会社員として働いていると、上司と部下、同期といった社内の関係に、どうしても気を取られがちです。
たしかに社内の人脈は、円滑に仕事を進めるうえで、非常に重要な要素といえるでしょう。しかし、定年を迎えても働く必要がある今の会社員は、もっと社外人脈の構築に目を向けるべきです。
今回の記事では、ミドル・シニアにとって社外人脈が大事な理由と、社外人脈を構築するポイントを解説していきます。
=目次=
社内人脈より社外人脈が大事な理由とは
会社員として長期間働いていると、いくら社外人脈が重要だといわれても、そう簡単には切り替えができないものです。そこでこの章では、どうしてミドル・シニアが社外人脈を構築していくべきなのか、その理由をしっかりと解説していきます。
今回、お話ししていくのは、以下の3点です。
- 会社を辞めたら、社内人脈は役に立たない
- 転職や独立の際、力になってくれるのは社外の人脈
- ただし、社内人脈も決しておろそかにしてはいけない
これから、迷いなく社外人脈の構築を進めていけるように、しっかりと理由を押さえてしまいましょう。
会社を辞めたら、社内人脈は役に立たない
ミドル・シニア層にとって社内人脈よりも社外人脈が大事なのは、現職を離れたら、社内人脈は正直あまり役に立たないからです。
こういう言い方をすると、なにやら損得だけで人間関係を見ているようですが、決してそうではありません。社内人脈・社外人脈はどちらも重要であり、単純にそれぞれ役割が違うということです。
冒頭でも触れたように、徐々に定年が迫りつつあるミドル・シニアは、転職や起業を視野に入れて動かなければなりません。そのときにあなたを助けてくれるのは、社内の人脈ではなく、おそらく会社の外にある人脈でしょう。
少々シビアな話にはなりますが、「社内人脈はあくまでも会社内だけで通用する人脈」と考えておくべきです。
転職や独立の際、力になってくれるのは社外の人脈
前述のとおり、転職や独立の際に力を貸してくれるのは、間違いなく社外の人脈です。
繰り返しますが、会社に所属している間は、もちろん社内人脈も有益です。しかし、一旦その会社を退職すれば、ごく一部の例外を除き、社内の人脈はほとんど役に立ちません。
それでは、会社員時代の取引先はどうでしょうか。
長い間会社員として働いていれば、懇意にしている取引先の担当者が、ひとりやふたりいるはずです。時々個人的に飲みにいくような親しい関係ともなれば、あなたが会社を離れてもきっと力を貸してくれるはずだ、と考えてしまうのは当然かもしれません。
しかし残念ながら、取引先の知り合いは、「その会社に所属しているから成立していた関係」というケースがほとんどです。
あなたが退職すれば、取引先はなによりも、あなたの後任者との関係づくりを優先するでしょう。そういうわけで、取引先を含む会社関係の人脈は、退職すればゼロになると、シビアに考えておいたほうが無難です。
ただし、社内人脈も決しておろそかにしてはいけない
ここまで、何度も社外人脈の重要性を話してきました。しかし、だからといって、社内人脈をおろそかにしてはいけません。
理由は3つ。
- 幅広い社内人脈により、円滑に仕事が進む
- 会社を離れても、必要なときには優先的に声をかけてもらえる可能性がある
- 退社後に、悪評を流されたり、業務の邪魔をされたりするリスクを減らせる
困っている同僚を親身にサポートし、部下に対しても奢らずに接していれば、いざ会社を離れたとしてもきっと良好な人間関係をキープできるはずです。
そうすれば、社外に発注する案件が出た場合、真っ先にあなたへ声をかけてくれるでしょう。もしかすると、手が回らない取引先の案件なども、紹介してもらえるかもしれません。
また真摯に社内の人間と向き合えば、生涯おつきあいできるような、信頼できる友人ができる可能性だってあります。社外人脈だけでなく、ぜひ社内の人間関係構築も忘れないでください。
幅広い社外人脈を築く4つのポイント
社外人脈の重要性は理解できても、なかなか良好な社外人脈をつくれずに、お悩みのかたも多いはずです。そこでこの章では、幅広い社外人脈を築くポイントを4点紹介していきます。
- まずは、同業者の集まりで認知度をあげる
- 趣味や地域の集まりなど、仕事以外のつながりを大事にする
- Takeばかりは嫌われる。Give(与える)できる人になろう
- 自分ができることを的確にアピール
4つともすべて重要なポイントばかりです。ひとつずつじっくりと、身につけていきましょう。
