CASE 1 【今の会社で働きつづけるという決意】

CASE

理想の人事異動

Sさん(50代男性)

Sさんは役職定年後の働き方を考えるために知命塾にやってきた。
そして、勤めている会社に定年まで残ることを決意する。
知命塾の講義やワークを通じて自分が本当にやりたいこと、できることを深く考えた結果、今の会社でまだやるべきことが有るという結論に達したからだ。

「理想的な人事異動をしてもらいました」
ある日、Sさんは満面の笑みで知命塾講師の元を訪れた。勤務先で、希望していた仕事に関われるポストに異動してもらえたのだ。

Sさんは知命塾に参加する前、説明会の場で、会社に対する文句をこぼしていた。
「いままでこき使っておきながら、『これからは勝手に仕事をしておいてください』とは何事だ」
しかし文句をこぼすだけでは何も変わらない。自覚のあったSさんは、これまでと今後のキャリアを考えるため、知命塾に通い始める。

知命塾のカリキュラムを通じて、今までのキャリアを棚卸しし、子供の頃からの人生を振り返り、限界まで自分を客観視した。Sさんは自分のキャリアを深く見つめ、冷静に考える。
「これまで、私から会社に『こういう仕事をしたい』と話したことは一度もありませんでした」

日本の企業にはよく見られることだが、自分のものであるはずのキャリアを、会社の人事部にまったく預けてしまっていたことに気がついたのだ。

それからも知命塾に参加する中で、Sさんの仕事やキャリアに対しての考え方はさらに広がっていった。ただ組織に従属するのではなく、自分の立場や役割を見直して、社内における自分の価値を高める余地をまだ残しているのだという気づきも得られた。
進む方向をきちんと見定めたこと。
自身の価値を高める行動をとったこと。
それによって会社からSさんは再評価され、望んでいた仕事に関われる結果に繋がったのだ。

セカンドキャリアといっても、転職するだけが選択肢ではない。
自分の人生を深く見つめて、どう生きるか、どう働くかを自分自身で選びとる。
「会社の制度だから」「世間の常識だから」という理由で何かを決断するのではなく、主体的に決めてこそ、本当の意味でキャリアを築くといえるのではないだろうか。

出典:日本経済新聞出版社「あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか」より抜粋改編

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