40代のキャリアチェンジを成功させるには「よくある失敗の対策をしっかり立てておくべし」

IT化やグローバル化が一気に拡大し、私たちの働く環境も大きく様変わりしつつあります。そういった激動の時代、「どのように働き続けるべきか」そのキャリア戦略の構築が非常にむずかしくなっているのを、きっと誰もが感じているはずです。

なかでも「終身雇用・年功序列崩壊」の影響を現在進行系で受けている40代以降の世代にとって、キャリア戦略の精度は今後の職業人生に大きく影響してくるでしょう。

そこで当記事では、40代がキャリア戦略を構築する正しいやりかたとコツについて、じっくりと解説していきます。なかでも、これからのキャリア戦略に不可欠な「転職」を検討中のかたには、とくに有益な内容になっているはずです。ぜひ最後まで読んでみてください。

40代のキャリアチェンジ戦略を決める3つのステップ

40代のキャリアチェンジ戦略を決める3つのステップ

冒頭でも触れたように、現在のビジネス環境はあまりにも変化が激しいので、将来の動きを予想しづらくなっています。そのためキャリア戦略は、将来的な変化を前提として、以下3ステップで方向性を決めていくのがもっともオススメです。

  • ステップ1:現在の自分の立ち位置を分析
  • ステップ2:キャリアのゴールを決める
  • ステップ3:キャリア実現までの行動を具体的に計画

それでは、ひとつずつ解説していきます。

ステップ1:現在の自分の立ち位置を分析

本来の考え方としては、先にゴールを決めてからそのゴールに向かっていくべきでしょう。しかし、自分が現在どういう立ち位置にいるのかがわからないと、適切なゴール設定は不可能です。したがってまずは、キャリア戦略のファーストステップとして、「自分の棚卸し」に着手してください。

具体的には、以下のような項目をすべて振り返っていきます。

  • 過去の職務内容
  • これまでに達成した業績
  • 習得しているスキルや資格
  • 自分のやりたいこと / やりたくないこと
  • 好きなこと / 苦手なこと
  • 自分の強み / 弱み

こうした棚卸しを経て、「自分のやりたいこと」や「できること」「強み」などが明確になれば、自然と将来の道筋は見えてくるものです。

ただし、自分の棚卸しは、どうしても自分に甘くなりがちです。自分の棚卸しはキャリア戦略のベースとなる重要なものですから、必ず誰かから的確なフィードバックを受けてください。

ステップ2:キャリアのゴールを決める

出発点が決まれば、次はゴールの設定です。前述の棚卸しで、自分が得意なことやキャリアはすでに明確になっています。さらに、自分のやりたいこともわかっていますから、ゴールの設定はそれほど問題なくおこなえるでしょう。

ただし現実的には、在職と転職のどちらを選ぶのか、ゴールに最適な道のりを見極める必要があります。もちろんムリに転職をする必要はなく、目標さえ明確なら、今いる会社でもキャリアアップは十分可能かもしれません。

とはいえ、人生100年時代といわれるこれからの日本では、60歳以降の働き方も視野に入れたキャリア構築が不可欠です。今あなたが在籍している会社で、そのまま70歳以降まで働くのは可能でしょうか。

おそらくほとんどの企業では、60歳定年後に嘱託として65歳まで勤務できるのが、精一杯でしょう。であれば、優秀な人材を長期間雇用してくれる可能性が高い「中小企業やベンチャー企業」への転職を狙っていくのが、もっとも現実的といえます。

ステップ3:キャリア実現までの行動を具体的に計画

前述のとおり、転職を当面のキャリア戦略のゴールに設定したら、ステップ3では転職活動を具体的に計画していきます。

40代での転職という狭い門を突破するためには、転職市場や業界の調査だけでなく、入念な書類作成・面接対策が必須です。また、自分をより高く評価してもらおうと思えば、関連資格の取得も必要かもしれません。

あなたにいくら実力があっても、転職の合否を決めるのは、あくまでも転職先企業です。採用担当者や経営者に、あなたを雇用するメリットがうまく伝わらなければ、おそらく転職は失敗するでしょう。

