地方で働くということ。地方だからこそ実現できる自分だけのキャリア

2020年10月19日改稿 / 2019年5月28日掲載

近年のIT・モバイル通信技術の急速な発達により、これまでの「働く場所=会社の職場」という概念が大きく変化しだしています。また「働き方改革」の推進により、フリーランスや副業というスタイルが、だいぶ認知されてきました。

こういった流れを受けて、東京を離れ地方で働くケースが、今どんどん増えています。

たしかに弊社の求職相談でも「地方で働きたい」という声をよく聞きますし、実際に地方の企業へ、何度かご紹介もさせていただきました。

今回は、下記の3点を中心に、地方でのキャリアづくりを詳しく解説していきます。

  • 地方で働く意義
  • 地方で働くメリット・デメリット
  • 地方での転職先の見つけ方

地方で働きたいけれども一歩が踏み出せないでいる方は、ぜひ参考にしてください。

地方で働く本当の意義とは

地方で働く本当の意義とは

冒頭で、働くことに対する意識の変化により、地方で働く人が増えたと言いました。しかし、地方で働く本当の意義は、そこではありません。人材があり余る大都市では、どんなにキャリアがあっても、年齢で無慈悲に切り捨てられているのが現実です。

ところが、人材の少ない地方なら、あなたの価値・経験・能力をきちんと認めてくれる企業がたくさんあります。必要な人材と認められれば、40代でも50代でも、年齢は関係なく受入れてもらえるのです。

「自分が本当に必要とされる環境で輝きながら働く」それこそが、地方で働く本当の意義なのではないでしょうか。

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地方だからこそ実現できるキャリア

「地方ならあなたのキャリアを受入れてくれる」
たしかにそれも重要ですが、地方の魅力はそれだけではありません。

地方には、「一般的に知られていないがじつは面白い」優良企業がたくさんあります。弊社が実際にお仕事をご紹介したことのある地方企業の例では、大都市に拠点を持たず、直接海外と取引をするグローバルメーカーもありました。海外から見れば、物流や通信ネットワークさえ通じていれば東京や大阪といった大都市だろうと地方都市だろうと大差ないのです。それなのに、単に全国的知名度がないというだけで、そういった企業で働く貴重な機会を失っているのです。

これは、はっきり言って、「大きなチャンスの損失」以外の何物でもありません。

もしあなたが、東京の今の仕事に満足できず、「もっとやりがいのある仕事をしたい」と思っているならば、そういった優良地方企業で自分の経験を活かしてみることをおすすめします。

地方独自の価値観や習慣に慣れる

地方独自の価値観や習慣に慣れる

ここまで地方で働く意義と魅力について、お話してきました。しかし、地方での生活は楽なことばかりではありません。特にこれまで地方で暮らしたことのない人は、地方独自の価値観や習慣に慣れるまで、なかなか大変だと思います。

地方で働くパターンは、大きく下記の3つに分類されます。

  • Uターン:地元から進学・就職などで別な場所に移ったあとに、再び地元で働く
  • Jターン:地元から進学・就職などで別な場所に移ったあとに、地元の近郊エリアで働く
  • Iターン:都市部出身者が、まったく別の地方で働く

このなかでUターンやJターンは、元々その地方に土地勘があるので、それほど移住のハードルは高くないでしょう。しかし、Iターンのように、その地方につながりがまったくないケースでは、地方で働くのは少々ハードルが高いかもしれません。

私自身を振り返ってみると、10歳のころ、父の仕事の関係で、神奈川県から九州のとある地方に転居した経験があります。最初こそ言葉や習慣の違いに戸惑いましたが、子供には「学校」というコミュニティがあるので、幸いすぐに周囲となじむことができました。

しかし大人の場合、コミュニティは「職場」だけです。時が経過するにつれ、ご近所づきあいや、趣味の仲間など、徐々にコミュニティは広がっていきますが、それまでの間をどう乗り越えるかが大きなポイントになるでしょう。

地方での働き方と都会での働き方

地方と都会では、働き方が大きく異なります。典型的なのが通勤ではないでしょうか。

地方では自動車通勤が多いので、電車通勤中に当たり前のようにしていた、読書やネットサーフィン、SNSができません。また仕事帰りに同僚と飲みにいくこともないので、毎日ただまっすぐ家に帰るばかりです。会社や仕事も不慣れ、土地にも慣れず、知り合いもいないとなると、非常に孤独な気持ちになります。

また、「都会のようにあくせくせず、地方でのんびり過ごせる」とイメージをしていたのに、実際に住んでみると、意外に慌ただしいというのもよくあることです。

その一方で、イメージ通り本当にのんびりしすぎて、これまでの生活とのギャップに戸惑うこともよくあります。

つまり「地方で働く」ということは、思ったようにいかない「想定外の毎日」だということです。そういった毎日に耐えきれず、東京に戻ってしまう人も決して少なくありません。

そういう訳で、Iターンを受け入れてきた地方企業の中には、「UターンやJターンはともかく、結局なじめずに東京へ戻ってしまう人が多いから、Iターンの人は採用するのを躊躇してしまうんだよね」という声があるのも事実です。

