人生100年時代の到来を見据え、これからのミドルシニア世代には、転職も視野に入れたキャリア構築が不可欠です。そしてミドルシニアが転職を成功させるには、なんといっても自分の強みをいかにアピールできるかが大きなポイントになってきます。
ところが、「あなたの強みはなんですか」と問われて、即答できる人は案外少ないものです。
実際、私が知命塾生に尋ねてみても、
「会社の指示に従って仕事をしてきただけなので、強みといわれても……」
「技術者のような専門職ではないので、とくに強みはありません」
こんな答えが、たくさん返ってきます。
しかしミドルシニアともなれば、「専門スキル」や「マネージメント力」など、なにかしらの強みはもっているはずです。もし現時点で、自分にはなにも強みがないと思っているなら、単純に「強みの見つけかた」がわかっていないだけではないでしょうか。
そこで当記事では、身につけておくべきミドルシニアの強みと、強みの見つけかたについて解説していきます。10分ほどで読める記事ですから、ぜひ最後まで読んで、自分の強みを明確にしてください。
=目次=
思い込みをやめて、客観的に自分のキャリアを振り返る
自分の強みを見つけるには、まず思い込みをやめて、客観点に自分のキャリアを振り返るのが重要です。強みを把握していない人は、とにかく自分を過小評価する傾向にあります。本当は十分に差別化ができているのに、本人はそのことにまったく気づいていません。
なぜそうなってしまうかというと、多くの人が「他人が70点しか取れないときに90点を取れる突出した能力」だけが、強みだと思い込んでいるからです。
ある金融機関で働く塾生に強みを聞いたことがあるのですが、やはりほかの塾生と同じように「自分には強みなどない」といわれました。
そこで具体的にこれまで担当してきた仕事について聞いてみると、「ヨーロッパへの赴任経験」「現地での為替取引経験」「資金調達の担当」など、びっくりするような経歴をお持ちです。
ところが、本人はあくまでも「こんなの今の会社では当たり前だし、とくべつ評価もされていません」といった姿勢のまま。たしかに現職場では当たり前なのかもしれませんが、海外進出を考えているベンチャー企業にしてみれば、喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。
このように、あなたにとっては至極当たり前のことでも、ところ変われば大きな価値をもつことが少なくありません。だから自分を過小評価せずに、「これまでの経験で培ってきた力はなにか」「それが最も活きる場所はどこか」を、冷静に考えることが大事なのです。
ミドルシニアだからこそもてる強みとは
ミドルシニアが転職先で円滑に仕事をしていくには、「専門知識」「仕事のしかた」「人との関わりかた」など、業界問わず通用する能力「ポータブルスキル」が不可欠です。
自分の強みを分析する際には、まずどういった方面のポータブルスキルを自分が身につけているかを確認してください。ポータブルスキルのなかで、「これだけは自信がある」というポイントがひとつでもあれば、あなたの転職はグッと成功に近づくでしょう。
この章では、ポータブルスキルのなかでも、とくにミドルシニアにチェックしてもらいたいポイントを3点紹介していきます。
- 若者にはない豊富な社会経験
- 部下を率いるマネージメント力
- 確かな専門知識
それでは、ひとつずつ解説していきます。
若者にはない豊富な社会経験
豊富な社会経験は、ミドルシニアの大きな財産です。ミドルシニアの転職先は中小企業が多いため、豊富な社会経験をうまくアピールできれば「即戦力」と評価され、転職の確率は大幅にアップします。
社会経験は直接的なポータブルスキルではありませんが、すべてのベースになる重要な資質です。いくら若者が勉強して資格を取得したとしても、実際に経験して得たノウハウに勝るものはありません。(もちろん資格も重要ですが)
また実務においては、業界独自のルールや情報を知らないと、大きな損失を被るケースも多いものです。そういった経験を欲しがる中小企業はたくさんあるということを、ぜひ覚えておいてください。
そういう意味では、まったくの異業種よりも、できるだけ現職の関連分野で転職活動するほうが、やはり転職の可能性は高くなりますね。