そういった状況を回避するためにも、前述の「自分の棚卸し」や、書類作成などのサポートをしてくれる転職エージェントとのお付き合いは欠かせません。弊社でも「知命塾」という転職総合サポートを用意していますので、ぜひ活用してください。

40代からのキャリアチェンジをうまく進めるコツとは

40代からのキャリア戦略をうまく進めるコツとは

キャリア戦略を構築する3つのステップをご理解いただいたところで、今度は「40代からのキャリア戦略をうまく進めるコツ」について紹介していきます。

  • キャリア戦略にマーケティング視点が必要な理由
  • キャリアチェンジを恐れない
  • 40代を過ぎたら、「やりたいこと」よりも「できること」を優先に
  • 「他者評価」が成功の鍵を握る

どの項目も重要なものばかりです。もし当てはまらない項目があれば、今日からマインドをチェンジしていきましょう。

キャリアチェンジ戦略にマーケティング視点が必要な理由

キャリア戦略には、マーケティングの視点が不可欠です。

もしあなたがなにかしらの新規事業を立ち上げるとしたら、事前に綿密な市場調査をおこない、市場ニーズに合う新商品を開発しなければなりません。同時に、ターゲット層や販売方法などについても、入念に計画を立てていくはずです。

じつはキャリア戦略においても、こういったマーケティング戦略が、そのまま当てはまります。

キャリア戦略における商品は、あなた自身です。あなたという商品をどういう状態に仕上げていくか、どの分野の企業にどうやって自分を売り込むか、そういった戦略を徹底的に考えておく必要があります。

ところが、私のもとに相談にこられる人の多くは、ご自身のキャリアを売り込む戦略について、あまり深く考えていないように見受けられます。これでは、どんなにあなたが素晴らしい人材だとしても、転職の確率は大きくダウンしてしまうでしょう。

自分という商品をできるだけよい条件で買ってもらえるように、入念なマーケティング戦略を心がけてください。

キャリアチェンジを恐れない

40代50代の労働者は、日本がまだ終身雇用や年功序列のような経営スタイルで動いていた時代を経験している世代です。だから、そういった労働スタイルが終焉を迎えつつある現在でも、なかなか古い価値観を捨てきれずにいます。

しかし、転職を経て自身のキャリア戦略を成功に導きたいのであれば、どうかキャリアチェンジを恐れないでください。

前述のとおり、私たちは60歳以降の仕事を視野に入れて、キャリア戦略を考えなければなりません。そうなれば、当然長期雇用が望める企業への転職が不可欠になってきます。

それなのにキャリアチェンジにマイナスな意識をもっていれば、転職自体がむずかしくなってしまうでしょう。これからは、むしろ積極的にキャリアチェンジをして、よりよい環境を自らつくっていく意識が必要です。

40代を過ぎたら、「やりたいこと」よりも「できること」を優先に

これまで何度もお伝えしてきましたが、弊社では「キャリアという言葉を、仕事を通じて志を実現する成長プロセス」と定義しています。

自分がどうなりたいのか、そのゴールを明確にして、現時点で不足している知識やスキルを身につけていく。こういった過程を経て、ようやく目指すゴールにたどり着けるのです。

しかし40代を過ぎたら、「やりたいこと」よりも「できること」を優先的に考える柔軟性も必要になってきます。理由は単純。採用企業は40代の求職者がもつ知識やスキルを活用して、自社を発展させたいと考えているからです。

厳しい言い方をすれば、あなたのやりたいことは、採用企業とはまったく関係がありません。企業が欲しいのは、あくまでもスキルと経験を兼ね備えた「自社に役立つ人材」なのです。(もちろん、やりたいことを転職先に受け入れてもらえるのがベストです)

であれば、やりたいことを過度に打ち出すよりも、「自分を採用したらこういったことができる」というメリットをもっと大きくアピールするべきでしょう。

そのためにも、自分のできることを相手が納得する言葉でしっかり発信できるように、できるだけ早い段階から準備しておいてください。そうすれば、思ってもみなかったつながりから、チャンスをいただけるかもしれません。

「他者評価」が成功の鍵を握る

キャリア戦略をスムーズに実現するには、なんといっても「他者評価」が重要です。自己評価がいくら高くても、周囲の評価が低ければ、思うようなルートを進むことはできません。

