大企業病を吹っ飛ばして、転職を成功させる5つのコツとは

40代以降のミドルシニアが転職をする場合、現在よりも規模の小さい会社に転職することがほとんどです。ところが「上から目線」「なにごとにも腰が重い」といった、いわゆる「大企業病」を発症してしまい、せっかくの能力や経験を活かすことなく、同僚や取引先とトラブルを引き起こして辞めていく人が少なくありません。

じつはこういった大企業病にかんしては、採用を考えている中小企業の社長さん達が口を揃えて懸念されています。大企業で働いている人が悪いというよりは、大企業と中小企業の働き方には、それだけ大きなギャップがあるということなのでしょう。

しかしもしあなたが本当に転職を成功させたいならば、大企業病をしっかりと治療して、転職先企業へ自分を上手に適応させていく努力が必要です。

今回の記事では、前半部で典型的な大企業病の症状について解説します。まずはご自分に当てはまるかどうか、冷静にチェックしてみてください。後半では、大企業病を克服し、転職を成功させるためのポイントを解説していきます。大企業病での失敗を回避したい人は、ぜひ最後まで読んでください。

転職の可能性を奪う、大企業病の恐怖 

転職の可能性を奪う、大企業病の恐怖 

この章では、大企業病とは具体的にどんな状態を指すのか、典型的な症状を4点ほど解説していきます。

  • 仕事の範囲が狭い
  • 常に上から目線
  • なにに対しても腰が重い
  • 変化を恐れチャレンジしない

ひとつずつ解説します。

仕事の範囲が狭い

ほとんどの大企業では経験できる業務範囲が狭いので、なんでも自分でやらなければいけない中小企業に転職すると、トラブルを起こしやすいです。

大企業で働く人は、同じ会社でも、部や課によって業務がまったく異なります。ようは違う会社がいくつも集まっているようなイメージですね。また営業・経理・企画など、職種も明確に分かれていることが多く、一度営業になれば一生営業しか経験しないケースも少なくありません。

ところが中小企業は、基本的にいつでも人材不足です。だから専門外の業務であっても、自分でなんでもこなす柔軟性が求められます

この辺の事情を考慮せず、「なんで俺がこんなことを……」と考えてしまうと、周囲との摩擦は避けられません。

常に上から目線

大企業に勤務してきた人のなかには、大企業で働いていたときの感覚が抜けず、中小企業で働く人達にまるで下請けのように接してしまう人がいます。

自分に置き換えてみればすぐにわかりますが、上から目線の人に好意をもち、サポートしてくれる人はいません。お互いをよく知らずに信頼関係もないからこそ、実力を見せるのと同時に自分が一番新人だという謙虚さをもって行動し、まずは信頼を勝ち取ることに集中するべきなのです。

とくに管理的な立場で雇用されたときこそ、余計に謙虚でなければいけません。管理職なのに謙虚で誠実な人だと社内外で評価されれば、トラブル回避どころか、あなたは転職先で絶大な信頼を手にできるでしょう。

なにに対しても腰が重い

ここまでの話とも関係してきますが、大企業では仕事が組織ごとに細かく分業化されていたため、誰かがやってくれるという意識が無意識に刷り込まれてしまっているケースが多いようです。

自分から動くことを思いつけない状態、つまり「腰が重い」状態は、自らなんでもこなさなくてはならない中小企業では致命的といえます。

ところがキャリアと実績をひけらかさずに、あなたのフットワークが誰よりも軽く、どんな業務でも率先してこなしていったら、おそらくあなたはすぐに会社の中心人物になれるはずです。

逆に下記のような態度でいたら、おそらく信頼関係はいつまでも築けないでしょう。

  • 理想論を語るだけで、自分では動こうとしない
  • 方法を提示せずに、他人に結果を求める
  • 誰かが組織を立て直してくれると思っている

中小企業では基本的に人手が足りていないので、言い出した人がまず主軸となって動いてみせなければ、周りの人は納得しません。もしなにかトラブルがあっても、ただ口頭で指摘するのではなく、誰もが再現可能なわかりやすい対応策を書面で提示する。そこまで行動して、はじめてあなたの能力と人柄を認めてもらえるのです。

大企業からの転職者には少々厳しい話かもしれませんが、自分を中小企業に合わせる意識を忘れずに、ぜひ一生懸命手を動かしてみてください。そうすれば、あなたはもうトラブルとは無縁なはずです。

変化を恐れチャレンジしない

大企業では、自分だけ新しいことをやると叩かれてしまいます。何よりも周りとの同調を重視され、大きなミスは許されないからです。

ところが中小企業やベンチャー企業は、変化し続けていかないと生き残れないことを知っています。なかでも社歴の浅いベンチャー企業では、変化を恐れてチャレンジしない社員は必要とされていません。ミスを犯さないよりも、ミスをしてもいいからどんどん新しいことにチャレンジできる人材が求められているのです。

会社の基盤が固まっていない中小企業では、入社当時の待遇がそのまま続くことは珍しく、おそらく役職や業務内容もどんどん変化していくでしょう。転職を成功させるには、ぜひこの変化を楽しめる人になって欲しいと思います。

◎自分の強みを知り、大企業病を克服するには、こちらのワークショップがオススメ

企業規模を問わず必要とされる人材になろう

企業規模を問わず必要とされる人材になろう

転職失敗の原因となる大企業病を知ってもらったところで、今度は転職先に必要とされる条件を5点ほどご紹介していきます。

  1. どこでも通用するポータブルスキルを身につける
  2. 大企業と中小企業の違いを理解する
  3. 待遇ではなく「やりがい」を目的にする
  4. 自分の能力を適正に評価する
  5. 第三者の客観的な視点を活用する