部下を率いるマネージメント力
30代後半から40代・50代ともなれば、人数の差こそあれども、部下を率いた経験が少なからずあるはずです。多くの中小企業では、社員をイチから育て上げるしくみが整っていませんから、部下へのマネージメント能力は非常に評価されます。
部下の仕事を適正に判断して、仕事を成功に導く。また部下の仕事への意欲アップをサポートする管理能力は、やはりある程度の経験を積んだ、ミドルシニアならではの強みといえるでしょう。ぜひ積極的にアピールしてください。
ただし、部下に指示を出すだけで自分が動かない人は、どうしても敬遠されがちです。なかでも中小企業の場合、まずは自分が動いて結果を出さないと、ほかの社員からなかなか信頼してもらえません。
ミドルシニアのマネージメント力には、そういったプレイングマネージャー的要素が求められることも、ぜひ頭に入れておいてください。
確かな専門知識
参考:表4 職種、事業所規模、転職者を採用した理由別事業所割合
上表は、厚生労働省がおこなった「平成27年転職者実態調査の概況」の中で、専門的・技術的仕事に就く転職者を雇用した理由についてまとめた調査結果です。
調査によれば、下記の3つが上位の理由を占めています。(複数回答あり)
- 経験を活かし即戦力になるから:64.8%
- 専門知識・能力があるから:55%
- 離職者の補充のため:48.4%
上記データをみれば、社員教育なしでもすぐに専門的な仕事をこなせる 「知識と経験」が、ミドルシニアの大きな武器になるのは明らかです。
長年かけて培った専門知識と経験は、決して当たり前の能力ではありません。前述の銀行員のように、海外勤務で得た語学力だって、立派な専門知識になります。自分を過小評価せず、きちんと自分の専門性を評価してあげてください。
それでも強みが見つからない場合はどうしたらいい
どんなビジネスパーソンでも、まったく強みがないという人はまずいません。本当は優れた能力があるのに、単純に気づいていないだけだと思います。したがって、自分の棚卸しさえきちんとできれば、その過程において必ず自分の強みが見えてくるはずです。
ただそうはいっても、どうしても強みが見つからないという人もいらっしゃるでしょう。この章では、そういった場合の考えかたを、3点ほどお話ししていきます。
- 得意なことに磨きをかける
- 興味のあることに挑戦する
- 企業が求める条件を身につける
ひとつずつ解説します。
得意なことに磨きをかける
どうしても強みがわからないというのであれば、「自分の得意なことを強みにまで育てる」というのも、悪くない考えかたです。もちろん、得意なことといっても、必ずしも仕事に関するものである必要はありません。
たとえば、今あなたがオンラインゲームにハマっているとしましょう。ゲームの腕前自体は転職の強みにならなくとも、「ゲーム情報を調べるリサーチ能力」などは、大きな強みになるかもしれません。
もし自分でリサーチが得意だと思えば、その能力を応用して、今度は仕事に関する情報を人よりも速くリサーチできるように意識してみてください。さらに英語や中国語など、語学に堪能であれば、新しい海外の情報をどんどんリサーチしてみればいいのです。
こうやって「卓越したリサーチ能力」を育てていけば、やがて海外に拠点をもつ企業に対して、大きく強みをアピールできるようになるでしょう。
このように、一見仕事と関係ないことでも、深堀りをして仕事上の強みにしていくことは、十分に可能です。ないものを嘆くのではなく、自分のなかにあるものを大事に育てていく。こう考えれば、さらに転職にも前向きに向き合えると思いますよ。
興味のあることに挑戦する
さきほど「強みがなければ得意なことを磨きましょう」というお話しをしました。しかしなかには、「強みどころか得意なことすらなにもないよ」という人も、いらっしゃるかもしれませんね。
でもこれまでの人生を、もう一度じっくりと振り返ってみてください。あなたがほかの誰かよりもうまくできたことが、なにかしらあるはずです。
それでも見つからないのであれば、急いで転職をする前に、もう少しじっくりと自分の強みを磨いたほうがいいかもしれません。
でも、決して焦らなくても大丈夫です。まずは少しでも興味のあることに、取り組んでみましょう。
