会社だけの人生はもう古い! 人生100年時代のキャリアデザインとは

コラム

年金が当てにならないと言われて久しい昨今、今やほとんどの人が老後に大きな不安を感じています。

また、コロナ防止のリモートワークが普及したことで、会社との精神的なつながりが薄くなっているのも余計に不安を助長させている要因でしょう。コロナは私たちの働き方を根本から変えてしまいました。もはやいつ雇用崩壊が起きてもおかしくない状況下に、私たちは立たされているのです。

そういった将来への不安が極限まで高まった今こそ、2016年にロンドンビジネススクールの「リンダ・グラットン」教授が書いた、大ベストセラー「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」が、必要になってきます。

リンダ・グラットンは同書のなかで、「寿命が100年に伸びていく『人生100年時代』では、フルタイムで働いて定年になれば引退するという働き方を大きく変えていかなければならない」と提言し、世界中に衝撃を与えました。

また、ライフシフトの発売から遅れること約1年、2017年9月。リンダ・グラットンも参加した、日本で初となる「第1回人生100年時代構想会議」が、官邸にて開催されました。以降2018年までの間に、合計9回の会議が開催されています。

つまり、日本でも本格的に新しい人生設計への舵取りが始まったということです。さらに終わりの見えないコロナの影響もあります。私たちはこれからの働き方について、根本的に考え方を変えていかなくてはなりません。

今回は、「新しい3つの生き方」「3つの無形資産」「自分のキャリアを会社から取り戻す5つのステップ」について、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)を参考にしながらわかりやすく解説していきます。

将来の働き方に不安を感じている人には、非常に参考となる内容かと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。

【人生100年時代】新しい3つの生き方

【人生100年時代】新しい3つの生き方

これまで日本人の人生には、以下のような3つのステージしかありませんでした。

  • 教育(学生):〜20歳ころまで
  • 仕事(会社員):20〜60歳まで
  • 老後:定年以降〜

しかし人生100年時代おいて、上記3つをフルタイムでおこなうことは、もはや適切ではありません。

これからは日本でも、会社員という働き方をベースに置きながらも、後述する「自分探し」「個人事業主」「副業」を繰り返しながら人生の選択肢を広げていく生き方(マルチステージ)に移行していくでしょう。

この章では、「自分探し」「個人事業主」「副業」という新しい3つの生き方について、解説していきます。

1.自分探し:仕事以外の世界を知る時間

最初に取り組むのが、さまざまな可能性を試すために仕事以外の世界を探索する時間「自分探し」です。(書籍では「エクスプローラー」と呼ばれている)

この自分探しは、会社員を続けながらおこなう場合もあれば、一旦仕事を辞めて取り組む場合もあるかと思います。どちらの場合も、「今後必要な能力を学習する」「個人事業主や副業に必要な人脈をつくる」ための重要な時期になるでしょう。

具体的におこなう内容は、以下のようなものが考えられます。

  • ビジネススキルを身につける
  • 資格を取得する
  • 文化的背景の異なる新たな人と交流をもつ
  • 行ったことのない場所へ旅をして見聞を広める

いずれにしても、学校で勉強した知識だけで人生を乗り切るのは少々ムリがあります。私たちは、「新しい知識・価値観・技術」を身につけていくことに、もっと貪欲になっていくべきなのです。

これからは、働きながらも、必要に応じて何度も自分探し(エクスプローラー)を繰り返すようになるでしょう。

2.個人事業主:自分の能力が活かせる仕事を自ら作る時間

前述の通り、「教育〜仕事〜老後」という従来の3ステージに対して、LIFE SHIFTでは「自分探し・個人事業主・副業」というステージを何度も入れ替えながら繰り返していきます。

この個人事業主(書籍ではインディペンデント・プロデューサー)の期間は、いうなれば「自分の仕事を新しく生み出すステージ」です。もしかすると、会社員しか経験のない人にすれば、個人事業主という働き方はピンとこないかもしれません。

しかし今の日本のような、非常に労働時間が長く休日も少ない非効率な働き方を、80歳まで続けられるでしょうか?
絶対にムリですよね。

だからこそ、自分で労働環境をコントロールできる「個人事業主としての仕事」をつくることが重要になってくるのです。
これは会社に雇われている状況においても同じです。会社の生産性につながる仕事を自ら、会社の中でつくるという意識。この意識が会社から離れた後の労働環境をも好転させる力へ繋がります。
そう、私たちは変化しなければなりません。