1.まずは、同業者の集まりで認知度をあげる
社外人脈を広げるなら、まずは自分のことを、できるだけたくさんの人に知ってもらう必要があります。そのためには、まず同業者の集まりへ、積極的に参加してみてください。
社外人脈というと、異業種交流会をイメージする人が多いと思います。しかし、異業種交流会に参加しても、ただ名刺を交換しただけで終わってしまうケースがじつに多いです。
考えてみれば、異業種交流会に参加するのは、みな「仕事がほしい・取引先になりそうな人を見つけたい」人ばかり。そう考えると、よほどタイミングよく条件が揃わない限り、参加者と信頼関係を築くのはむずかしいといえます。
その点、同業者が集まる会合や勉強会なら、お互いに協力しあえる関係へ発展しやすいです。また、積極的に会合の運営業務に関われば、自然と外部の人脈も増えていくでしょう。
このように、まずは同業者の集まりで実績と知名度をあげていくのが、社外人脈を広げるもっとも確実な方法だと思います。
2.趣味や地域の集まりなど、仕事以外のつながりを大事にする
幅広い人脈をもっている人は、趣味や地域の集まりなど、日頃から仕事以外のつながりを大切にしているものです。もちろん、そもそも仕事とは関係ない集まりなので、ここでの人間関係が直接仕事に役立つケースは少ないでしょう。
でも、それでいいのです。たとえ仕事には結びつかなくても、楽しく過ごせる仲間がひとりでも見つかれば、こういった会合に参加した意義は十分にあります。
また、自分の仕事をさりげなく伝えておけば、もしかすると、なにか相談を受けるかもしれません。あるいは雑談中にでも、転職を希望している旨を話しておけば、仕事関連の知り合いや転職先を紹介してもらえる可能性だってあります。
とはいえ、あまり露骨に自分のことばかりアピールすれば、相手に嫌われてしまいます。余計なことは考えず、まずはそういった集まりを楽しんでください。
3.Takeばかりは嫌われる。Give(与える)できる人になろう
社内外問わず、常に「Take(相手から奪う)」ばかり考えている人は、本当に嫌われます。私が積極的に異業種交流会を勧めないのも、参加者の多くがTakeばかり考えているからです。
もし、新しく知り合ったばかりの人が、営業臭をぷんぷんと匂わせていたら、決して仲良くなろうとは思わないでしょう。自分に置き換えてみたら、すぐにわかることです。
ところが実際には、多くの人が大なり小なり売り込みをしてしまいます。もし、末永くつきあえる社外人脈がほしいなら、まずは「Give(与える)」できる人になりましょう。
Giveしてくれる人に対して、人はなんらかのお返しをしようとする習性をもっています。
デパ地下の試食販売などは、まさにこの習性を活用した販売手法です。無料で試食を提供していると、相手に「タダで食べさせてもらったし、ひとつくらいは買っておくか」という心理が芽生えます。
社外人脈の構築にも、ぜひこの習性を活用してみてください。時間はかかるかもしれませんが、Giveの気持ちをもち続ける限り、きっとあなたを信頼してくれる人が見つかるでしょう。
4.自分ができることを的確にアピール
前述のとおり、相手になにかをGiveするためには、「自分はなにができるのか」を明確にしておく必要があります。そのためには、まず自分のキャリアを棚卸ししましょう。
本来、こういった自己分析をおこなう際には、子どものころから現在までを通して振り返ります。しかし今回の目的は、あくまでも「自分ができることの確認」です。
社会人になってからの、自分の業績・スキル・得意なこと・苦手なことなどを、じっくりと棚卸ししてみてください。
ただし、自分ひとりで自己分析をおこなうのは、案外むずかしいものです。より正確な自己分析をしたいのなら、まずは自己分析の正しい方法を学ぶところからスタートしましょう。
自己分析の正しいやりかたに興味のあるかたは、ぜひ私どもが開催する無料Webワークショップで確認してください。
まとめ
年齢を問わず、社会人にとって、社内・社外どちらの人脈もなくてはならない重要なものです。
しかしこれから転職や起業によって、定年後の新しい仕事人生を開拓する必要のあるミドル・シニアは、なによりも社外人脈の構築に力を注いでいかなければなりません。
社外人脈の必要性をしっかりと理解したうえで、ぜひ今回紹介した「社外人脈を構築するポイント」をしっかりと実践してみてください。