【イベント実施報告】アルムナイ限定実務家講演会(第1回)

御礼

去る2020年5月27日、アルムナイ向けに実務家講演会(第1回)を実施しました。

当イベントは知命塾の塾生・修了生(アルムナイ)限定のイベントとして実施し、“ステイホーム”の最中ということもあり、WEBからたくさんの方にご参加いただきました。
ご参加いただきました皆様には改めて御礼申し上げるとともに、今後も第2回・第3回と引き続き開催してまいりますので、是非次の機会もご参加いただければと存じます。


講演の様子など

実務家講演会(第1回)はサブタイトルを『~活躍の範囲を広げるための実践的知識が身につくシリーズ~』と題し、フリーバンクキャピタル株式会社 代表取締役社長 川分陽二氏にご登壇いただきました。

川分氏は長らくベンチャーキャピタリストとして、ベンチャー企業の成長支援に携わってこられました。これまで約330社に投資し、30社を上場に導いています。
投資のプロとして、現場に立ち会ったからこそ話せる生の情報盛りだくさんの講演に、会場は(ネットワークを介して)大いに熱気に包まれました。今回のコラムではその一部を抜粋してお伝えいたします。

講演内容「中小企業・ベンチャー企業経営の現場」

資金調達

資金調達の方法

1.資本金:
資本金は返さなくてよいため、リスクマネーとして使える。
まずは自分で金をためる。親や兄弟、知人に金を出してもらう。知人の知人が出してくれることも多い。
2.借入:
会社として借りる方法と、社長が借入をし、会社に貸付あるいは資本金として入れるパターンがある。現実的には、創業時の借入は望ましくない。
3.社債:
借入とは異なる。借入が難しい場合、社債として第三者から集める。基本的には手段や額に制限はない。金利等自由に設定する。担保はなし。個人の保証もつけない方が良い。
このようにして、個人の信用でお金を集めるのは比較的可能なことである。

必要資金をいくらに設定するか

経費にどれだけ使うかを基準に立てる。資本金は、通常は2年間分あればよいと言われているが、現実的には売上は後に立ち経費が先に出ていくため、それでは足りない。実際には2倍の時間がかかり、売上は半分というのが普通。
社長には、普通預金の残高、資本金がだんだん減っていく恐怖感がある。
いずれにせよ、資金調達は努力と熱意で何とかなる場合が多い。

人の採用

人の採用が会社の成長を大きく左右するため非常に重要である。
創業時は知人に声をかけるのが一般的で、赤の他人を採用することはあまりない。
成長につれ募集の必要が生じるが、募集の手段は主に2つある。

1.知人及び知人の知人
2.求人媒体

社長としては、信頼できる人を取りやすく、コストを抑えたいため、リファラル採用が望ましい。しかしリファラルには限界があり、最終的には人材専門会社といったプロに任せるのが良い。投資において最も割に合うのは人への投資である。会社は人がすべてなのでお金をかけるべきである。

中小企業・ベンチャー企業の経営

中小企業・ベンチャー企業で大切なのは、社員が社長の考え、やりたいことに賛同してくれるかどうかである。採用するときはもちろん、事件が発生した際に社長の考えへの共感の重要さが増してくる。社長が自分のことばかり考えていてはうまくいかない。大半の社長は世のため人のためという考え方を持っている。
社長の考えを共有するためには、会社の理念、方向性について話し合う場を設けたい。会議室でのフォーマルな話し合いより、飲食を媒介にしたフランクな会話が望ましい。成長企業にとって分裂の危機は避けられないものであるが、内部分裂を軽度に抑えるためには考えの共有が重要で、ガス抜きに全体での食事、会議、旅行、勉強会は有効である。

売上計画

当初の売上計画が達成されることはまれであるが、その中で計画に近づくためには、

1.顧客を明確にする
2.具体的に考える

というポイントがある。売上計画が達成できない社長の特徴は、「できることは何でもやる」というもの。ベンチャー企業は特に、対象を絞り込むべきである。
抽象的でなく、具体的に考えることは最も重要。顧客が誰で、収益の源泉はどこかというイメージ、顧客が商品を使っているイメージが明確に湧いていなければならない。
VCの場合、顧客は投資先企業、収益の源泉は投資先企業の売上が上がることであり、そのイメージがあって初めて投資先企業を育てるという目標が立つ。一言で言えば、売上の積み上げが大事である。

上場

上場とは:
つぶれない会社としての仕組みが成り立っており、営業と監査のシステムができているということ。上場は事業承継の大きなポイントである。上場していない会社はいつかは畳むことになる。

上場の目的:
目的が事業承継絡みとなることが多い。上場会社は永続性が高まっているといえる。
一般的な目的は、資金調達や人の採用を有利にすること。ただし、上場により情報の透明性が高まることで、かえって資金調達がしにくくなる(融資しづらくなる)場合もある。
上場により最も有利になるのは情報収集である。メディアが情報を勝手に発信してくれたり、入ってくる情報が増えたりする。

会社の方向性

会社の方向性・会社としての考え方は、社長の人生観に大きくかかわっている。特に会社が軌道に乗ってきたときに、社長の人生観が会社の方向性を大きく左右する。
多くの社長は生きがいとして、世のため人のためということを考えざるを得ない。危機が起こった際に、自分だけではなく、世のため人のために行動すればうまくいくことが多い。


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