第20回「力溢れる言葉」-中村一正氏の連載コラム「キャリアを考える」

リクルートエグゼクティブエージェント 中村一正氏の連載コラム「キャリアを考える」

[中村氏より]
エグゼクティブ領域の紹介事業に携わるようになり15年目。
最初の9年間は縄文アソシエイツ、ハイドリック&ストラグルズと純粋なヘッドハンター。
そして今はリクルートグループにいますので、リテーナー以外にも、成功報酬型でのサービスも提供できる状況で6年目。
この連載は、そんな私が日々残している、クライアント企業や、キャンディデートの方々との面談メモをベースに、企業名、個人名が特定できないよう配慮しつつ、記述させて頂いております。

第20回「力溢れる言葉」

弊社がサポートしたあるセミナーでの、著名経営者の言葉。示唆に富む数々の珠玉の言葉の中から一部抜粋してお届けします。

「5歳の時に中国で終戦を迎えた。その時に負けるとはどういうことか、そして絶対に負けてはいけないと言うことを学んだ。そこが自分の原点。

会社に入っても上司といつも喧嘩して、そして勝ち続けてきた。しかしそれは喧嘩が、強かった、力があったのではなく、正しかったから。会社の為に、と言うスタンスは絶対に譲らなかった。

けど、力、それも腕力では無い、仕事をする力、実力は絶対に大切。」

「私の経歴は、ずっと営業をしてきたわけです。(他部門も経験されているのですが)」

「私の見た目は個性的だけれど、考え方は個性的では無く、普遍的。正しいものは正しいと言うことを突き詰める。」

「勝負は勝たなければいけない。50:50の確率で進むのは博打でしかない。確率が60になればやる。いや、50:50でもやるか。そこは勘。その勘を磨くことも大切。」

「プライオリティをつける。それも時々刻々。そして決めたことはやり切らなければいけない。ここが一番今の日本にはかけている。」

「本質的なことは何かをずっと考え続けてきた。」

「どうやったら成功できるかと聞く人がいるけれど、そう言うことじゃないんだ。その時その時必死に仕事をしてきた積み重ねが、いざと言う時の判断の元になり、覚悟を決める。左脳では無く、右脳も含め、それも頭だけでは無く、心も体も全て使った必死の経験の積み重ねこそが大切。」

「良質な情報があるわけでは無い、情報に対して自分がどう反応し、何を学ぶか。情報を構造化し、断片的にではなく横につながりを持ってみて、時系列で起承転結を考えることを習慣づける。
多くの情報は予想されたものでしかないが、構造化が出来ていると、自分が想定して無い経過、結果になった情報は必ず引っかかる。その時に、“何故”をまたそこで考える習慣をつける。」

「答えの決まっている問題ばかり解いて、大学行って、会社に入っても、ビジネスはあらかじめ決まった答えなんかない。ロクな勉強じゃないんだからそう言うのは。もっと遊ぶとかスポーツするとか、答えが無い、見えない世界で時間を使うべき。(ちなみにこの方、東大卒です。)」

リアルな肉声の迫力はお伝えできないけれど、この方のお話を伺った後、新聞の読み方、情報の集め方や仕事の進め方を、少し変えようとしている自分に気づいています。もう53歳なのですが。


中村一正

(株)リクルートエグゼクティブエージェント シニアディレクター
1984年野村證券入社、中堅企業営業及び社員研修の企画運営に従事。その後外資系生保会社へ転じ、組織拡大と生産性向上に尽力。退職時は同社最大の直販部隊のヘッド。
2001年以降、日系大手サーチファームである縄文アソシエイツ、2008年、外資ビッグ5の一角であるハイドリック&ストラグルズ、2010年5月よりリクルートエグゼクティブエージェントと、一貫してエグゼクティブサーチ業界。小売・サービス、消費財を中心に、業種的にも、また企業ステージとしても日本を代表する著名大企業から、オーナー系中堅成長企業、未公開新興企業等々、広範囲に対応。