぎる会社は要求も高く、あなたが結果を出しても当たり前としか評価してくれません。
その点中小企業なら、結果を出せば報酬体系の見直しも十分可能性があります。人材確保に苦しむ経営者にすれば、結果を出せる優秀な社員には、報酬を大幅にアップしてでも働き続けて欲しいからです。
そういう意味でいうと、都心から離れた場所にある優良な中小企業は、非常に狙い目だと思います。人材確保に苦しむ地方の中小企業にとって、スキルと経験のある40代は、喉から手が出るほど欲しい人材ですからね。
「多少待遇が劣っても、求められる環境で楽しく働く」
転職先が限られてくる40代の女性にこそ、こういう選択肢を真剣に検討していただきたいと思います。
40代に強い転職エージェントのサポートを受ける
転職エージェントの選び方で、40代の転職は大きく結果が変わってきます。というのも、40代をターゲットにした転職エージェントは、そもそも非常に少ないのです。
年齢差を考慮せずに20〜30代向けの転職エージェントを利用すると、どれだけ応募してもおそらく書類選考で不採用となる可能性が高いでしょう。また、40代向け転職エージェントの中でも、女性のミドルクラス案件を扱っているエージェントは、私の知る限りほとんどありません。40代以降の女性が選べるのは、大企業管理職向け、もしくはパート・アルバイト向けと両極端です。
転職活動においては、他人やプロの視点からフィードバックをもらうことで、自分では気づかなかった強みやポテンシャルを発見できることがあります。これは、自己肯定感の向上にもつながり、自信を持って次のキャリアプランへと足を踏み出す力となるでしょう。
手前味噌になりますが、弊社が運営する「知命塾」では、女性向けの案件も数多く取り扱っています。合わせてキャリアを棚卸しするサポートも行っていますので、転職を真剣に検討している方は、ぜひ一度知命塾に相談してみてください。
40代女性の転職なら社会人材学舎の「職業紹介サービス」がオススメ!
先ほどお話しした知命塾での職業紹介サービスについて、もう少し詳しく紹介しておきます。
まず私どもとしましても、知命塾の塾生であれば「志向性・実力・転職条件」などをよく理解したうえで、しっかりと企業へ売り込みができます。
そのため、採用企業とのミスマッチが起きにくく、転職後のトラブルで再び転職へ追い込まれるような心配がほとんどありません。これは、本当に大きなメリットだと思います。
なお、前述のとおり、40代女性の転職先は中小企業がほとんどです。中小企業は大企業よりも報酬面で劣るものの、実力さえあれば、経営者の右腕として経営に深く関わることだって十分あり得ます。
実際、「中小企業でしっかりと結果を出し、好待遇は自分で勝ち取る」そういう覚悟をもつ女性の塾生が、バシバシ転職を決めています。あなたも、職業紹介サービスを最大限活用して、ぜひご自身の可能性を広げていってください。
まとめ
これだけ女性が活躍する時代になっても、まだまだ女性の転職に対するハードルは高いのが現実です。
しかし、「女性は仕事よりも家庭の事情を優先する人が多いので、転職オファーは出しにくい」こういったマイナスイメージを払拭できれば、40代女性でも転職はまったく問題ありません。
そのためにも、今回紹介した7つのポイントに、ぜひ取り組んでみてください。知命塾に参加し、7つのポイントをしっかりこなした女性は、実際どんどん転職を決めています。
なお社会人材学舎では、40代・50代に向けて、仕事選びのWebセミナーを無料で開催しています。知命塾に参加する前に、まずはWebセミナーで、転職活動について学んでみてはいかがでしょうか。