[中村氏より]
エグゼクティブ領域の紹介事業に携わるようになり15年目。
最初の9年間は縄文アソシエイツ、ハイドリック&ストラグルズと純粋なヘッドハンター。
そして今はリクルートグループにいますので、リテーナー以外にも、成功報酬型でのサービスも提供できる状況で6年目。
この連載は、そんな私が日々残している、クライアント企業や、キャンディデートの方々との面談メモをベースに、企業名、個人名が特定できないよう配慮しつつ、記述させて頂いております。
第24回「潔さとは」
日本を代表するある消費財の元社長が、社外取締役の候補者として、ある会社の社長の質問に答える、そのやり取りから。
「社長を退任されて即顧問ですか?」
「ええ、社長拝命した時に自分がやるべきことは〇年で方が着くと思っていたので、そう決めて精いっぱい仕事して、自分なりに成果も確認出来ましたから。
それに会長とか相談役とかいると、新しい社長は仕事し難いじゃないですか。だから呼ばれない限り、会社にもいきません。
とは言え、顧問として報酬は頂いているので、そこはスッキリしてないですね(笑)。ま、税金の問題とかありますから。」
「強みとか、弱み、もしくは長所短所みたいなことを伺っていいですか?」
「元気なのが最大の取り柄ですね(笑)。それと部下は皆よく話が分かりやすいと言ってくれていましたね。当然ですよね、自分でそう心がけていましたから。
一方で社長業やっているときでも、忙しくなるとついついドタバタしてしまうのは、わかっていても最後まで直らなかったですね。」
「意地悪な質問ですが、嫌いなタイプの人について教えて下さい」
「わかりにくい人、ハッキリしない人、そして徒党を組みたがる人、上からモノを見る人、上からモノを言う人、全部ダメですね。上から、と言うのは私に対してだけではないですよ。
何故、そんな態度なのだろうと世の中、不思議な人が多いですよね。産業界に限らず、どこの世界でも本物の一流は、謙虚ですし、そうじゃない人は一流ではないと、私は教わり教えてきましたから。」
「独立役員、社外取締役として何を期待していいでしょうか?」
「そもそも自分が育った会社でもなく、加えて執行にも関わらないとなると、明らかに情報量が違います。その前提で、それでも制度化までして入れようとするのには理由があるはずです。
少なくとも、今明確なのは、企業価値向上と言うのが最も優先すべきということなので、その点だけは迎え入れる方も、受け入れてもらう方も軸をブラさず、執行側から見れば極めて客観的な、しかし自分としては自分の経験や価値判断に基づいて明確に主観的な意見を言う、それを心がけようと考えていますが、それで期待に添えますでしょうか」
潔い、それは肩に力が入っていない自然体と言うこと、かな。
(株)リクルートエグゼクティブエージェント シニアディレクター
1984年野村證券入社、中堅企業営業及び社員研修の企画運営に従事。その後外資系生保会社へ転じ、組織拡大と生産性向上に尽力。退職時は同社最大の直販部隊のヘッド。
2001年以降、日系大手サーチファームである縄文アソシエイツ、2008年、外資ビッグ5の一角であるハイドリック&ストラグルズ、2010年5月よりリクルートエグゼクティブエージェントと、一貫してエグゼクティブサーチ業界。小売・サービス、消費財を中心に、業種的にも、また企業ステージとしても日本を代表する著名大企業から、オーナー系中堅成長企業、未公開新興企業等々、広範囲に対応。