とはいえ、やはり自分だけの強みがなければ、簡単に新しい仕事をつくることなどできないでしょう。そのためには、仕事をつくるのと並行して、自分をキャリアアップしていく必要があります。

3.副業:会社で働きながら異なる能力を磨く時間

副業(書籍ではポートフォリオ・ワーカー)のステージでは、会社員としての仕事と並行しながら、個人事業主として見つけた自分の仕事に取り組んでいきます。

それぞれの仕事の規模は、あまり重要ではありません。世界を変えるような大きな仕事もよいですが、個人でそういった企業をつくるのは、正直現実的ではないでしょう。

それよりは小規模の仕事をいくつも持ち、状況に応じて柔軟に切り替えていく方が現実的ではないでしょうか。個人事業主の仕事は、別に1つである必要はまったくないのです。

そういう意味では、いわゆる「副業」ではなく、複数の仕事をマネージメントする「複業」という表現の方がピッタリかもしれませんね。もちろん副業だけでなく勤めている会社においても、すべての場面において知識の獲得や投下する時間、体力の配分についても全力で取り組む必要があることを理解しておいてください。

なお、副業は、仕事以外のボランティアや地域活動、趣味の集まりなども含めて構いません。いくつもの異なる活動の場を上手に回していく能力がこれからは問われるでしょう。

【人生100年時代】LIFE SHIFTに学ぶ3つの無形資産とは

【人生100年時代】LIFE SHIFTに学ぶ3つの無形資産とは

従来の3ステージ(教育・仕事・老後)では、土地・家・貯蓄・社会的地位といった「有形資産」をもつことが称賛される傾向にありました。
しかしマルチステージになると、有形資産よりも「無形資産」の方がより重要になってきます。

無形資産とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つをいい、マルチステージを生き抜くためにはどれも欠かせない重要な資産です。

この章では、無形資産について詳しく解説していきます。

1.生産性資産(仕事に役立つスキルや知識)

「生産性資産」は簡単にいうと、仕事に役立つスキルや知識のことです。まずベースになるのが、これまでに培ってきた経験やスキルでしょう。

ただし、昔身につけたスキルや知識に頼りっきりというのは、非常に危険だと思います。なぜなら、今は技術革新の速度が異常なほど速く、スキルや知識がすぐに古くなってしまう可能性があるからです。

これからは、時代とテクノロジーの変化に合わせて、常にバージョンアップする気構えが必要になるでしょう。

また、自分を支えてくれる仲間や知人のネットワークも欠かせない資産です。個人事業主になれば、会社のバックアップは一切なくなります。その時に頼れるのは、結局信頼できる人達とのネットワークではないでしょうか。

2.活力資産(健康や良好な人間関係)

健康や良好な人間関係といった「活力資産」も、非常に重要な資産です。人生100年時代になれば当然寿命は伸びるわけですが、「寿命が伸びる=健康で充実した生活」ではありません。

逆に、長寿になるからこそ、いつまでも元気で活動できる健康な肉体が重要になってきます。また、ストレスを引き起こす要因とうまく付き合っていくことも必要でしょう。

そのためにも、前述の「自分を支えてくれる仲間のネットワーク」は、欠かすことのできない重要な資産といえます。

3.変身資産(変化に対応できる力)

最後は、変化に対応できる力「変身資産」です。前述の通り、これからの時代は、従来の3ステージからマルチステージへと移行していきます。

マルチステージでは、「自分探し・個人事業主・副業」の間を何度も繰り返し移動すると説明しましたよね。つまりこれからは、変化に対応できる能力が非常に重要になってくるわけです。

では変化に対応できる力とは、具体的にどういった力を指すのでしょうか。

まずひとつめが、「十分な自己理解」です。現在の自分をよく理解しているからこそ、過去と現在・未来の違いを的確に判断できるのだと思います。

2番めは「多様な人的ネットワーク」です。特定のネットワークばかりに接していると、どうしてもそのコミュニティの価値観に影響を受けてしまいます。変化を受け入れるには、できるだけ価値観の異なる複数のネットワークに接することが重要です。