とはいえ、仕事とまったく関係のない分野へ夢中になっても、転職という面からみれば正直効率はよくありません。普段おこなっている業務関連で、少しでも自分に向いていると思えるものから、優先的に取り組んでください。
企業が求める条件を身につける
前述のとおり、「得意なことに磨きをかける」「興味のあることに挑戦する」だけでは、転職に対する有効な強みにはならないケースも考えられます。
せっかくこれから強みをつくっていくのであれば、やはり「企業が求める条件を身につける」という意識は欠かせません。
では、具体的に転職先企業がどういった人材を求めているかですが、これは最初の章でお話ししたとおりです。
- 若者にはない豊富な社会経験
- 部下を率いるマネージメント力
- 確かな専門知識
なかでも、これから新たに身につけやすいのは、専門知識でしょう。今自信をもって専門知識があるといえない人でも、業界で働く最低限の知識とノウハウをもっているはずです。そういう知識をさらに深めていくには、資格取得なども有効な方法だと思います。
ミドルシニアでも転職を成功させるコツとは
ミドルシニアの強みについて理解を深めていただいたところで、今度はミドルシニアが転職を成功させるコツについて、解説していきます。この章でお話しするのは、以下の3点です。
- ミドルシニアの強みが活かせる会社を選ぶ
- 条件を下げてもまずは入社を優先
- ミドルシニアに特化した転職エージェントのサポートを受ける
ミドルシニアの強みが活かせる会社を選ぶ
ミドルシニアが転職を成功させるには、なんといっても「ミドルシニアの強みが活かせる会社を選ぶ」これに尽きます。
間違っても、転職情報誌によく載っている「夢に向かってともに成長できる企業」とか「経験よりもやる気を評価」といった案件には手を出さないことです。
こういった企業は、完璧にターゲットを20代〜30代前半に設定しています。20〜30代を求めている市場でミドルシニアが戦っても、勝てるわけがありません。
そういう意味では、やはり中小企業やベンチャー企業が狙い目でしょう。中小企業やベンチャー企業の場合、素晴らしい理念や技術があっても、まだまだ企業としての形ができあがっていません。
だから、営業・会社運営・人材マネージメントなどのスキルをもつミドルシニアなら、即戦力として歓迎される可能性が高いのです。
条件を下げてもまずは入社を優先
できるだけ短期間で転職を決めたいなら、条件を下げてもまずは入社を優先する覚悟が必要です。
ミドルシニアの転職先は、中小企業が90%以上を占めています。現在ある程度大きい規模の会社で働いているなら、報酬や福利厚生などの待遇が悪くなるのは当たり前です。したがって、ここを乗り越えられるかどうかで、ミドルシニアの転職が決まるといっても過言ではありません。
もちろん、最低限の生活を維持する必要はありますので、あまりにも条件が合わないようならムリして転職するべきではないでしょう。
しかし中小企業での勤務には、結果を出せば、報酬や待遇に反映してもらいやすいというメリットがあります。もし経営者に認めてもらえれば、経営者の右腕として手腕を振るうことだって夢ではありません。
ということで、あまり条件にはこだわり過ぎず、「好条件は入社後に自分で勝ち取るくらい」の意気込みで、転職に向きあっていただきたいと思います。
ミドルシニアに特化した転職エージェントのサポートを受ける
ミドルシニアの転職で決して外してほしくないのが、ミドルシニアに特化した転職エージェントのサポートです。
前述のとおり転職市場では、20〜30代がメインターゲットになっています。年齢層のマッチングを考えずに一般的な転職エージェントを選んでしまうと、正直転職は相当厳しいでしょう。おそらく書類選考で落とされまくり、面接にすら進めないはずです。
ただしミドルシニア向け転職エージェントの多くは、ハイクラスかアルバイト・パートのように、利用者層が両極端にわかれています。弊社のように、優良な中小企業と太いパイプのあるエージェントは数少ないのが現実です。
転職エージェントを選ぶ際には、どういったサポートが受けられるか、きちんとリサーチしてからにしましょう。
「知命塾」でミドルシニアの強みを明確にしよう!