またチャンス(とくに転職)は、えてして、思いもしないような人間関係からもたらされるものです。こういった他人とのちょっとしたご縁を活かすには、「他者から見た自分」を突き詰めておく必要があります。資格を取るなりスキルを磨くなりして、どんどん自分の武器を増やしていきましょう。

ただし、現時点でいくら他者の評価が高くても、他者の紹介による転職案件に飛びつくのは危険です。いちどならともかく、こういった縁故による転職を繰り返すと、キャリアの軸が失われてしまいます。

縁故による転職はどうしてもキャリアの積み重ねかたが偶発的になり、これまでのキャリアをまっすぐな線で結ぶのが困難になるからです。

こうなると、もはや自分でも、自分の強みがわからなくなってしまいます。強みが不明瞭になれば、もう次に声をかけてくれる人もいません。こういった状況に陥らないためにも、ぜひ本当によいチャンスを見極める目を養ってください。

40代のキャリアチェンジで陥りがちな失敗とその対策

40代のキャリアチェンジで陥りがちな失敗とその対策

誰だって、仕事がガラッと変わるキャリアチェンジは怖いものです。しかし、現状の延長上によりよい未来が見えてこないなら、不安を打ち消してキャリアチェンジを進めていくしかありません。

最後に、40代のキャリアチェンジで陥りがちな失敗とその対策を紹介しておきます。いくら失敗しても、対策法がわかっていれば安心ですよね。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

職種や業界の選択ミス:業界・企業研究をしっかりとおこなう

40代のキャリアチェンジで失敗しがちなポイントのひとつが、職種や業界の選択ミスです。転職を考えるのは、なにかしら前職に不満があるからでしょう。しかしだからといって、安易に異業種へ目を向けると、あとから後悔する可能性が高くなります。

新しい職種や業界で働くのは、過去の経験が通用しなくなるという意味も含んでいることを忘れてはいけません。

こういう事態を回避するためにも、事前に業界・企業研究をしっかりとおこなってください。リサーチさえきちんとしていれば、自分の経験やスキルがどのくらい活かせるか、おおよその見当がつくはずです。

もちろん、イチから出直す覚悟があるなら、業界や職種を完全に変えてしまう転職も悪くはありません。ですが、転職後の働きやすさを考えると、やはりオススメは以下のどちらかになります。

  1. 同業種の異職種
  2. 異業種の同職種

業種か職種のどちらかを同じにしておけば、これまでの知識やスキルをかなり活かせるはずです。しかも、働く場所自体が変わるので、気分も新たに働けるでしょう。

いずれにせよ、こういった判断を下せるのも、すべては入念な情報収集があってこそです。インターネットや書籍をはじめ、可能であれば企業説明会のような現場の人と話せる場所に出向いてみてください。

古いスキルや知識に固執:最新情報にアンテナを張っておく

これまで身につけたスキルや知識に固執して失敗するパターンを、40代のキャリアチェンジでは本当によく目にします。とくに難易度の高い資格取得者や、専門的な技術をもっている人に、こういった傾向が強いようです。

しかし、今はテクノロジーやトレンドの動きが、驚くほど速い時代です。去年もてはやされた技術が、1年後には別の最新技術に取って代わられる。こういったことが、今当たり前に起きています。実際、今世界中で、AIという超弩級のテクノロジーが、世の中の働き方を根本的に変えつつあります。

2015年、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授と野村総研の共同研究※として、「日本国内 601 種類の職業で働く労働人口の約49%が、10〜20 年後には人工知能やロボットに代替される」と発表されました。

現在の動きを見る限り、たしかにAIは、現存する仕事をどんどん奪っていくでしょう。しかしこれからは、AIを管理する仕事やAIを開発する仕事、あるいは人間にしかできない仕事が新たに創出されてくるはずです。

変化に翻弄されず、AIを使いこなせるよう日頃から情報収集している人だけが、今後自分の市場価値をアップできるのではないでしょうか。AIに限らず、最新情報には常にアンテナを張っておくように心がけてください。

※参考:株式会社野村総合研究所 News Release 日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に