最後は、「変化を受け入れる姿勢」です。ステージが変われば、当然考え方や方法論も変わります。今までの経験や知識に固執せず、新しいやり方を受けいれてみましょう。

【人生100年時代】自分のキャリアを会社から取り戻す5つのステップ

【人生100年時代】自分のキャリアを会社から取り戻す5つのステップ

人生のマルチステージ化にともない、これからは常に変化し続けることを求められます。とはいえ、まだまだ社会人としてのベースは、会社員であることに変わりありません。

もし「自分のキャリアを会社に預けてしまっているかもしれない」と感じているならば、まず目指すべきは「キャリアを自分のものにする」ことではないでしょうか。

具体的にキャリアを取り戻す方法は、大きく以下の5つです。

STEP 1:現状の自分の志向を徹底的に探る
STEP 2:社会でも通用するスキル・能力を徹底的に知り尽くす
STEP 3:自分の理想の将来像を描く
STEP 4:理想の将来像と現状のギャップを埋めるために計画を立てる
STEP 5:次の一歩を決める(場を獲得する・人脈を増やす)

それではひとつずつ解説していきます。

STEP 1:現状の自分の志向を徹底的に探る

まずやるべきことは、現状の自分の志向を徹底的に探ることです。

自分はこれからどんなことにチャレンジしたいのか、なにが好きでなにをやりたくないのか、そして今自分ができることはなにか。そういった自分の正直な気持ちがはっきりすれば、もしかするとこれから活躍する場は、まったく別の会社かもしれませんね。

もちろん、会社を変えることなく、これまでとは違う意識を持って働くのもアリでしょう。いずれにせよ、まずは「これからどうしたいのか」を明確にすることが、すべてのスタートになります。

STEP 2:社会でも通用するスキル・能力を徹底的に知り尽くす

STEP1では、自分の志向を明確にしました。次にやるべきは、その志向を実現するために必要なスキルや能力を徹底的に調べることです。

ここではよく世間でいわれているような、プログラミングや英語ができれば有利だという、安易な選び方はしないでください。STEP1で明確にした、これからの方向性に必要なスキルだけを絞り込み、時間とお金を集中するのがポイントです。

また案外軽視されがちですが、「仕事のしかた」や「人との関わりかた」「専門知識」といった、いわゆる「ポータブルスキル」もぜひ身につけておきたいですね。

ポータブルスキルは、ポータブル(持ち出し可能な)という名前の通り、会社が変わってもどこでも使える大事なスキルになります。マルチステージには、まさに不可欠なスキルといえるでしょう。

STEP 3:自分の理想の将来像を描く

自分の志向とそのために必要なスキルや能力がわかったら、いよいよ実際にプランを立てていきます。成功するプランを立てるポイントは、最初に自分の理想の将来像をはっきりと描くことです。

これはSTEP1で明確にした「自分の志向」が大きく関係してきますね。

ポイントとしては、20〜30年といった、長すぎるスパンで考えないことです。何度も話しているように、今は時代の変化が速すぎて、先のことがまったく予測できません。したがって、計画を立てるなら、長くてもいいとこ10年が上限ではないでしょうか。

STEP 4:理想の将来像と現状のギャップを埋めるために計画を立てる

10年後における理想の将来像=ゴールが決まったら、もう少しこまかいスパンで計画を区切ってみてください。1年後→3年後→5年後→10年後という、おおまかな区切りで十分です。

1年後→3年後→5年後→ゴールという計画ができあがったら、今度はさきほど調べた「必要なスキルや能力」を自分の現在地点と比較しましょう。

そうすると、「今の自分になにが足りなくて、これからなにをすべきか」というギャップが、驚くほど明確になります。

STEP 5:次の一歩を決める(場を獲得する・人脈を増やす)

ギャップがわかれば、1年後・3年後といった区切りの時期までに、どうやってそのギャップを埋めていくのかを具体的に決めていきます。

STEP1・2は、いうなれば「発見のフェーズ」です。そして、 STEP3・4は、発見のフェーズで得た内容を現実にするための「計画のフェーズ」といえるでしょう。

しかし、いくら計画を立てても、実行しなければまったく意味がありません。STEP5は「実行のフェーズ」です。計画を実行に移したその時こそ、あなたははじめて本当に自分のキャリアを歩み出したいえます。

まとめ

今回は、名著「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」を参考に、「新しい3つの生き方」「3つの無形資産」「自分のキャリアを会社から取り戻す5つのステップ」について、お話してきました。行動力のある人なら、自分のキャリアを会社から取り戻す5STEPに、いち早く取り掛かっているかもしれませんね。

しかし、自分ひとりで、自分の志向や必要なスキルを見つけるのは、言葉でいうほど簡単ではありません。また自分のゴールを決めて計画を立てようとした人は、どのように進めていけばよいかわからずに、途方に暮れているのではないでしょうか。

しかし、安心してください。そんな時のために「知命塾」があるのです。

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