定住?2拠点住居?選べる地方での働き方

さきほどIターンは失敗する確率が高いというお話をしました。そういう人たちに共通しているのは、東京から地方に移住して働くことを、どことなく都落ちと捉えているところです。たしかに昔は「地方勤務=左遷」というイメージが強かったかもしれませんが、今はもう時代が違います。もっと気軽に、ガンガン地方で働ける時代なのです。

例えば、家族を東京に残して、まずは単身赴任でお試しに移住してみるのもいいでしょう。また、都会に拠点を残したまま、地方にも新たな拠点をつくる。そして両方を行き来して、都会と地方の良いところを満喫する暮らし方だってあります。2019年にリクルートが住まいトレンドとして発表した、いわゆる「デュアラー(2拠点生活者)」ですね。

東京にも拠点を残したスタイルなら、満足するまで地方で働いたのち、また東京へ戻ることも可能です。「頑張って地方に根付かなくちゃ」と気負う必要もなく、かえって円滑な地方生活ができるかもしれません。

地方での働き方を、もっともっとフレキシブルに考えても良いのではないでしょうか。

地方で働くメリット・デメリット明確にする

地方で働くメリット・デメリット明確にする

地方で働くことを決断する前に、一度きちんと、地方で働くメリットとデメリットを明確にしておきましょう。厳密にいえば、Uターン・Jターン・Iターンで異なりますが、ここでは共通する内容をご紹介します。

地方で働くメリット

  • 能力があれば、貴重な人材として重宝される
  • 即戦力として活躍できる
  • 通勤電車などのストレスが減る
  • 東京よりもよい住環境で生活できる
  • 生活コストが安い
  • 地域のつながりが強く、人とのつながりを作りやすい

メリットを見ると、「活躍の場が広がる」ことと、「生活環境が良くなる」という2つに、大きく分類されますね。誤解を恐れずにいえば、優秀な人材は、地方よりもやはり東京の方がたくさんいます。だからこそ、あなたの能力やキャリアが地方で重宝されるのです。

ただし、そのためには、転職先にあなたのスキルやキャリアを、きちんと伝えられることが条件になります。転職前に自分のキャリアの棚卸しを、しっかりとやっておきましょう。

地方で働くデメリット

  • 求人件数が少ないので、転職先の選択肢が限られる
  • 将来の選択肢が少ない
  • 収入は低くなることが多い
  • 東京と比べると利便性が悪い
  • 人間関係が濃密で、わずらわしい場合がある

戦力として歓迎される一方で、地方ではどうしても収入が下がる傾向にあります。これは会社の規模が違いますから、仕方のないことです。

ただし、他のコラムで何度もお話しているように、地方の中小企業では、結果を出せば待遇を劇的に改善してもらえるチャンスがあります。まずは報酬にこだわり過ぎず、きちんと結果を出すことに集中しましょう。

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地方企業への転職は情報収集から

地方企業への転職は情報収集から

地方に転職する方法として、Web転職サイトを使ってエントリーすることも可能ですが、私は個人的にあまりお勧めしていません。

なぜならば、例えばあなたが恋人や結婚相手を探すとき、実際に相手と会わずに決めますか? そんなことは絶対にあり得ませんよね。転職もまったく同じでしょう。転職先を知るためには、自分で積極的に情報を取りにいくのがいちばんです。

情報を得る方法はいくらでもあります。

例えば、社会人材学舎主催の求職者と地方企業とのマッチングイベントや、あるいは地方自治体が主催する転職・移住イベントに足を運ぶなど。

そして、リアルにその企業の人と話をし、自分の感覚で、その企業との相性を見ていけばよいと思います。

地方の転職先を探す方法

前述の通り、転職フェアなどを利用して、直接話しを聞くのがベストな方法です。しかし、もし、希望する地方へ何度か足を運べるのであれば、地元のハローワークや自治体のUIJターン相談窓口に顔を出してみると、いろいろな情報が手に入るかもしれません。

また、あまり知られていませんが、千葉県と沖縄県を除く全都道府県のUIJターン支援窓口が、東京に開設されています。実際にそういった窓口を通して転職するかは別として、一度相談をしにいってみるのも悪くないと思いますよ。

参考:総務省 「都道府県が設置している常設の移住相談窓口(平成31年3月31日現在)」

いい企業の経営者や人事責任者の話を聞く

できれば、気になる企業の経営者から、直接話を聞きたいところです。もちろん経営者は、誰よりも会社のことを知っています。その人の口から、会社の強みや経営にかける想いなどを直接聞ければ、最高の一次情報といえるでしょう。

私たちは、企業の経営者や人事責任者という、企業をよく知る人をよび、企業について直接話をしてもらう機会をご提供しています。

地方への転職を真剣に考えている人はもちろんですが、「地方で働くってどんな感じなんだろう」と少し興味があるといった人にとっても、地方の優良企業について情報を得る絶好の機会です。

実施の際はぜひお気軽に足をお運びください!

まとめ

今回は、地方に転職して満足のいくキャリアを手にするための情報を、詳しくご紹介してきました。

地方にはあなたの知らない魅力ある優良企業がたくさんあります。きちんと情報収集をおこない、準備さえ怠らなければ、地方への輝かしい転職は決してむずかしいことではないのです。

前述の通り、私たちは、地方の優良企業の経営者と直接話できる場を開催しています。ぜひ参加していただき、地方転職を成功させるきっかけにしてください。