それではひとつずつ見ていきましょう。

1.どこでも通用するポータブルスキルを身につける

業種や職種が変わっても持ち運びできる普遍的な能力を「ポータブルスキル」※といいますが、ミドルシニアの転職にはこのポータブルスキルが欠かせません。

なぜならば、「仕事のしかた」や「人との関わり方」といったポータブルスキルが足りないと、専門知識やスキルをうまく使いこなせないからです。(厳密にいえば、専門知識もポータブルスキルのひとつですが)

考えてみれば、仕事の計画を立てて社内外の人間と仕事の調整をする能力がなければ、いくら専門知識があっても、そもそも仕事自体をうまく回すことは不可能でしょう。

しかし大企業で長期間働いてきた人は、その会社でしか通用しない技術や知識をたくさん身につけてしまっているものです。もちろん中には重要なノウハウもあるでしょうが、まずはどこでも通用する能力を優先的に勉強してください。

※参考:“ポータブルスキル” 活用研修

2.大企業と中小企業の違いを理解する

前述のとおり、転職先の企業規模は、前職より小さくなるのが一般的です。したがってこれまで勤めていた大企業と中小企業の違いを理解しておかないと、働くのがつらくなってしまうかもしれません。

まずは中小企業で働くメリットとデメリットを知っておきましょう。

【中小企業で働くメリット】

  • 会社としての意思決定が速いので、仕事がやりやすい
  • 個人の裁量が大きい
  • さまざまな業務を経験できる
  • 昇進・昇給が速い
  • 転勤をともなう移動が少ない

【中小企業で働くデメリット】

  • 扱う事業規模が小さい
  • そもそもの報酬や保証面が大企業よりも劣る
  • キャリアアップの教育制度が整っていない
  • 倒産の可能性が大企業よりも高い

上記のように、中小企業にはメリット・デメリットの両面があります。もちろんこれは大企業でも一緒であり、ようはあなたが中小企業での仕事をどう捉えるかで、今後の仕事人生が大きく変化するわけです。

中小企業でなら、短期間で役員になれる可能性もあります。そうなれば、かりにスタート地点での待遇が劣るとしても、最終的には十分な報酬とやりがいのある環境が手に入るでしょう。

「自分の能力を思い切り発揮できるのはどちらか」ぜひそういった視点で、会社の規模を考えてみてください。

3.待遇ではなく「やりがい」を目的にする

何人もの転職者を見てきた経験からいうと、待遇よりも「やりがい」を目的にしている人のほうが、圧倒的に転職の満足度は高いように感じます。

最近の大企業は余力がないためか、45歳以上の社員を極端に冷遇する傾向が強いです。まだまだ働ける余力がありながら、役職定年やムリな異動などで働く場を奪われてしまう、残念ながらそれが現実でしょう。

その点、中小企業なら、ミドルシニアにもまだまだチャンスが開かれています。中小企業のメリットでもあげたように、努力次第では経営に関われる可能性も高いです。

また結果を出せば急激に報酬がアップするのも、中小企業の魅力だといえます。さらにさまざまな業務をこなして、専門スキルと周辺知識を一通り身につければ、将来的に独立も視野に入ってくるでしょう。

私は個人的に、スキルと経験のあるミドルシニアにこそ、中小企業で望まれながら生き生きと働いて欲しいと願っているのです。

4.自分の能力を適正に評価する

何度も繰り返しますが、ミドルシニアの転職では即戦力が求められます。つまり、転職先に自分の能力をしっかりアピールできなければ、転職はむずかしいということです。

そのためには、早い段階で自分の能力を適正に評価し、いつでもアピールできるようにしておかなければなりません

ポイントは、「適正に」というところです。自己評価は他人の評価の2割増しという意見もあり、正直あまり当てになりません。過大な自己評価によりうまく転職できたとしても、実力がともなわないと、入社してからが大変です。

そういった事態を避けるためにも、ぜひ第三者の客観的な評価を受けてください。第三者の評価については、次の項目で詳しく説明します。

5.第三者の客観的な視点を活用する

前述のとおり、自己評価には第三者のサポートが不可欠です。理由は単純。自分だけだと評価が甘くなり、客観的な評価を導き出せないからです。

自己評価を実際におこなう際には、中学・高校・大学・社会人・現在・将来という具合に人生をこまかく分割して、その時代ごとに本当の自分をじっくりと見つめていきます。

【自己評価で分析する主な項目】

  • 得意なこと
  • 苦手なこと
  • 好きなこと
  • 嫌いなこと
  • うまくいったこと
  • 失敗したこと
  • やってみたいこと
  • どうしてもやりたくないこと

自分だけでなく第三者からフィードバックをもらった自己評価は、かなり正確にあなたという人間を表しています。もし誰に頼めばいいかわからないときは、私どもが運営するキャリアアップ研修「知命塾」を活用してください。

熟練したキャリアアップの専門家が、自己評価や転職のサポートをしてくれます。

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まとめ

私は、ミドルシニアが大企業から中小企業へ転職するのを、心から応援しています。なぜなら大企業で働き続けるよりも、中小企業のほうが、はるかにやりがいがあると思うからです。

しかし大企業で長く働いた人は、「上から目線で人と接してしまう」といった深刻な大企業病にかかっている場合が多く、転職後にトラブルになるケースが少なくありません。

今回は、大企業病とはなにか、どうやったら大企業病を克服してやりがいのある転職ができるのかをじっくりとお話しさせてもらいました。当記事を読み、ひとりでも多くの人が大企業病での失敗を回避してくれれば、とても嬉しいです。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

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