[中村氏より]
エグゼクティブ領域の紹介事業に携わるようになり15年目。
最初の9年間は縄文アソシエイツ、ハイドリック&ストラグルズと純粋なヘッドハンター。
そして今はリクルートグループにいますので、リテーナー以外にも、成功報酬型でのサービスも提供できる状況で6年目。
この連載は、そんな私が日々残している、クライアント企業や、キャンディデートの方々との面談メモをベースに、企業名、個人名が特定できないよう配慮しつつ、記述させて頂いております。
第26回「辛辣な言葉」
仕事柄、日々、人と会って話をし、そして伺い続けているわけだけれど、シチュエーションとしてはオープンスペースでの喫茶や会食もあるが、多くの場合、密室で、相手の方と二人きりでの会話となる。それ故に聞ける辛辣な言葉も数多くある。
辛辣故に耳障りは良くないかもしれないが、その中でも、考えさせられた言葉をいくつか。
大手製造業経営幹部;
「ちなみに今のウチの経営陣は成長が大切、何年には売上何兆にすると言っているが、結局買収しかない。ある人に“オタクの経営は、本気で戦っているように見えない”とまで言われた。“まるで戦争ごっこだ”と。
けど何も反論できなかったのも事実。経営コンサル上がりの書いたプランを机上で叩いて時間を浪費している。けど最前線では多くの中堅若手が局地戦に疲れ、破れ、そして会社を去り、去ろうとしている。」
専門機器メーカー経営幹部;
「会社は絶好調だけれど、中長期の視点では、現CFOの存在が会社の成長阻害要因になる。
社長も了解と言うか、なかには社長自ら強力に推進すべく旗を振った新規事業や海外の新規エリアに関して、社長不在の会議でCFOが、ボトムの利益には影響が出ないようにと言う詰め方をする為に、積極的な投資、事業展開が出来ない状況になっている。
それでその翌週とか翌月の同様の会議で、社長がどうなっているんだと状況確認しても、現場はCFOとの間に挟まれて、何とももどかしい説明を続けるような状況が続いている。
社長は凄いし、カリスマ性もあるが、ここ数年、あまりにもCFOが権力を持ち過ぎてきて、現状においては事業マネジメントがマイクロマネジメントの色彩が濃くなってきており、逆にそういう報告等が得意な人間が評価され、ビジネスの最前線でお金を稼ぐ人たちがそういう企画管理系の人達と比較すると冷遇とまでは言わないが、どう見ても面白くない状況に追いやられている。
研究開発の人とかには良い会社だろうけれど、営業系事業系には正直居心地の悪い会社になっており、もっともっとその領域の人は出ていってしまうと思う。」
大手ネット系経営企画責任者;
「現在の会社の役員陣は、我慢比べで残った人。そういう意味では頑張ってこられた方なので高い給料を取るのはいいと思うが、権限はもう手を離された方が会社の為になると思う。ネットとかWebとか、そこで何が起きているか、それがどう自社の事業に影響するかわかっていないまま、必死で何かをされようとしている姿はある意味痛々しくもある。」
元大手消費財メーカー経営幹部;
「そもそも先々代のAさんがBさんを選んだところから始まっていると言うか、Aさんは最初は凄く良い経営者だったのに後半、正直???になって自分の子飼いみたいなのは社長にしないと言っていたのにBさんを選んじゃって。今考えても対抗だったCさんがなるべきだったと思う。
Bさんは頭は異常に良いけれど、今のあの会社で社長やる人ではない。業界の状況、その中での立ち位置考えたら、俗に言う“良い人”が神輿として担がれていたらそれでなんとかなる時代じゃない。
もっとも、まだBさんはそういう意味では害は無かったけれど、今のDさんは全ては自分の為にの人だから性質が悪い。いつも疑心暗鬼で、少しでも意にそぐわなかったり、気に入らないと切りたがるし、中間管理職の頃は自分の立場を守るためには平気で部下を売るような人だったから、今残っている人は本当に大変だと思う。」
普段はネガティブなことを言わない人達の言葉だからこそ、その想いは深い。
(株)リクルートエグゼクティブエージェント シニアディレクター
1984年野村證券入社、中堅企業営業及び社員研修の企画運営に従事。その後外資系生保会社へ転じ、組織拡大と生産性向上に尽力。退職時は同社最大の直販部隊のヘッド。
2001年以降、日系大手サーチファームである縄文アソシエイツ、2008年、外資ビッグ5の一角であるハイドリック&ストラグルズ、2010年5月よりリクルートエグゼクティブエージェントと、一貫してエグゼクティブサーチ業界。小売・サービス、消費財を中心に、業種的にも、また企業ステージとしても日本を代表する著名大企業から、オーナー系中堅成長企業、未公開新興企業等々、広範囲に対応。