職務経歴書や面接対策の準備不足:転職エージェントのサポートを活用

職務経歴書や面接対策の準備不足で、転職が決まらない人は思っている以上に多いものです。もしそういった転職の準備不足がキャリアチェンジを邪魔しているなら、転職エージェントのサポートを活用しましょう。

転職エージェントは、経験やスキルをアピールする職務経歴書の作成や、面接での自己PR方法をアドバイスしてくれます。また、業界の最新動向や求人情報に詳しく、自分に合った企業を紹介してくれるため、転職の確率も大幅にアップします。

ほとんどの人はこれまでに転職の経験がない(少ない)ので、なにをどのくらい準備すればいいのかが、よくわかっていないんですね。

もちろん、ネットや書籍など、自分で調べる熱意も大事でしょう。しかし、転職は今後のキャリアを決定づける最重要課題です。そう考えれば、独力よりも、プロの力を借りて確率を少しでも高めるべきだと思います。

なお、転職エージェントを選ぶ際には、ミドルシニア層に特化したエージェントを選ぶようにしてください。とくに中小企業に強いエージェントだと、ほかにはあまり出回っていないオフレコの情報が多数入ってきます。

収入や労働条件で仕事を選択:待遇面とやりがいをじっくりと比較検討する

これまでたくさんの転職希望者を見てきましたが、収入や労働条件で仕事を選ぶ人の多くは、キャリアチェンジがあまりうまくいっていません。反対に、待遇面とやりがいのバランスをきちんと比較して転職した人は、自身の新しいキャリアにおおむね満足しているようです。

40代の転職では、ほとんどが前職よりも規模の小さい会社がターゲットになります。となれば、収入や労働条件が多少下がるのは当然なのです。「好待遇は入社後に結果を出して勝ち取る」このくらいの熱意がなければ、転職はうまくいかないと考えてください。

冷静に考えれば、収入や待遇面だけが仕事のやりがいではないでしょう。「自分の能力を活かせる」「成果をきちんと評価してもらえる」「新しいことにチャレンジできる」など、やりがいを感じるポイントはいくつもあります。

キャリアチェンジを成功させたいなら、上記のような要素をすべて比較して、総合的に判断してください。もちろん誰でも生活がありますから、自分が求める生活レベルや価値観を明確にし、どの程度の収入や労働条件が適切かを考慮しておくことも大切です。

周囲の意見に流されてあとから後悔:徹底した自己分析

キャリアチェンジがうまくいっていない人の話を聞くと、周囲の意見やネットの情報を鵜呑みにして、あとから後悔するケースが非常に多いです。せっかく転職したのに、「思っていたのと違う」とすぐに辞めてしまう人も、少なくありません。

こういった悲しい状況を回避するには、やはり徹底した自己分析が必要です。まずは、自分の強みや弱み、興味や価値観を把握しましょう。自分にとって本当に大切なことが明確になれば、他人の意見に左右されず、自分に合ったキャリアチェンジができます。

また「あの業界はこれから伸びる」などいわれて、業種も職種もまったく異なる仕事を選ぶと、正直あとが大変です。前述のとおり、自分のこれまで培ったキャリアを活かせる余地が非常に少ないからです。

40代ともなれば、あなたが想像する以上に、ゼロからのスタートは大変だと考えておいてください。業界を変える場合はできるだけ前職と同じ職種に、職種を変えるなら業界は変えないほうが無難です。

この辺についても、人の意見に左右されるとあとから迷いが生じます。ぜひ、自分で徹底的に分析をするよう、心がけてくださいね。

まとめ

今回は、40代からどうやってキャリアチェンジをおこなっていけばいいのか、その流れとコツをご紹介しました。

一応40代以降に向けての解説となっていますが、今回の内容は年代を問わずに当てはまるものばかりです。どの年代でも、これからは60歳以降の労働環境を見据えたキャリア戦略が欠かせません。

今回の記事を参考に、どうかムダのない、あなたならではのキャリア戦略をつくり上げてください。

なお本文中でもお伝えしたように、キャリア戦略を自分ひとりで立てるのは困難です。その場合はムリに自分だけで悩まず、弊社が運営する「知命塾」に参加して、第三者のサポートを活用してください。きっと、キャリア戦略を立てるのが楽になるはずです。