第22回「色褪せない言葉」-中村一正氏の連載コラム「キャリアを考える」

リクルートエグゼクティブエージェント 中村一正氏の連載コラム「キャリアを考える」

[中村氏より]
エグゼクティブ領域の紹介事業に携わるようになり15年目。
最初の9年間は縄文アソシエイツ、ハイドリック&ストラグルズと純粋なヘッドハンター。
そして今はリクルートグループにいますので、リテーナー以外にも、成功報酬型でのサービスも提供できる状況で6年目。
この連載は、そんな私が日々残している、クライアント企業や、キャンディデートの方々との面談メモをベースに、企業名、個人名が特定できないよう配慮しつつ、記述させて頂いております。

第22回「色褪せない言葉」

大掃除をしていたら古いメモ書きが。参考になりそうな質問集である。
こんな直截的な聞き方ではありませんが、今回は敢えてわかりやすくとの但し書き付きで。

<ある企業経営者への質問>

「業界の現状と今後予想される変化の方向性について教えて頂けますか。」

「その中で御社のポジショ二ングはどうなっていますか。」

「御社の強味と弱味、経営課題について教えて頂けますか。」

「御社はその経営課題を如何に克服しようとされていますか。」

「中長期の目標とそれに向けての戦略はどのようなものですか。」

「その戦略は御社の強味を活かせられる形になっていますか。それとも市場の動向を優先したモノですか。」

「経営課題の解消、経営戦略の実現、どちらの視点でも構いません。現状のマネジメントメンバーで確実に達成可能ですか。」

「より確実なものにする為に、外部から幹部人材を迎えるとしたら、どのような経験、能力を持った人材を、如何なるポジションで迎えると良いと思われますか。」

「マネジメントポジションで人を採用する際に、仕事が出来るなんてことは当たり前で、それにも増して、経営者の仕事が判断することが仕事であるが故に、その判断の軸となる価値観がより重要と考えます。社長個人にとってのビジネスにおいて重要な価値基準とは何ですか、又この会社にとって最も重要なそれは何でしょうか。」

<ある候補者への質問>

「もっとも経験が長い、もしくはもっとも自らの強味が発揮できると思われる部門、職種は何ですか。業界におけるその当該部門の責任者として、仕事が出来る人と出来ない人の差は何なのか教えて頂けますか。仮に今それが欠けている人がいるとして、それは後天的に克服できるものですか。」

「これまで最も印象深い仕事、最も大きな業績はどう言うモノでしたか。その時の状況をより詳細に語って頂けますか。例えばその時の上司は、部下は。その中であなたの立ち位置は。重要な会議のシーンは。成功のポイントは。等々」

「先程の質問と少し重なりますが、あなたのビジネスにおける信条は何ですか。これまで、会社や自らの組織にとってベストの選択をする為に、その信条を曲げた様なことがありますか。」

「この数年で、自らの上司や部下を見ていて、会社のことを一義にせず、例えば自己保身や、可愛がっている部下のことを優先した判断をしているなと感じたことはありますか。」

「あなた自身はどうでしょう。こんな少ない給料では、本当に会社のことだけ思っての判断なんか出来ないと思ったことはありませんか。降格なんかされたら生活設計が変わってしまうから、ここは我慢して、と言うようなことはこれまでありませんでしたか(笑)。」

「“人の上に立つのに何より大切なのは覚悟だ”と、いう言葉があります。その言葉に関して、これまでの自らの具体的な経験を元に何かコメントを頂けますか」

あくまでメモなので、正確ではないかもしれないが、それでも良い言葉は色褪せない。


中村一正

(株)リクルートエグゼクティブエージェント シニアディレクター
1984年野村證券入社、中堅企業営業及び社員研修の企画運営に従事。その後外資系生保会社へ転じ、組織拡大と生産性向上に尽力。退職時は同社最大の直販部隊のヘッド。
2001年以降、日系大手サーチファームである縄文アソシエイツ、2008年、外資ビッグ5の一角であるハイドリック&ストラグルズ、2010年5月よりリクルートエグゼクティブエージェントと、一貫してエグゼクティブサーチ業界。小売・サービス、消費財を中心に、業種的にも、また企業ステージとしても日本を代表する著名大企業から、オーナー系中堅成長企業、未公開新興企業等々、広範囲に対応。