ここまで「強み」についてお話してきましたが、独力で強みを明確にするのは、なかなかむずかしいものです。また自分が思う自分と他人から見るあなたには、大きなギャップがあることも少なくありません。
そういったデメリットをすべて解消できるのが、私たち社会人材学舎がおこなう、個人向けキャリア研修「知命塾」です。
知命塾に参加するメリット
知命塾に参加する2大メリットを簡単にご紹介しておきます。
今まで積み上げたキャリアの棚卸し
前述のとおり、独力で自分のキャリアを振り返るのは、あなたが想像する以上にむずかしいものです。自分のイヤな面や失敗については誰だって向き合いたくないし、どうしても自分に対して甘い評価になってしまいますので。
その点知命塾なら、キャリア構築の専門家とほかの参加者から、客観的なフィードバックがもらえます。転職でもあなたを評価するのはあなた以外の第三者ですので、「他人から見える自分」をきちんと知っておくのは、本当に重要です。
なお知命塾では、人生100年時代に向けて、参加者に85歳までのキャリアプランをつくってもらっています。長期のキャリアプランには、転職が不可欠です。その転職を成功させるためにも、精度の高いキャリアの棚卸しをおこない、あなたの市場価値を明確にする。
それが、知命塾の大切な役割です。
第三者と一緒に強みを探す
知命塾では、自分だけでなく第三者と一緒に「あなたの強み」を探していきます。せっかく知命塾に参加しても、ひとりでキャリアプランをつくるのでは、あまり意味がありません。
具体的には、ただ講義を聞くだけでなく、ほかの参加者と一緒に「実践ワークショップ」をたっぷりおこなってもらいます。この実践ワークショップがあるからこそ、他者から見た 「客観的なあなたの価値」 が、明確になるわけです。
そのほかにも、知命塾OBネットワークで自分のやりたいことを試せる「知命塾チャレンジフィールド」や、キャリア開発のプロにしっかりとキャリア分析をしてもらえる「知命塾キャリア相談」なども利用できます。
しつこいようですが、独力だけで本当の強みを見つけるのは困難です。知命塾では、自分ひとりではなく、第三者と一緒にあなたの強みを探していきます。
1日も早く自分の強みを見つけて、転職を成功させましょう。
無料の知命塾説明会
知命塾に参加してみたいけど、まずはもう少し情報がほしいというのなら、無料の「知命塾説明会」がオススメです。
【個別相談方式】
キャリアに関するお悩みのご相談を受けつつ、知命塾をご自身のキャリアにどう活用していくのかをお話しします。また実際に使う教材をご覧いただき、講義がどのように進められていくのかもお伝えいたします。
なお、相談会は講師とマンツーマン方式です。他人がいる環境では話しにくい質問なども、安心してご相談ください。(所要時間:60分)
【参加方法】
以下からご都合のよい方法をお選びいただけます。
- Skypeによるオンライン方式
- ご来社にて(講師がマスク等着用にて対応いたします)
お気軽にご相談ください。
まとめ
ミドルシニアにとって、「強みの把握」は、転職の成否を決める重要なポイントです。なんといっても転職先企業は、ミドルシニアに「専門知識」や「マネージメント力」などの、強みを求めていますので。
今回の記事では、ミドルシニアに必要な強みや、強みの見つけ方をご紹介してきました。あわせて、強みを見つけたあとに、転職の確率をアップする考え方もご紹介しましたね。
ここまで理解できれば、あとは実際に「あなたの強み」を探していくだけです。第三者のサポートが受けられる知命塾を活用して、ぜひあなただけの強みを発見してください。