キャリア活動のリアル

2017年05月02日

強みの見つけ方〜ある営業職の場合

自分を客観視して強みを自覚するというのは、簡単なことではありません。

今回は、最近行った、ある方とのインタビューから、強みを掘り出していった例をお伝えしましょう。
この方は長く広告会社で働いていらっしゃいました。キャリアの前半は支社での営業、後半は営業をサポートする管理部門や広報部門に所属しました。

さて、セカンドキャリア支援を行うにあたって「次の会社に行って、すぐに発揮できる力は何でしょうか?貢献できることは何でしょうか?」と質問をしたところ「これまでの営業経験、管理部門経験、広報などの経験でしょうか」との答え。これまでこのコラムで取り上げてきましたが、これらは過去の履歴であり、ご本人特有の「強み」ではありません。これでは同様の履歴の方と何ら差別化を図ることはできません。これらの履歴の中で、具体的にどんな仕事をし、どんな力を培ってきたのかをあぶり出していくことが必要です。しかし、そのような説明をしても、ご本人の思考は履歴から先になかなか進みません。

広告会社の営業には特に強みはない、と思い込んでいるのです。私たちが言う「枠」に囚われているのです。営業と一口に言っても業界によって大きく異なります。広告会社の営業って言われても広告業界以外の人にはわかりにくいと思います。そこにこそ独自性があるはずです。

広告会社の営業は、ただテレビや新聞の広告スペースを売るのではありません。
クライアントの業界を知り、クライアントの課題を把握し、マーケティングやクリエイティブのスタッフからなるチームを率いて課題の解決を図るコンサルティング型営業といえます。そして営業と言いながら、マーケティングやクリエイティブの素養も自然と身についています。

また、広告会社はあらゆる業界がクライアントになります。食品、日用品から車、或いはインフラ事業を手がける会社、官公庁までコミュニケーションを行う全ての企業・団体がクライアントです。昨日までビール業界を担当していた人間が、異動により次の日から通信業界を担当するということは当たり前、時には異なる業界のクライアントを複数担当することもあります。つまり、あらゆる業界に対応できる柔軟性を持っているということです。なぜ、異なる業界でも対応できるのか、といえばクライアントの課題を見つけ、解決策をみつけるという「本質的な力」は、どこが相手でも共通して使えるからです。

また、この方は長く支社で営業をしました。ご本人の中では単に「地方勤務」としか表現されませんが、ここにも価値を見いだせます。ローカルの中小規模の企業の実際を、オーナー社長というものを数多く知っているということです。
セカンドキャリアの場合、大企業に転ずるよりも中小規模の企業に転ずるケースが多くなります。その場合、中小規模の企業の実際を知っているということはアドバンテージになりえます。また、新たに転じた会社にとって営業のリソースになるかもしれません。
そこに広告会社での数多くの業界経験と知識、メディアネットワーク、広報対応力などが加われば、これから経験豊かな人材を得て、新たな成長ステージに向かおうとする企業の経営者にとっては魅力的に映るのではないでしょうか?
少なくとも「これまでの営業、管理部門、広報の経験を活かして、お役に立ちたい」では、説明不足だということはお分かりいただけると思います。

「広告会社は特別なケースだよ」という声が聞こえてきそうです。けれど、広告業界の人は、自分たちは潰しが効かないと思っています。お互いにそう思い込んでいるだけなのです。それぞれの業界には、同じような独自性があります。
そしてその経験の中で培った力があります。思考の枠を取り払い、考えてみましょう。

ただし、その時に重要なのが「客観視」。こればなかなか難しいもの。
当社では客観視のための講座や体験セミナーもご用意しています。ぜひご参加なさってみて下さい。目からウロコ、だと思いますよ。

  • 小澤 松彦 小澤 松彦
    おざわ まつひこ
    学舎専任講師(知命塾・経産省委託事業等講師)
    一般社団法人 社会人材学舎 理事
    講師・インストラクター歴、企業内研修5年・社会人材学舎内研修3年
    大手広告会社で営業、広報、総務などのマネジメントに従事。危機管理対応の啓発と実践まで幅広い領域に対応。グループ約1万人に向けた研修の企画・運営の中心となり、講師として登壇経験も豊富。
    社会人材学舎設立以降、1000人近くの相談者に対応。講座の開発、講義も担当する。
    「あなたは今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか」企画・編集